人間の覚悟 (新潮新書)

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著者 : 五木寛之
  • 新潮社 (2008年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102875

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人間の覚悟 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 生き方についての哲学書。
    古典的なニュアンスを持つが、現代の若者から共感されそうな生き方を説いていると思う。
    現代の若者とはいっても、自己啓発していつか成功してやる、という野心的な方ではなく、時代の流れに任せて、自分の裁量を自覚して今を生きる方。
    1日1日を大切に、1歩1歩自分の頭で考えて生きる、そういう考え方を学べた本です。

  • 読み終えたのは震災前だったが、こうして震災後にこの本を考えると「国家をあきらめる覚悟」というのに胸を打たれる。人の絆も昨年は光ったかもしれないが今年はどうだろうか?震災特需はあったが日本の産業全体は明らかな赤字を抱えた。今後の成長は望めるのか?それらに対してあきらめる覚悟があるかどうかではなにかが違うとこの本は気づかさせてくれる。

  • 人間は情動で動くもの、知識や言葉としてではなく、人間に内包され蓄積されたルサンチマンなるものを非常に重く見ています。

    とりあえず生きているということで、人間は生まれた目的の大半は果たしている。存在する、生存して行くこと自体に意味がある。

    生きることの大変さと儚さを胸に、この一日一日を感謝して生きていくしかない。そう覚悟しているのです。

  •  「覚悟」ということについて、仏教的視点から解説した本。「覚悟」とは「あきらめる」ことだが、ここで言う「あきらめる」とは今使われるような「途中でやめる」というネガティヴな意味合いではなく、「明らかに究める」という意味。

     著者曰く、現代は「鬱」、「下山」といった言葉で括られる時代。何だか寂寥たる感じがするが、これは「あきらめる」しかない。こういう苦しい時代では「おれが、おれが」と我を張って独善的になるよりも、「他力」を頼って行きていく方が安楽なのだと思った

     本書で言うとおり、憲法で保障されているような権利も、安心も安全も実は儚いものなのかもしれません。聖徳太子の言うとおり「世間虚仮、唯仏是真」なのだということを考えさせられる。でも、そういう視点に立って初めて見えてくるものもあるのだと思う。

  • 「大河の一滴」を読んだことがあるので、特段新しいことが書いてあるという印象はなく、それをベースに新たに付け加えられたという印象。
    この時期だからこそ冒頭の「国家に頼らない」という覚悟を決めること、身をもって感じるところである。
    第2章の鬱については、鬱状態を経験し、克服したことのある著者ならではのうわべだけではない内容。どの人の中にも鬱となりうる「ふさぎの虫」を飼っている、しかしそれを抱えて生きていくもの、という考えは鬱を恐れる人にとってそれを和らげるものとなりそう。
    第3章は第6章とつなげ、老いに向かう状態と老いた状態についてまとめて述べてほしい内容。特に第6章では、老いることもその上で認知症の症状を発症することも怖れるものではないと思わせてくれる。自分が老いる前に上の世代の人が老いてくることを見届けるのに私も覚悟が少しは備わった気がする。
    第4章については、西洋文化は根本的にキリスト教に基づいているので、そうではない人にとっては完全に理解できない部分があるとはずっと感じていたことなので、書かれている内容には納得。以前はそれを自分の勉学の不足からだと思ったこともあったが、それはそれで仕方がないもので、それが自分たちの文化との違いなのだと思ってよいのだと改めて思わされる。
    最終章は特に重い。しかしこれだけでも読む価値のある濃い内容。私も今まで生きてきて直接であれ間接であれ悪に無関係であったわけではない。それを覚悟の上、人には期待をしすぎず生きなければならない。長く付き合いたいと思った人と縁が切れてしまい、悔やむ思いをすることもあるが、人の縁も水のように流れ移ろぐもの。それをしっかりと受け止めて生きていきたい。

  • 五木寛之さんの三冊目。日本人・経済に警鐘を鳴らし続けてきている。「鬱の時代」まさしく今はそれに、あてはまると思う。「覚悟」とはあきらめることであり、「明らかに究める」こと。希望でも、絶望でもなく、事実を真正面から受け止める事である。「覚悟」を決める大切さ、「老いる」ことの自覚。人間は「死」と言う病のキャリアで、いつ発症するかわからない、そんな考え方ができるんだと再認識し、納得できました。ボランティアは「石もて追われる」までやれ。
    「子供を叱るな、昨日の自分。年寄りを笑うな、明日の自分」重過ぎる言葉で、肝に銘じます。

