イカの神経ヒトの脳みそ (新潮新書 313)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103131

作品紹介・あらすじ

ヒトは神経の集積体である。アリストテレスが考えた動物精気にはじまり、カエル、イカ、アメフラシ、哺乳動物、さらにヒト脳へ-試行錯誤にあふれた実験の歴史とともに、神経の病、最新の脳生理学までをひもといていく。奇想と執念、愚行と新発見、今となっては常軌を逸した"人体実験"にいたるまで、あまたの科学者たちが挑んできた、人間行動を支配する「神経」解明への道のりとは。

感想・レビュー・書評

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  •  著者の性格なのか、歴代の脳研究者の人柄が好ましく感じられる。研究の進展は、著者の研究生活に重なるほど、始まったばかりなのだ。

  • ヒトの脳=神経の塊。
    脳のことを知るには、まず神経のことを知ると良い。
    カエル、イカ、アメフラシ、ネズミ、ネコ。
    研究には様々な動物が使われる。
    そして、今では絶対できないであろう、ロボトミーなどのヒトの脳を使っての実験的な試み。
    電気信号と神経伝達物質。
    神経〜脳研究の歴史と現在地を知る良書。

  • 研究内容でいみじくも会社の名前がつまびらかにされました。
    顕微鏡周辺のハード面です。そうです。『浜松ホトニクス』
    ですよ。ノーベル賞受賞時には時折名前を出してまして。
    「神楽」の方(宇宙物理学)でもお世話になっているのでしょうね。
    宣伝しないから(する必要ないからですが)周知に至っては
    居りませんが、浜松はすごいのです。あそこを舞台に起業
    して成功を治めた会社のひとつです。
    浜松を舞台にした立志伝的なお話を作るべきでしょう。
    スズキ自動車やら豊田も含めて格好良く描き出しましょう。
    きっと今の若者たちに「夢」(dreem)を与えること必至。

  • 2009年刊行。著者は帝京平成大学教授。長い神経線維を持つ「イカ」が表題に上がることから、神経科学のうち、電気信号伝達に関わる所が中心課題かと予想。ところが、別途、エンドルフィンやドーパミン等の脳内化学物質、その薬理的な機序の解説、さらには覚醒剤等の嗜癖性の強い化学物質とそれの脳への影響に関しても筆が及ぶ。という意味で、ややテーマが散漫。のみならず、かつての精神疾患の外科的治療はまだしも、研究史や著者の個人的体験までとなれば、読みたいテーマが舌足らずなままで止まってしまったという印象は拭い去れない。

  • 色んな角度から人体について語った一冊。

    著者の話がうまくて読みやすかった。

  • 「神経」という細胞は意外に大きいものなんだ。特にイカが凄いらしい。
    カエル→イカ→アメフラシ→ネズミ→ネコ→ヒトと神経系の研究の道程をふり返った本。太くて調べやすいイカの神経の研究から始まり、ヒトの脳や神経系の研究に言及している。現代の最新技術を駆使した実験・調査手段に比べ、圧倒的に拙い実験器具や手段の時代の話が意外に面白い。一方で、後半の記述(つまり時代が下る)は、様々なエピソードの羅列が多くなって雑然とした感じ。それだけ、研究の幅が広がったことでもあろう。脳内麻薬のような生化学物質の話は面白いけど、ロボトミーの話はちょっと嫌だな。

  • 神経や脳科学の最新を、日本人がやった研究から順に案内している。

    戦前も日本人がイニシアチブを取っていた研究だったのに、戦争で1回リセットになってしまった。でも動物から丹念に研究していた成果が今またこうやって本で紹介されると、日本も捨てたもんじゃないと思える。
    最近の脳ブームよりもずっと楽しい。

  • 扁桃体には感情の記憶があり、好き嫌いを判別する細胞が容易してある。ここは全ての感覚情報の神経がつながっていて、手触り、におい、聴覚の皮質領域にも連絡している。つまり扁桃体の神経細胞はその人やものに関する全感覚情報の記憶を纏めている。

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著者プロフィール

元・帝京平成大学地域医療学部教授

「2013年 『天才と異才の日本科学史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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