エコ亡国論 (新潮新書 372)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103728

作品紹介・あらすじ

地球温暖化交渉は、夢や理想を語る場ではなく、国益をめぐる激しい外交の場である。そこへ、鳩山首相によって突然打ち上げられた、「一九九〇年比CO2▲25%削減」構想。「ハラキリ」とさえ評される"公約"が推し進められるならば、日本経済はまちがいなく沈没する…元政策責任者として、温暖化問題の内実を知悉する気鋭の論客が、国民生活を襲うエコ不況に警鐘を鳴らす。

感想・レビュー・書評

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  • 「エピローグ」に「地球温暖化だけが、解決を迫られている問題ではない…温暖化の解決には、日本としてどの程度のコストと労力を注ぎ込んでいくべきか…もう一度、白紙から見直す時期に来ている」とある。
    世の「脅威派」とは一線を画し、冷静に見ようというのが著者の姿勢であろう。それには同意する。

  • 出版が震災前であり、COP21の結果が出る前なので、内容が古いことはいた仕方ないが、日本の交渉戦略や方針、トップダウンの削減量策定の失態が、理路整然と指摘されており、大変参考になった。

  • 鳩山元首相の1990年比でCO2を25%削減する構想など、地球温暖化問題を批判的に検討している。地球温暖化問題の「外交ゲーム」としての性格を鋭く指摘している。
    著者は、経産官僚出身であり、論調にかなりバイアスは感じたが、エコだから優先という短絡的な思考に陥るのではなく、いろいろな政策課題がある中で地球温暖化問題など環境問題をどう優先順位づけするのか(どれだけコストをかけるのか)という視点は大切だと感じた。

  • 鳩山元首相によって突如掲げられた「1990年比▲25%」の実際について。数字やデータのごまかし、見栄を分かりやすく暴きながら話を進めるところはさすが元官僚といったところ。

  • 序盤を読んで最近よくあるエコを標榜する諸政策に対してただできない理由を模索する、乾いた雑巾的論説かと思いきや、そうでもない。環境政策のウラにある政治的意図がデータと意図的すぎない考察をもとに語られている。環境という表面上聞こえのいい言葉の裏にある真意を見抜き、真の環境政策考察する上でこのような知識は必要不可欠だろう。

  • 日本政府として25%削減なんて、できるかどうかも検証していない数字をぶち上げるから、結局国民が振り回されておしまい。言った本人は今どこでなにをしてるやら。

  • 刺激的なタイトルとは異なり、内容は元官僚の著者による排出権取引制度、交渉の実態と問題点の紹介。国益に奔走する各国やEUのハザマで、民主党のCO2 25%削減宣言がいかにナイーブだったかあらためて認識。
    温暖化問題への取り組みは必要だが、排出権取引というのははたして適切な方法なのだろうか?行司役が不在の現状では、自国有利なルール作りに奔走するばかりに見える。
    排出権取引ではなく、やはり温暖化問題は、石油の枯渇に伴う、代替エネルギー問題と捉えるのが自然かもしれない。理想的には太陽光や風力だが、現時点での解にはなりえない。だとすると、いかに安全策を施した上で、原子力を当面維持するか、が現実的な課題なのではないだろうか?

  • [ 内容 ]
    地球温暖化交渉は、夢や理想を語る場ではなく、国益をめぐる激しい外交の場である。
    そこへ、鳩山首相によって突然打ち上げられた、「一九九〇年比CO2▲25%削減」構想。
    「ハラキリ」とさえ評される“公約”が推し進められるならば、日本経済はまちがいなく沈没する…元政策責任者として、温暖化問題の内実を知悉する気鋭の論客が、国民生活を襲うエコ不況に警鐘を鳴らす。

    [ 目次 ]
    1 スキャンダル続出で揺らぐIPCCの信頼性
    2 京都議定書が抱え込んだ重大な欠陥
    3 宣伝上手のEU、アメリカの使い分け、それぞれの外交術
    4 鳩山「一九九〇年比▲25%削減構想」への重大疑問
    5 暗礁に乗り上げた温暖化交渉、世界の現勢図
    6 経済無視、「一九九〇年比▲25%削減」がもたらす衝撃
    7 誤解と曲解だらけの国内排出枠割当・取引制度
    8 次代への枠組・セクター別アプローチへの考察と提言

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