テレビ局の裏側 (新潮新書 341)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103414

感想・レビュー・書評

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  • 表題の通り、テレビ局について知らなかった裏事情が書かれていました。
    テレビ局はスポンサー企業からの収入がメインなのでスポンサー企業にとても気を使っていることが改めてわかりました。ある会社に取材に行ったらスポンサーの競合他社のパソコンを使っていたため、全てスポンサー企業のパソコンに一時的に入れ替えて撮影した、と言う話には驚きました。
    また、番組のスタートが10時55分からなどキリの悪い時間からになったのは、他局でCMの多い時間にチャンネルを変えてしまう視聴者に自局の番組を見てもらうためだと言うのも、知らなかったのですが納得しました。
    やらせの話についてもいくつか事例が載っていました。事件の報道なども、視聴者の興味をひくネタのみとりあげ、興味をそそる話の方向に持って行く傾向があると書いてあり、そうだろうとは思っていましたが、いざそうだとわかると、報道局の担う重大な社会的責任について考えさせられました。
    テレビが伝える偏った情報を鵜呑みにするのは危ないと改めて思いました。

  • テレビについて少しは分かった!でも人から聞いて知ってた話も多かった!!どこまでが仕込みでどこからがやらせかという問題はどこかがちゃんと決めない限りは個人の価値観でしかないんだろうね。再現なのかノンフィクションなのか。そのあたりってどうでもい言っちゃどうでもいいけど、それが一歩間違えばねつ造になるところが怖いところ。この著書でもあるある大事典の事例は出ていた。
    この中で一番印象的なのは、トヨタの奥田取締役相談役の発言の部分はすこしぞっとさせるものがある。そこには報道機関が年金問題などで厚労省をこき下ろしていた時に総理官邸てで開かれた有識者会議の席で「(メディアが)朝から晩まで厚労省を批判している。あれだけ厚労省が叩かれるのは異常。何か報復してやろうか。例えばスポンサーにならないとかね。」と発言。同席者が、「マスコミは批判するために存在している。言い過ぎでは。」と反応すると彼は「編集権に介入できないといわれているが、やり方はいくらでもある」といったという。これが日本を代表する”エクセレントカンパニー”とやらの元トップの思考なんでしょうか。素晴らしい。脅し。でもこれってPRの双方向的なコミュニケーションじゃないよね・・・。(ちなみにこんなWEBサイト発見”奥田氏のマスコミ脅し「トヨタ広報部はパーフェクト」(大前研一氏)”http://www.mynewsjapan.com/reports/956

    ただそのうち、広告モデルはどんどん崩壊していくだろうし、そうしている間に、メディアは新しい収入源を見つけるだろう。というか、そうしなければ生き残れない気もする。広告収入の依存度が下がれば、企業におびえることはなくなる。企業との関係も解消に向かい、メディアが本来のチェック機能もう少し回復することができるかもしれない。ただ、テレビは電波を国から独占の認可を受けて運営しているから、限界はもちろんあると思う。企業の影響力も行政の周りに大企業の役員を天下りでもさせれは、少しは維持できるとも思うけれど。

  • テレビの本文は報道である。

    CMによる広告収入で成り立つテレビ業界。スポンサーに気を使い、番組の質が落ちて視聴率が下がるという負のスパイラル。

    広告媒体としての役割からの変遷が求められている。

  • 子供ころ、テレビで流されているものは
    全て正しい情報だと思ってたけど、
    テレビってスポンサーがいて
    やはりスポンサーに都合が良い
    情報が流れているのですよね。

    あるいはスポンサーとの関係を維持するために
    テレビは視聴率が取れれば社会に悪い影響が
    あっても放送してしまう。

    こういう悪い側面も考慮しつつ
    テレビを見ることが大事だなってこの本読んで思った。

  • 制作会社はキツイって話

  • 本書はフリーのテレビディレクターである著者の経験に基づき、徐々に世間の信頼を失いつつあるテレビ局の世間には余り知られていない側面を紹介している本です。

    冒頭のテレビ局の正社員と下請け、孫請けにあたる制作会社の社員の待遇格差に触れた内容から始まり、

    ・人手不足の制作現場の状況、
    ・女子アナ定年30歳説、
    ・「あるある大事典」ねつ造のプロセスとその背景、
    ・テレビ番組の「決定的瞬間」におけるやらせと仕込みの境界線、
    ・番組制作費ダウンの背景とそれが引き起こす事態、
    ・視聴率とCM収益の関係、
    ・スポンサーとテレビ局の力関係、
    ・スポンサーの逆鱗
    ・スポンサーに対する謝り方
    ・放送外収入確保に走るテレビ局、
    ・デジタル放送とテレビ局の関係

    等について書かれていました。


    本書によれば、CM料金の基準となるGRP(Gross Rating Point)は以下の計算式で導かれ、

    GRP = 視聴率(%)× CM本数(15秒を1本と見なす)


