『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内 (新潮新書)

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著者 : 小谷野敦
  • 新潮社 (2009年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103087

『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

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  • いま、ちまたでは女性お笑い芸人が占い師に洗脳された、という話題が持ちきりである。占いってのは、「こちらがわからない手段によって、こちらのことを知る」技法のことであり、事前調査とかコールドリーディングとか視線の動きをみるとか、かまをかけて反応をみる、とか誰にでも当たるこという、とか様々な技法がある。

    で、つまりは、それって、「人間を知る」方法なのであり、そのやり方をしらない人にとっては、「魔術師のように」みえる効果がある。

    小谷野氏のこの本は、ある意味そういう「魔術師のように人間を知る」本であり、読んだほうがいい本であろう。

    どういうことかといえば、「相手が好む本で相手がわかる」ってことで、たとえば「漱石が好き」という人は「母に愛されなかった」人であり、小林秀雄が好きって人は「母に愛された人」。

    じゃあ、両方好きな人は「自己欺瞞に陥っているか嘘つきかどちらか」ってことで、これを知っただけでもこの本を読んだ価値があった。

    志賀直哉好きはお坊ちゃん。

    ワイルドが好きなひとは同性愛者。

    ドストエフ好きーはキリスト教好き。

    こういうの知っていると、占い師よろしく、相手の生活環境で好きな本がわかるようになるかも。

    まあ、まあ、そもそも読書好きにしか通用しない占いだけどね。

    人の生まれ育ちが読書の好みを左右するから、普遍的に面白い本なんてないという、まあ、よく考えると当たり前だが、そんなことをいうと評論家は飯が食えなくなってしまうから誰も言わなかったことをいったから「正直者の名作案内」というわけである。

    だから、小谷野も、ここに上げた名作が普遍的な価値をもっているといっているわけでなく、あくまで好みだ、としているから正直だ。これによって、小谷野自身の人間がバレてしまうからだ。

    結局のところ、自分をどの程度さらけ出したか、が小説の価値に大きく影響する。
    で、「そんなとこまで見せちゃうひとっていままでいなかった」ってのが歴史的名作であり、でも、みんながみせちゃうと、いずれ読まれなくなるかもしれない、から、価値は普遍的ではありえないってことです。

  • ブックオフで買って、速攻ブックオフに売り払った。

    はしがきを読みだすと、「いわば」(だったと思う)があり、その数行後に「いわば」がまた使われている。

    同じ言葉の連発に受けた印象は「文章雑だなー」。

    読む気がしなくなり、文学作品を著者の視点から批評する内容なので、どの作品のどのようにいいのかをちょっとチェックすればいいやとわりきった。

    で、著者が一番いいと論じているのは「源氏物語」だ。理由は「とにかくいい」

    だけである。

    どのようにいいのかを読者は知りたいんだよ!

    もういいや、この本読まなくて。

    いや、待てよ。本書のタイトルの「こころ」はどうなんだ?高校の教科書にもある日本文学における大作品をどう斬っているんだ?

    要約「みんながいいって言うのが気に入らないからけなしたい」

    マジかよ。天邪鬼なだけかよ。

    そんな本書から得られたこともある。

    「文学作品の評価は普遍的なものではない」

    ってこと。昔に駄作といわれていても、現在では評価の高い作品もあるし、現在評価の高い、人気のある作品でも未来では駄作といわれることもあるかもしれない。

    読む人の価値観がちがえば、その作品の評価も変わってくるってことです。

    絵画の世界でゴッホの描いた絵は生前全く評価されていなかったけど、今は高額の値がついている。それと同じことが文学にもいえるんですね。

    いや、芸術的なものだけじゃなく、もの、人の評価は全て普遍的じゃないんだな。

  • 2015/5/1読了34
    私もこころが名作だと思えず購入してしまった。著者ならではの文学論が書かれているが、一般論とは異なるように感じられ、なかなか刺激的。

