原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)

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著者 : 有馬哲夫
  • 新潮社 (2008年2月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102493

原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • CIAより「ポダム」のコードネームをつけられた読売新聞社主・正力松太郎が、自身の「正力マイクロ波通信網構想」という野望の実現のために「原発」を切り札に総理大臣を目指すという、荒唐無稽な実話。
    それにしても、CIAに取り入るために読売新聞の5000人の記者が集めた情報をCIAに差し出すという取り決めを結んだというくだりは、実にセンセーショナルだ。
    また、正力が電力業界からの支持を得るために民間主体を、しかも性急に押し通した結果、事業者の賠償責任に上限を設ける「原子力損害賠償法」という矛盾を生み出した事実は、福島原発事故後の今読むと、実に味わい深い。
    孫崎享氏の「戦後史の正体」との併せ読み読みをお奨めします。

  • 原発・正力・CIAと言うタイトルを見て??と思われる人も多いだろう。
    また、ピンと来る人もいるだろう。

    戦後、正力という人物が新聞メディア・原発と政界とCIAという色々な世界でドロドロと繰り広げたドキュメント。
    そこには計り知れない陰謀や思惑、歴史的な出来事が重なり合う。

    福島原発の事故の後と前では読んだ人の感想も大きく違う受取方になるだろう。

    私はディズニーと原発の関わり方についてこの本を読んでビックリさせられました。

    そしてこれも読んでみたいなと思った。
    日本テレビとCIAーーー発掘された「正力ファイル」新潮社

  • 2008年刊。早稲田大学教授たる著者はCIA文書に依拠する戦後史発掘に精励。本書の内容は、讀賣新聞社主兼日本テレビ社長正力松太郎の野望と、CIAや国内政界内での虚々実々の駆け引き。讀賣新聞を利用した正力の原発平和利用キャンペーンの一方、反共・親米への心理戦に正力(特にTV網)を利用しようとした米が生々しい。元来、原発導入の旗振りが、正力の総理就任の野望と不可分で、こんな俗物丸出しの正力に辟易したため読破は苦痛だった。なおフクシマ以降なら、原発導入経緯を本書のような突き放した乾いた目線では書けなかったろう。
    その意味で、フクシマ前の刊行なのが幸運とも不運とも言えそうだ。なお、湯川秀樹ノーベル賞受賞(米の口添えがあったから受賞出来た)やディズニー映画、ディズニーランドの対日心理戦活用については興味深い点。本書では全く触れられないが、ディズニーに心酔した手塚治虫が生み出したのが、原子力利用の輝かしい未来に彩られる鉄腕アトム(もっとも、こんな単純なストーリでないのは熟知しているが)というのがなんとも…。

  • 早稲田の社会科学部の有馬先生が米公文書を基に記した歴史。正力と原子力が結びついていることなど、詳しく知ることが出来る。一方で調査に基づくためか、推測や奇抜な仮説がなく、ストーリー性を求める人には不向きか。

  • 正力松太郎とCIAの関わりを中心に原発導入の最初期を描く。

    CIA 絡めた経緯と正力の政治的野心は緻密に描かれるが、ピースとしては小さい。

  • 日本に原発が導入された背景を理解できたのは意義あり。
    もう〇〇新聞は、あまり読みたくないな~。

  • 現在のいろいろな物事がどういう経緯で成り立っているかの一つが分かる。馬鹿なことを言えば、日本という国は【核】とはあまりにも相性が悪すぎる。

  • 総理大臣になりたいという自らの権力欲のために、原子力活用を餌にアメリカ、CIAを利用しようとした穢れたマスメディアの頭目、正力松太郎の所業を暴く裏昭和史。ナベツネという権力欲に駆られた欲ボケに繋がる歴史。

  • 問題の所在を明らかにするために、
    ことの始原に立ち返っておくことは無益ではないだろう。
    まさに歴史を知る有用性は、そこにあるように思う。
    日本がなぜ、50基を超える原子炉を抱えるに至ったか…

    ずっと、気になる存在があった…正力松太郎だ。
    本書は、正力松太郎が、なぜ、どのように、
    原発推進に躍起になっていったかを、
    国内外情勢を絡め、つまびらかにする。

    日本が原発に手を出すところから、メディア、政財界が
    奇妙に連鎖していたことが、本書によってよくわかった。
    さらに、アメリカ、イギリス…等、諸国が、そうした日本の
    ありようを牽制しながらも加担した経緯も明らかにされる。

    そのプロセスでなおざりにされたのは、科学的な視点、
    安全性の検証であり、技術的な確かさを求める姿勢だ。
    新聞、テレビのメディアは、原子力の平和利用の
    プロパガンダに邁進し、その旗を振ったのが正力だった。

    本書では、日本の原発導入時の問題点…正力の過ち…を
    次のように整理している。

    ・原発稼働を急ぐあまり、耐震性等に問題のあるイギリス製
     動力炉に飛びついたこと。
    ・世界各国で原子力発電に関しどのような問題が起こっているのか、
     それに対しどのような取り組みがなされているかに
     あまり関心を払わなかったこと。
    ・正力が旗頭となっている電力業界の利益を念頭に置き、
     日本の原子力行政をこの枠組みのなかで行おうとしたこと。

