昭和史の逆説 (新潮新書)

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著者 : 井上寿一
  • 新潮社 (2008年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102714

昭和史の逆説 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 開戦に至る道のりの中で、関係者がそれぞれに戦争回避に向けて努力していた。なすすべもなく陸軍にずるずると引きずられた訳ではなかった。ただ、残念なのは、岡田内閣を追い詰めた政友会の「天皇機関説」批判や、近衛文麿が政治的野心から宇垣外相を辞任に追い込んだ事など、国益を考えない政争が事態を悪化させたこと。

  • 戦前の昭和史を人とその行動に焦点を当てて書いている。まるでドラマのように登場人物が生き生きとして、目の前に いるようだ。

  • 坂野の議論に近いのかなぁ?
    昭和史の再考を促す。

  • 内容は平易。全てを知る「神の視点」からではなく、登場人物がその時々に置かれた状況、知っていた事実から書いている。協調外交と政党政治により当初は軍の突出は抑えられるも、党利党略のために貫徹できず、政党政治に失望した国民は近衛内閣での「新体制」を求め、社会主義政党も含めた既製政党はこの「新体制」にすり寄り、近衛内閣総辞職後の東条内閣は挙国一致体制確立のために明確な目的もないまま対米開戦し、国民はこれを熱狂支持する…という姿が描かれており、「軍の暴走に善良な国民が引きずられた」「欧米に追い込まれた日本は生存のためにやむ無く戦争をした」という、左右どちらの通説とも異なる点が新鮮。

  • 山東出兵から終戦までの間、関係者がどのように考えて動いていたのか、その結果どのような事態になったかが書かれている。

    一般的に言われているようなイメージとは違い、政治家がどうにかしたいと努力していたのに、その様子は予想以上に世の中に広まっていないことにも気がつく。

  • 我々は歴史を振り返るとき、往々にして現代の視点からみてしまう。本書では、当時の指導者が何を考え戦争を選んだのか、出来るだけ当時の視点にたって記す努力をしている。7つの出来事を扱っているため、広く薄くなったきらいがあるが終戦記念日に読む価値のある一冊である。

  • 現・学習院大学法学部教授(近代日本外交史)の井上寿一による昭和戦前期の外交史再検討

    【構成】
    第1章 山東出兵は国際協調が目的だった
    第2章 軍の暴走は協調外交と政党政治が抑えていた
    第3章 松岡洋右は国際連盟脱退に反対していた
    第4章 国民は<昭和デモクラシー>の発展に賭けた
    第5章 戦争を支持したのは労働者、農民、女性だった
    第6章 アメリカとの戦争は避けることができた
    第7章 降伏は原爆投下やソ連参戦の前に決まっていた

     非常にキャッチーなタイトルであり、(一般読者向けであるため)註もついていないが、外交史家の手による著作であり、内容は地に足の着いたものである。

     特に第1章から第4章は一般的によく「誤解」されている部分であるので、田中義一内閣から廣田弘毅内閣までの政軍関係および中国をめぐる国際関係を概観する上で参考になるだろう。ただ、内容とタイトルに噛み合わない第5章、丁寧に説明すべきところを大胆に割愛する第6章、和平交渉と降伏決定を混同している第7章など後半は問題が多いように見受けられる。

     本書に比べれば内容が重たくアカデミックだが、新書でこの時期の外交を概観するなら、加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書)か服部龍二『広田弘毅』(中公新書)あたりがいいのではないだろうか?

  • 8/25 面白かった。 しかし、何が本当なのか?

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昭和史の逆説 (新潮新書)の作品紹介

昭和史は逆説の連続である。希望はいつの間にか絶望へと変わる。夢と思えたものが悪夢に転ずる。平和を求めたはずが戦争になり、民主主義の先にファシズムが生まれる。一筋縄では進まない歴史の奔流のなかで、国民は何を望み、政治家はどのような判断を下していったのか?田中義一、浜口雄幸、広田弘毅、近衛文麿など、昭和史の主人公たちの視点に立って、「かくも現代に似た時代」の実相を鮮やかに描き出す。

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