  • ただ生きている、そのことに価値がある、と。
    「如何に生きる」かはともかくとして。

    確かに「如何に」生きるか、については深く考えることがある。
    まず地位や名誉といった虚構を追い求めて努力をする「人生は仕事だ」という馬鹿馬鹿しさ。
    また一方で善意や優しさといった疑いようのない尊さ。

    要するに人生は、そう簡単じゃないんでしょう(超強引)。

    また、一人で生きていくことについて、素晴らしい見解が述べられておりました。
    読了後に心が軽くなる、という副作用が、私にとってはありました。

  • 2008年くらいの雰囲気で書いた本。なんか適当なこと言ってんな、という感じ。

  • 鬱な感じがしっくり来ず、斜め読みになった。心に響かないということは、私がまだバリバリ元気という事かも。戦争体験のくだりは勉強になり「国に動くなと言われた時は逃げるべし」と心に留めた。

  • 「自然法爾」「往相還相」「世間虚仮 唯佛是真」「自他一如」「則天去私」等々、仏教観満載。
    「覚悟」とは「明らかに究める事」そこには絶望も希望もない。事実を真正面から受け止めるしかない。

  • 非常に読みやすくておもしろかった。
    たくさん線を引きました。

    P7.『どんな人でも、自分の母国を愛し、故郷を懐かしむ気持ちはあるものだ。しかし、国を愛するということと、国家を信用するということとは別である』
    現代ではここがごっちゃになってしまっている印象

  • 今の自分には、毒にも薬にもならなかった。
    良い言葉や、ためになる話のオムニバス。
    悲劇を広げて危機感を煽ってる?

  • 下山の思想。覚悟を決めて生きること。

  • 生きているだけで価値がある、というのは、実は人は生まれた時から何らかの関係を持っていて、そこで繋がりがあるから価値があるのだと思います。
    僕は、純粋に『生きているだけで価値がある』とは思いません。やっぱり、何か自分にしかできない事やアイデンティが持てないと価値が見出だせないと思います。で、生きていれば誰かと某かの関係を築き、刺激し合ったり、心地よくなったり、深く関わり合ったり、その関係の連続性が、現代では見えづらくなっているのではないでしょうか。その事に気付き、他力を信じる事が、著者の言いたい事なのだと思います。

    熊木杏里の『一千一秒』という曲の歌詞に、
    いつまでもあなたの傍らで
    冬の後の春のように
    独りというこの運命も
    ありのまま辿れるように
    というものがあって、これなんかも、人間は結局独りだという孤独と、けれども愛する人の傍に居たいという繋がりを持つ事の矛盾の葛藤が、短い詞に込められています。
    『あきらめる』が『明らかに究める』、諦念ではなく達観するという意味であると著者は言いますが、これなんかも、『人間一人』を『明らか』にし、それでも『繋がりを求める』という『究め』が人間なのだと思い知らされます。そして、そのバランスが崩れると、太宰治のような道化師になったり、あるいは逆に秋葉原殺傷事件の犯人のように逆恨みしてしまうのではと思います。

    関係を築き、それを続けていく行為の最上は、結婚して子どもを育てていく事だと思います。現代ではこの営々が崩れてきているから危ないのです。それは、『覚悟がないから結婚できない』のか、『結婚できないから覚悟がない』のか、どちらかは分かりませんが、最近特に思うのは、彼女作ってエッチしたいという事です(笑)。どうにも性欲が止まらないです……。
    欲と言えば、引用にもあったように、香山リカの理性主義は反対です。先に感情があって、それを理性が律するのであって、情を排して理性だけにするというのは、人間そのものを否定しているように思います。「理性がなければケダモノと同じだ!人間だけが理性を持っている!」と言われそうですが、理性一辺倒では駄目だと言いたいのであって、それは科学者でもそうだと思います。パッションが無ければ研究はできません。
    要がなければ扇は開かない。ここでの要は情で、扇は理性。両方なければ意味がありません。これもバランスの問題ですが、き要は情なので、それを大事にしないといけないと思います。
    僕の評価はA-にします。