    メディア、政界、産業界が連なりながら推進された
    日本の枠組みから、立ち返り、組み直してゆくことは
    たいへんな負荷がかかる…しかし、福島の現状をみるに
    そこから、いささかも目をそらすことはできない…と知った。 

  • そもそも「正力松太郎」という人をよく知らず、ということは戦後史を知らず、また原発導入の経緯や読売新聞の推移、テレビの歴史などを知らないということで、それらを横断的に学ぶことができた。
    ディズニーがアニメーション「わが友原子力」の成功により原子力プロパガンダへ深く関わり、連続テレビ番組「ディズニーランド」では登場する原子力推薦艦の名前に実在するアメリカの原子力潜水艦の名前を取り、世間に浸透させていったが、その番組を流したのは日本テレビで、テーマパーク「東京ディズニーランド」を日本につくる際にディズニー側と京成電鉄との間を取り持ったのが正力だったとのこと。

  • 昭和の怪物、正力松太郎である。
    つい最近までこの人のこと知りませんでした。すいません。
    この人は読売新聞のドンで野望を持ち、政界進出し総理大臣の座を目指して敗れた人で、その野望実現のためにCIAの協力者となって、国内に親米ムードを生むように策謀したり、日本に原発を誘致(?)しようとした。どうして読売のドンってみんなそんな感じなんでしょうね。
    しかし今時はCIAのスパイなんて凄い空虚な響きですが、戦後〜冷戦期ってのは、それが凄い現実味を帯びていたのだなと。筆者は最後のほうにそれがわからんのなら平和ボケだとチクリと書いていますが、はいはいその通りです。ごめんなさい。
    日本のエネルギー政策があーだこーだ、国民の生活のためにあーだこーだという原発論が全くもって虚しく聴こえるような、なんともきな臭い日本原発の出自を読むにつけ、ほんと政治って何なのだろうって思ってしまうわ。

  • 日本は広島・長崎で原爆の被害を直接受けたばかりではなく、
    ビキニ環礁で第五福竜丸の乗組員もまた水爆の被害も受けた。
    世界初にして唯一の原爆・水爆の被爆国であって、
    このような核兵器を開発したアメリカに対しての憎悪は根深かった。

    この状況からいかに「核の平和利用」という名目で
    讀賣グループ総帥正力松太郎やCIAが利害を一致させて、
    所有するテレビや新聞などを用いて世論を動かし、原発の建設に持ち込んでいったか。

    非常に興味深いのは、一枚岩ではないところ。
    原子力を武器に総理大臣にまで登り詰めたい、野心を隠さない正力と、
    日本を骨抜きにしておくために工作を仕掛け続けるCIA。それぞれの思惑が絡み合う。
    公開されたCIA文書から当時の緊張感が伝わってくる感じが素晴らしい。

  • 現在の原子力政策に至る経緯がよく分かります.

  • フクシマ論の中で、「原子力の父」とされる正力松太郎についての引用がいくつかあり、原発導入の経緯、歴史的背景に興味があり読んでみました。
    歴史には、興味がある方なのですが、戦後の近代日本史をあまりに知らない自分に驚いたと共に面白さにも驚きました。
    国、企業、組織、人の腹の探り合い、駆け引き、筆者も言っている歴史的出来事を生み出す連鎖の複雑さと面白さには惹きつけられる。
    事実は小説より奇なりと言ったところか。
    どの時代も政治には、利権や関係者の様々な思惑が複雑に絡み合っている。
    メディアには、何らかの情報操作が行われたり、プロパガンダの要素が少なからず含まれる。
    現代におけるメディアの見方として、全て鵜呑みなする平和ボケも、何事も穿った見方をする陰謀論者も、どちらも極端過ぎる。
    物事は複雑な連鎖で成り立っているのだから、その連鎖を読み解く努力を日々していく必要があるんじゃないかな、なんて思いました。

  • 著者の善悪の感情論抜きの文章なので、すごく読みやすかった。
    「ディズニー」に関しては、やっぱりと思いました。

  • 日本が原発導入した1960年当時の原発世論、政治状況、国際関係が良くわかる。読売の正力松太郎がCIAのエージェントとして原発世論形成に尽力したことなど、メディアと原子力政策の問題は原発導入当初から存在していたことが分かる。

  • なんか政治のどろっとしたのが読めておもしろかった。

  • 複数の史料を使い、複数の観点から史実をあぶり出すという面白さを味わえる本です。
    また、単純な善悪ではなく、様々な利権、欲、タイミングが歴史を作るという、当たり前のことを伝えてくれます。

  • 途中で、読む気が失せた。

  • ディズニー映画『わが友原子力』の存在は知らなかったので印象的だった。それにしても、僕は冷戦というものが作り出した一連の流れに鈍感だ。実感を持てない世代だというせいには、してはいけない気がする。

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原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)の作品紹介

一九五四年の第五福竜丸事件以降、日本では「反米」「反原子力」気運が高まっていく。そんな中、衆院議員に当選した正力松太郎・讀賣新聞社主とCIAは、原子力に好意的な親米世論を形成するための「工作」を開始する。原潜、讀賣新聞、日本テレビ、保守大合同、そしてディズニー。正力とCIAの協力関係から始まった、巨大メディア、政界、産業界を巡る連鎖とは-。機密文書が明らかにした衝撃の事実。

原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)はこんな本です

原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)のKindle版

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