    作家によっては、偉大な作家かどうかさえ疑われていたりするのだが、そんな作家の本でも著者は面白いと感じた本は面白いと言っている(例えばトーマス・マン)

    私も自分が面白いと感じたものだけを面白いと言えるように、自分の中での明確な基準を持っていたいと感じた。

  • 東西の古典文学の「だいたいは読み終えた」という著者が、おもしろかおもしろくないかを大胆に判定を下した読書案内です。

    本書は作品自体のおもしろさを中心に評価しているのですが、それ以外にもたとえば白樺派の作家たちがトルストイをどのように受け入れたのかといった、受容史的な観点からのおもしろさというものもあるはずで、本書にも随所にそうした薀蓄が示されているのですが、あまりアカデミックな文学研究に立ち入らないようにしているのか、そうした側面はほとんど切り捨てられているように思います。

    たとえば、本書で著者が「好きではない」と述べている推理小説などの場合には、先行作品をどのように消化しているのかといった評価の観点もあるように思うのですが、そういうものは好事家に任せておけばいいので、本書のように単純な意味での作品のおもしろさをズバリ述べているのは、一つの見識ではあります。

    もっとも著者は、「インターテクスチュアリティ」といった用語に代表されるような、非実証的なポストモダンの文学理論にどうしてもガマンがならないようで、そのことを考慮に入れておいた方がいいかもしれません。

  • 著者が選んだ読むべき古典と名作といわれているが著者には違うという古典案内の本

    源氏物語、シェイクスピアなどは最高峰の名作であり

    ドエトフスキーはキリスト教色強いので、日本人にはわからない

    漱石は母に愛されなかった人は共感する

    芥川、鴎外、永井荷風は名作かあやしいそうです。

  • 名作とされている文学作品に対し、自分の感じたまま、良い悪いを断じるのが痛快。
    無理矢理なところもあるけど、面白く読めるのは、小谷野敦の知識と技術によるものかなと思う。

    小谷野敦は基本的に「もてない男」目線で読んでいる。
    「もてない女」である私から見たら共感できる部分もあったし、感覚が決定的に違うと感じた部分もあった。

  • 片っ端からぶった切ってる感が何とも痛快でした。名作案内、書評のはずなのに何故か痛快で面白い。容赦ないこき下ろしっぷりがまた笑える。
    普遍的ではない書評、と言うのがまたいい。決して万人受けする内容ではないが、だからこそに著者の好みや価値観が顕著に出ていて楽しめる。
    案内本としてはいまいちだが、一般的な普遍的な書評に飽きた人にオススメしたい

  • 小谷野敦さんのボヤきのような小谷野節、かなり好きです。
    白眉は三島由紀夫の『金閣寺』のこき下ろし方。こじつけもいいところ。金閣寺と聞いたら多くの日本人は「キンカクシ」を連想してしまう…って、そんなこともないでしょう!(笑
    おそらく、全く受け付けない人も多いことと思いますが、私はハマってしまいました。読みながら1人でニヤニヤした箇所多数。

  •  海外文学には興味があるので、博覧強記の小谷野先生の案内は非常にためになる。
     小谷野先生の偉そうな物言いは、ファンの私には心地いいものですらあるのだが、一つだけ、さすがに「許せない」と思うことがある。それは181頁3~8行の記述だ。こんな失礼千万なことを、しかも推測で書くとは、どういう良識を持ってるんだ。

  • 名作の捉え方は人それぞれというのがわかる。

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『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内 (新潮新書)の作品紹介

文学に普遍的な基準はありません。面白いと思うかどうかは、読者の年齢や経験、趣味嗜好に左右されます。「もてない男」に恋愛小説が、そのケのない人に同性愛的文学がわからなくても、仕方のないこと。世評高い漱石の『こころ』やドストエフスキーは、本当に面白いのでしょうか?読むべきは『源氏物語』か『金閣寺』か?世界の古典を「大体読み終えた」著者が、ダメならダメと判定を下す、世界一正直な名作案内。

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