    例えば、視聴率が10%の番組で300本のCMを流した時のGRPは

    10 × 300 = 3000GRP

    となり、1GRPあたりのCM料金はおおよそ10万円前後なので、この番組のCM収入は

    3000GRP × 10万円 = 3億円

    となる。

    また、民放連の取り決めによりCMを流す時間は「総放送時間の18%以内」と定められているので、必然的にCM収入にも上限があり、その中で出来るだけ収益を上げようとすると視聴率にこだわらざるを得ないとの事。


    この様に視聴率にこだわる事情を抱えた民放各社。

    本書の解説によれば、これら民放各局がやらせやスポンサーに都合が悪い事は一切報道しない等、様々な世間の不信感を買うに至った歴史的経緯は以下の様な物らしいです。


    視聴率を追求していく過程で、1960年代半ばから登場してきたワイドショーを切っ掛けに、報道番組や情報番組、バラエティ等と言った番組の垣根を越えてそれぞれをミックスした新しい番組が登場。

    その結果、報道番組にバラエティ的(正確な内容よりも面白さを重視)な内容が増え、やらせ等で世間の信頼を失いつつある。

    また、娯楽番組でも長く続く人気番組になればタレントのギャラも増える。
    しかし、番組制作予算は増えない為、制作会社に支払われる番組制作資金がその分減り、苦しい資金で追い詰められた制作会社がやらせ等が起こす。

    加えて、広告市場が減少に転じた1992年から(テレビ局に対する)スポンサーの力が強くなり、この流れは福岡放送、北陸放送、静岡第一テレビ等のCM間引きの発覚により更に加速。

    この様な経緯を経て今ではスポンサーにとって都合が悪い事の放送自粛が当たり前になっている。

    そして、厳しい状況下で放送外収入の拡大に生きる道を求めるテレビ局は、赤坂不動産と言う異名を取ったTBSやコンテンツを利用した放送外収入開拓の豊富な経験を持つフジテレビ等、各局様々な生き残り策を模索中との事。



    本書を読んでみると、(本書の内容はフリーのテレビディレクターと言う著者自身の視点からの主張ではありますが)何と言うか・・・

    放送外収益の拡大も大事でしょうが、根本的にテレビ局は人件費も含めた全ての経費を見直して自社を余り維持費がかからない組織に変えていかないと、制作資金不足によりつまらなくなった番組内容が世間の興味を引かなくなり、それでも強引に世間の関心を引こうとやらせ等を連発。
    結果、スポンサーにはますます頭が上がらなくなり、その事が更なる世間の不信感、そして視聴率ダウンを招くじり貧状態にから抜け出せなくなりそうにも見えます。

    #と言っても、人件費カットはとても難しい事ですが・・・


    まあ、昨年には日本テレビが人件費カットと言うニュースもあり、今後、その他の各局も人件費カットに取り組んでいく可能性は大きいのではないかなと思います。

    しかし、この人件費カットにテレビ局が自分たちの取り分を少なくし、その分、下請けにまわすと言う側面がなければ、今後もテレビ番組おける不祥事は続々と続いていくのでしょうねえ。。。


    どうなる事やら。

  • [ 内容 ]
    明るい画面のすぐ裏で、スタッフは余ったロケ弁当で空腹をしのぎ、人気出演者は降板宣告に怯え、経営陣はタメ息をつく。
    広告費の激減、視聴率の恒常的低下…テレビという巨大産業が、もがき苦しんでいる。
    なぜ新聞を読み上げるだけの「情報番組」が横行するのか?
    なぜあの看板キャスターが交代したのか?
    スポンサーの地雷はどこにあるのか?
    ベテランディレクターが非難覚悟で業界の問題点と未来を実況中継。

    [ 目次 ]
    第1章 決して放送しない話
    第2章 なぜ必ず徹夜になるのか
    第3章 捏造してでも叶えたかった
    第4章 「決定的瞬間」はつくりもの
    第5章 人気番組ほどつらい
    第6章 お詫びの対象になります
    第7章 視聴者が変わる、テレビが変わる

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    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 自分のいる業界に詳しくなった!笑
    的確なことが書かれていて、納得納得の連続。テレビで働きたいと思っている学生さんにはオススメです。
    最近は、単にテレビを悪く言う本が目立つ中、身を置く業界を冷静に見つめた本です。
    テレビの現場が、夢だけじゃ働けない場所だと分かると思います。

  • 現役ディレクターが書いた現場の本。
    テレビ業界に少しでも興味のある人は、難しい本でもないので読んで損がないとおもう。

    裏側ってやつはどの業界にもあるけれど、テレビ業界の問題点が端的に示されており、その理由などに真実味があって面白い。

    テレビってCM跨ぎなど視聴者をイライラさせるような演出が多くなり、内容も80年代に比べたらすごくつまらなくなったと思うけど、この本を見るとさもありなんと思う。

    だからと言って、信頼できないメディアはやっぱり積極的に見ようとは思わないけど。
    テレビ以外のニュース映像配信会社があればいいのになぁ。

  • 知らないことがいっぱいでびっくりしました。

    自分の将来、テレビの将来を考えるとパンクしそーー


    けど、せっかくなら、どきっとさせるようなこと、したいな!!!

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