「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書)

  • 333人登録
  • 3.83評価
    • (31)
    • (35)
    • (32)
    • (7)
    • (1)
  • 53レビュー
著者 : 大井玄
  • 新潮社 (2008年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102486

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • この本に救われた。

    大好きな祖父がボケ始めたのは、私のせいだ。
    14年前、私のつくったストレス状態が、脳梗塞を招いたのだ。
    退院した祖父は痴呆症状を徐々に悪化させていった。
    しばらく伯母の家にいたのだが、
    手に負えなくなり、施設に入ることになった。
    会いに行くと、祖父が帰りたいと言って涙を流すので、
    母は祖父に会いたがらない。
    私が実家に帰っても、
    祖父に会う時間は数日間のうち1時間もなかった。
    最期の10年間、一緒にいた時間は半日もない。
    そのほとんどが、祖父が死んだ病院に入院してからの時間だ。

    祖父は、私のことを覚えていなかった。
    他人というより、祖父の姿をした宇宙人のような気がした。
    私のことを思い出して欲しいなんて
    贅沢なことは思わなかったけど、
    一度でいいから通じ合いたいと思っていた。


    祖父が亡くなってから、この本を知った。
    いわゆる痴呆老人は、なぜ徘徊するのか。
    なぜおかしなことを言うのか。
    なぜ妄想にとりつかれているのか。
    たくさんの「なぜ」が丁寧に紐解かれていった。
    これまで読んだ本にはない新しい視点だった。


    祖父は宇宙人ではなく、
    最後まで祖父だったんだとわかった時、
    心がスッと楽になった。

    たくさん謝りたいことはあるけど、
    祖父なら許してくれるはずだ。
    祖父は私のことが好きだったのだし、
    最後まで祖父は祖父だったのだから。

  • ただの認知症解説の本ではありません。痴呆を入口として自己のあり方、日本文化へと広がっていきますので読み手は後半考えさせられますね。第5章あたりから。終末期医療で無力感を感じるときに。噂には聞いてたけどこの著者はスゴイ方です。

  • 人は必ず老いていく。

  • 考えさせられるテーマ

  • 数量的に把握  悪い人間関係だとボケ老人 アフリカンアメリカン 心理的・文化的エートス 胃ろう アメリカ 自立的尊重 ラテン語 コミュニカレ 古義 ともに楽しむ 飢餓への慢性的な恐怖 情動を揺さぶる 情報 虚構を再現
    最小苦痛の原則 深入りしない    客我 士農工商 幸せな閉鎖空間には 森林がいる。

  • 第7章現代の社会と生存戦略
    うん、納得。
    ・現代の日本社会が求めるアトム的自己に切り替えることが難しいつながりの自己の者。
    ・「どのように判断し、行動すべきか判らない状況で生ずる不安が、すぐに「キレる」という行動に転化してしまう」
    ・ひきこもりの鍵は「自立強迫的な子育てと、その影響下に置かれた子どもの、自立することへのこだわり」
    ・自己判断、自己決定は必要だが、その判断基準も同時に教える教育的配慮が必要。

    ひきこもりだけでなく、メンタルを病む社会人が多いのもそういう面があるのではないかと考えさせられた。

  • 痴呆だけにとどまらず、様々な面で示唆にとんだ内容に新たに購入しなおしました。

  • 今は認知症だが用語を変えたところで「異質で厭わしい」という認識が変わらなければ単なるラベルの張り替えに過ぎないとSソンタグも言う。社会から見た痴呆とその本質を深くえぐっている。誰でも年取りボケるのだ。
    ブログに感想文をば→http://zazamusi.blog103.fc2.com/blog-entry-84.html

  • 「認知症とはこれこれこういう病気です」ということを記載するアプローチではなく、多重人格者や引きこもりなど、うまく社会とつながれない人との対比から記載されていたので、とても興味深く最後まで読み進めることができました。

     認知症を病気と捉えるか否か。家族の中で、老人が尊敬される歴史を持ち、その存在がしっかり根付いていれば、認知症は老化現象の一形態として自然と受け入れられるものなのだなと思いました。現代ではなかなかそこまで出来ないとしても、アメリカのように認知症を自立性が失われた状態として適切なケアが受けられないケースを考えると、日本は温かく丁寧な対応してくれる施設が多くあり、まだ救いがある状態なのかなとも。

     認知症の人が穏やかに過ごすためには快の回路をたくさん残してあげること、最重要だなとやはり感じた(家族仲がうまくいっていない?家族が面会に来たり、自宅に一時帰宅したりした後で、患者が不安定になるという事例を読んで)。ただ、5分おきに同じことを何度も問い返されたり、文句ばかり延々と言われたりという相手に快の回路を作る対応をするのは難しいとも感じる。最後の章に記載されていた「神の自由な世界に一歩近づいた存在」として対峙できればきっと良い対応ができるのだろう。ただ、ゆったりした時間の流れが許される社会でないと厳しいなと思う。

  • 純粋な医学的な本かと思いきや、心理学・精神世界から宗教・文化・教育など話が幅広く展開されて新書にしては難解に感じた。内容を完全に理解できたか?といわれると「?」がつくものの、文章自体は読みやすい。

全53件中 1 - 10件を表示

大井玄の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
デール カーネギ...
村上 春樹
村上 春樹
村上 春樹
ヴィクトール・E...
有効な右矢印 無効な右矢印

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書)の作品紹介

「私」とは何か?「世界」とは何か?人生の終末期を迎え、痴呆状態にある老人たちを通して見えてくる、正常と異常のあいだ。そこに介在する文化と倫理の根源的差異をとらえ、人間がどのように現実を仮構しているのかを、医学・哲学の両義からあざやかに解き明かす。「つながり」から「自立」へ-、生物として生存戦略の一大転換期におかれた現代日本人の危うさを浮き彫りにする画期的論考。

「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書)のKindle版

ツイートする