偽善の医療 (新潮新書 306)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103063

作品紹介・あらすじ

「患者さま」という偽善に満ちた呼称を役人が押し付けたことで、医者は患者に「買われる」サービス業にされた…。医療にまつわる様々な偽善を現役医師が一喝する。「セカンドオピニオンのせいで患者と医者が疲弊する」「インフォームドコンセントは本当に良いことか」「有名人の癌闘病記は間違いだらけ」「病院ランキングは有害である」「安楽死を殺人扱いするな」-。毒と怒りと医者の矜持が詰まった問題提起の書。

感想・レビュー・書評

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  • 里見清一(國頭英夫さんのペンネーム)の最近の医療に対する問題提起の本。

    インフォームドコンセントやセカンドオピニオンなど、患者との関係が劇的に変化する昨今の医療について警鐘を鳴らしている、という感じでした。

    すごく辛口で独善的な印象のある文体なのですが、著者の主観的な意見と客観的な情報を上手に織り交ぜてなかなか説得力のある内容でした。パターナリズムについては僕自身もどう扱うべきか迷うところもありますが、医療の専門家として責任をもって患者と接すべしという著者の意見には賛成します。勿論これはバランスが難しいんですけどね(汗)自分の意見を書きたい放題の本なんだろうな、と斜に構えて読み始めてみると、ちょこちょことエビデンスを持ってきてうまいこと文章をまとめる文章力には「やるな」と思って読んでいました。

    歯科の病気(主に虫歯と歯周病)は生涯の友とも言えるほど、歯があるかぎりリスクがゼロにならないという特徴もあって、著者が力説する「患者と医者の信頼関係」(学校ではラポールなんて言葉で習います)については重要だなーと再確認しました。訴訟の時の言い訳に使う説明文書ではないインフォームドコンセントの在り方。だいじ。

    ちょっと前に読んだ「統計学は最強の学問である」も同じく統計と自分の意見ゴリ押しの本だったのに、こっちの本の方が説得力があるのはなんでなんだろう。


  • 肺癌を専門とする呼吸器内科医として20年以上の臨床経験を持ち、多くの著書を世に出している医療評論家の里見氏による新書デビュー第一弾。2001年に厚労省が出した「アホみたいな」通達によって病院に蔓延した「患者さま」という変な呼称、末期医療や安楽死をめぐるマスコミの混乱や偽善などに異を唱え、「セカンドオピニオン」や「インフォームドコンセント」のように今の医療では常識とされている手法をぶった斬る。医者の本音や医療現場の真実をストレートに訴える論調は、夏目漱石の『坊ちゃん』や社会学者の『古市クン』を彷彿させるほど小気味よく、そして何よりも「面白い」。医学会の権威と呼ばれる長老たちが眉をしかめるような意見も多いが、患者への愛情を持って本音を語り続ける里見氏にはエールを送りたい。

  • 今までに読んだ医療関係の本でベスト!
    以前ガン治療放置論の本を読んで成る程と思ったが、ガンの種類や症状によって手術、抗がん剤、放射線治療の標準治療も必要で効果ありという当たり前のことを教えられた。又、どんな治療も副作用によって症状が悪化したりしに至ることもある。

    治療のポイントは
    ①生存期間(延命)②症状が極力出ないこと。生活の質。QOL。③コスト。治療費用がいくらかかるか。
    である。

    結論は技術と人格が信頼できる医者に出会い治療を任せること。そういう運の良い人間になること。

  • 辛口の医療批判。納得できる点とできない点があるのはしかたないことか。

  • なかなかエネルギッシュで情にあふれた文章. いつも背伸びしすぎた文章ばかり読んでいたので(それはそれで大事だとも思うけど...), こういう文章は本当にすんなりと心に響いてきた. それだけじゃなく, 内容的にも一知半解の怖さに思い至らされる部分があり, 新書の中ではかなりよかった.

  • 患者様撲滅運動や、なくなれセカンドオピニオンなど結構インパクトのある章だて。筆者の私感が全面にでていてくどく感じることもあるが、医療サイドからみた裏側などが分かって興味深く感じた。

  • 現役の医師による医療の今の問題点の告発。
    いろんな話が出てくるが、読むほどにガッカリする話ばかり・・・

  • 今年最高の出会いかもしれない。医療の現場に長年携わり、命と密接にかかわってきた著者の生々しい発言に心迫るものがある。

  • おもしろかったです。
    医療現場がどういうところか知るにはとてもいいと思いました。

    少し過激な言葉を選ばれている箇所があり、私はそこにひっかかるものがありました。
    内容がおもしろいだけに、少し残念です。

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