新・戦争論―積極的平和主義への提言 (新潮新書)

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著者 : 伊藤憲一
  • 新潮社 (2007年9月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102295

新・戦争論―積極的平和主義への提言 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 外交手段のエスカレート:法と正義による「説得」→代償利益の提供による「取引」→武力行使の示唆による「威嚇」→実際の武力行使(軍事的手段による解決=戦争)「戦争とは政治におけるとは異なる手段をもってする政治の延長にほかならない(クラウゼヴィッツ)」

    軍事力には、「直接的」「物理的」「軍事的」「破壊的」利用だけでなく、「間接的」「心理的」「政治的」「平和的」利用の可能性があり、その例が、対ソ封じ込め論であり、核戦略論であり、「使うつもりがない」と公言する軍備の拡大である。その背景にはクラウゼヴィッツのいう、「政治の延長としての戦争の原理(前述)」「武力による決定の担保の原理(武力行使の結果があらかじめ相当程度予見可能なら、武力を行使することなく、政治的な解決に帰着することができるはずである)」がある。

    「持てる国」による世界的な囲い込み政策は、日本に中国市場の確保の必要性を痛感させた。

    「戦争は、発明されたものにすぎず、生物的な必要による産物ではない」(マーガレット・ミード)。戦争は「国際関係」「国際政治」という社会現象のコロラリー(論理的帰結)に他ならない。戦争とは社会現象である。このことは、私たちに、戦争は根絶可能かもしれないという希望を与えてくれる。生まれ持った宿命でなく後天的なものなら、対処は可能だ。そして、国連による集団安全保障体制やグローバル化による「国際システム」の「国内システム」化によって、それは達成されつつある。

    市場主導による地域統合は、経済的相互確証破壊システムを作り出し、もはや主要国家間での全面戦争は考えにくい。

    グローバル化により、国境を超えた相互依存が加速度的に深化し、結びつきが強まるなかで、犯罪である戦争に対して、中立であり続けること、「あれもしない」「これもしない」という消極的平和主義をとり続けることは、世界的な不戦共同体(国連主導の平和秩序、また、米国や西側諸国と築く国際秩序)の一市民である日本にとっては許されない選択であり、日本は国際平和秩序を享受する一市民として、持てる能力を行使していく必要があるという、積極的平和主義への提言。


    ウェストファリア体制〜WW2以前とそれ以後では、全ての戦争の違法化、グローバル化や米国一強体制という国際環境の変革があり、WW2での戦争観を超えた、新しい戦争観が求められるが、消極的平和主義を唱える人たちは、WW2以前の戦争観から抜け出せていないのではないか。消極的平和主義がWW2に対する真摯な反省の気持ちから来ていることはよくわかるが、それが新しい戦争、新しい国際環境下でも有効かどうかは別の問題だと思った。
    この本を読んで新しい知識を得たというより、誰もがいままでなんとなく考えたことがあるであろう、「世界が一つなら戦争なんて起きないのになー」という漠然とした思いを文章にしてくれた感じ。

  • [ 内容 ]
    戦争とは、人間の社会に常に存在してきた「不可避の現象」などではない。
    むしろ、一定の条件の下に成立する「社会現象」であって、その条件がなくなった時には消滅するはずのものなのである…。
    人類の誕生から現代の「イラク戦争」「対テロ戦争」までを射程に収め、戦争が成立してきた条件を問い直し、「戦争時代の黄昏」と「不戦時代の到来」を告げる文明論的考察。

    [ 目次 ]
    第1章 「戦争」の意味が変わった
    第2章 戦争は「社会現象」である
    第3章 戦争は「国際政治」と共に生まれた
    第4章 五つの「地域システム」
    第5章 武器革命の歴史
    第6章 「不戦時代」はなぜ到来したのか
    第7章 日本の選択

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • まず戦争を独立的政治単位による武力での抗争のように定義、その起源は一万年くらい前に人間が定住するようになってからだと述べる。それ以前は人間の集団は遭遇してもすれ違えばよかったが、農耕を行い定住するにつれて国際政治システムが生まれ戦争が起こるようになった。
    混沌とした国際政治システムは均衡へと向かい、国内政治システム化する。中世までに各地域で大帝国を中心としたシステムができあがっていたが、それが大航海時代を通して新たな、そして全世界的な国際政治システムが生まれた。ここまでは地域覇権戦争期と世界分割戦争期である。この後二つの世界大戦を迎えたがこれが世界覇権戦争期。そして冷戦を経て現在不戦時代への移行期を迎えている。
    不戦時代を迎える要因となっているのが土地と戦争の結びつきが切断され、経済がグローバル化リージョナル化して相互依存が深まり、ナショナリズムがなくなりつつあること。
    このような時代の変遷期にあたって日本は積極的に平和構築に関わっていくべきだとゆう論で、おれ的にはあちこち賛同できる部分が多かった。

  • 国際政治システムは独立的政治単位を単位として形成される。
    グローバリゼーションというと、連戦終焉後の今日のグローバリゼーションのことしか頭に浮かんでこない人が多いかもしれないが、人類には3つのグローゼーションがあった。
    1.15世紀末に起きた大航海時代のもたらした政治、軍事的
    2.産業革命のもたらした通称、産業的な
    3.IT革命の現在
    第二次世界大戦後の世界経済はブレトンウッズ体制を採用することで相互に市場を開放しあい、もの、金、人の移動を認め合う体制となった。それが資源のない国でも努力すれば生産を拡大する余地を与えた。
    血統、言語、歴史を共有する国民が存在し、そのような国民は運命共同体として共通の歴史的使命を帯びると主張するのがナショナリズム。
    冷戦時代とは人類史上、世界派遣線早期の最終段階であると同時に不戦時代の導入部であるという二重の位置づけがなされるべき。

  • 非常に興味深く読めました。積極的平和主義への提言には思わずうなってしまいます。

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新・戦争論―積極的平和主義への提言 (新潮新書)の作品紹介

戦争とは、人間の社会に常に存在してきた「不可避の現象」などではない。むしろ、一定の条件の下に成立する「社会現象」であって、その条件がなくなった時には消滅するはずのものなのである…。人類の誕生から現代の「イラク戦争」「対テロ戦争」までを射程に収め、戦争が成立してきた条件を問い直し、「戦争時代の黄昏」と「不戦時代の到来」を告げる文明論的考察。

新・戦争論―積極的平和主義への提言 (新潮新書)はこんな本です

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