  • 何事も自分の判断力、覚悟が身のまわりにおける相手との関係に対して、影響があることを常に意識すべき。

  • 2014年9月19日読了。

  • これからの国家の信用とは、統計やデータでは見えない人間の真の感覚とは、鬱という状態について、自分と他人とは、そして覚悟とは。人間の存在そのものを考えさせられる本。

  • 他力の考え方はとても深く考えさせていただいた。
    「今は、やめとくか。」
    そう自分で判断したとき、実はその直感こそが他力であり、自分にとっての正解であることが多い。
    私は車選びで理性で考え尽くし、完璧な車を選んだのにすぐに飽きたことがある。なんでだろうと思ったが、直感を無視していたからだと気づいた。

  • 人口が減り、高齢化が進んでいることを、正面から受け止めることなく、未だに所得アップや売上げ増大というものに向かって流れる現代。
    現状をしっかり見据え、下手な期待や闇雲な楽観視をすることなく、等身大の身の処し方をしていかないと、国や会社は何も守ってくれないよというメッセージと受け止めた。
    何となく分かっていながら、受け止められない自分がいる。

  • 年を重ねるに従って、様々な状況に置かれ、より良い選択をせまられる。
    自分の寿命がどれだけで、どう生きるべきか、考えさせられる時期くる。
    まだ、仕事に追われてそうした余裕もない。自分の思うように生きて、なおかつ、人から惜しまれ死期を迎えられたなら幸せだろうが、うまくいかない事ばかり。考えさせてくれる本だ。

  •  自分は思っているほど完璧ではない。むしろ、瑕だらけである。にもかかわらず、多くの人はそれに気付いていないか、あるいはそれに気付かないふりをしている。だから「自分は大丈夫」「自分に限って……」というような思考に陥ろうとするのである。

     本書は五木さん流の「覚悟のススメ」。どうせ完璧ということには、なりっこない。だったら、それを「覚悟」し、そのうえでの行動を考えるべきではないか。

     日本は所詮小国。今後、世界を引っ張るほどの力は復活しないのではないか。
     心に「愁い」があるのは当たり前。「鬱」には誰もがなる。
     「悪」はみんなの心に等しく存在する。

    などなど。つい、根拠もなく期待してしまったり、忌避してしまったりということと真正面から向き合う「覚悟」を忘れてはならないのである。本書を読んで「覚悟完了」してはいかがか。


    【目次】
    覚悟するということ――序に代えて
    第一章 時代を見すえる
    第二章 人生は憂鬱である
    第三章 下山の哲学を持つ
    第四章 日本人に洋魂は持てない
    第五章 他力の風にまかせること
    第六章 老いとは熟成である
    最終章 人間の覚悟

  • ちょっと人生観が変わったかな・・・

  • 法螺を吹く!そして、下山する。

  • 半分納得、半分不服。

  • 覚悟とは、諦めること。
    即ち、「明らかに究めること」。
    そういう一文から始まる一冊。

    永い人生経験からの、含蓄のある言葉に富んだ名著。
    文化や思想・信仰、または経済や文学から覚悟を読み取る。
    世代を超えて、多くの方に読んでもらいたい内容です。

    個人的に琴線に触れるキーワードがありましたので、参考まで。
    ・日本人には洋魂は持てない
    ・人事を尽くして天命を待つ
    ・人は憂いを抱えて生きていくものだと覚悟しなければならない。

    一部だけ切り取って仕舞うのは誤解を招き兼ねないですが、非難は覚悟のうえ。

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人間の覚悟 (新潮新書)の作品紹介

そろそろ覚悟をきめなければならない。「覚悟」とはあきらめることであり、「明らかに究める」こと。希望でも、絶望でもなく、事実を真正面から受けとめることである。これから数十年は続くであろう下山の時代のなかで、国家にも、人の絆にも頼ることなく、人はどのように自分の人生と向き合えばいいのか。たとえこの先が地獄であっても、だれもが生き生きした人生を歩めるように、人間存在の根底から語られる全七章。

人間の覚悟 (新潮新書)のKindle版

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