- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106103872
作品紹介・あらすじ
虐げられても、貧しくとも、偏見に屈せず、たくましく生きた人たちがいた。哀しい宿命のターザン姉妹、解放同盟に徹底的に弾圧された漫画家、パチプロで生活しながら唯我独尊を貫く元日本代表のアスリート、難病を患いながらもワイセツ裁判を闘った女性、媚態と過激な技で勝負する孤独なストリッパー…社会はなぜ彼らを排除したがるのか?マスメディアが伝えようとしない日本人の生涯を、大宅賞作家が鮮烈に描く。
感想・レビュー・書評
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先日読んだ「一投に賭ける」は名著と言っても過言ではない作品でした。
無頼アスリートという惹句に惹かれましたが、中身は自分で自分をコントロールし、誰にも左右されずに独立独歩で生きて行く男の姿そのままでした。
この本にはそのアスリートの前段ともいえるインタビューが収録されています。やはりかっこいいな。関わると大変そうだけど。
他も、マスコミでは封殺されそうな人々の生きる様が描かれています。とても興味深い本で、誰も彼も強烈な個性です。
唯一ターザン姉妹は毛色が違くで、色物ルポタージュの様相を帯びています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「一投に賭ける」のもとがある
平田弘史 アキラの題字
溝口和洋
ウエイトトレーニング 平均4時間 他のとあわせて練習6時間
ソウル五輪 予選落ち 会場の雰囲気 日本語の声援
吉田雅美 風邪で寝込んでいるところドアをあける 吉田2000年自死
グランプリシリーズ 賞金は陸連に知らせず自分で受け取った
CM出演料はほとんどが陸連がもっていった
サンノゼ 四投目 87.68 再計測で87.60
1989年のグランプリシリーズを記録した国際陸連発行のIAAFマガジンの表紙は溝口
桂春団治
smith 鍛冶 ウェブスター 織物工、機織部、服部
皮田 比較職人 -
ノンフィクション
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著者は、自らも被差別部落出身であることをカミングアウトし、全国の被差別部落を訪ね歩いたノンフィクション『日本の路地を旅する』で昨年の大宅賞を受賞した人。本書は短編ノンフィクション集である。
内容は、見事なまでにごった煮。スポーツ・ノンフィクションもあればストリッパーのルポもあり、身障者へのセクハラ裁判を扱ったものもあり、著名落語家の評伝もあり……という具合。雑多な内容を一言でくくるため、こんなあいまいなタイトルが選ばれたわけだ。
全6編のうち、いちばん最初に収録された「異形の系譜――禁忌のターザン姉妹」がいちばんつまらない。というより、明らかに失敗作だと思う。
約60年前にマスコミに報じられた、年中裸でいたという「ターザン姉妹」の謎を追ったものなのだが、障害者への偏見がひどかったことを告発するのかと思いきや、そういう内容でもない。このノンフィクションを通じて著者が何を訴えたかったのか、さっぱりわからない。
なので、これを読んだ時点で本書を投げ出そうかとも思ったのだが、ガマンして読んでみたら、あとの5編はみなよかった。いちばん不出来な一編をなぜ巻頭にもってきたのか、その意図がわからない。
被差別部落について書くことが多い著者だが、本書で直接その問題がからんでくるのは2編のみ。一つは平田弘史の『血だるま剣法』事件を扱ったもので、もう一つは初代桂春團治の評伝だ。
『血だるま剣法』は主人公を被差別部落出身者と設定し、その描写に不適当な部分があったために部落解放同盟に糾弾された劇画。私も、最近になって伏せ字だらけで復刻された版を読んだことがある。マンガ史上有名な筆禍事件だが、本書を読んで初めて舞台裏がわかり、興味深かった。ただ、短かすぎて読み足りない。
上方落語の大スターであった初代桂春團治は被差別部落出身だったそうで、本書の評伝はその点に光を当てた内容。著者にとっては自家薬籠中のテーマである。これもちょっと短くて読み足りない。本一冊丸ごと使った長編評伝にしてほしかった。
残り3編は、被差別部落とは関係のない内容。3編とも甲乙つけがたい出来だ。
とくに、やり投げでオリンピックに2回出場した溝口和洋を描いた「溝口のやり――最後の無頼派アスリート」は傑作。やり投げという競技に微塵も興味のない私が読んでも面白いのだから、好きな人ならメチャメチャ感動すると思う。
沢木耕太郎初期の傑作『敗れざる者たち』の一編「さらば宝石」を彷彿とさせるところもある。ただ、沢木作品のように詩的でもキザでもなく、もっと無骨で熱いスポーツ・ノンフィクションだ。
溝口のキャラクターがすこぶる魅力的である。彼はたとえば、こんなふうに言う。
《「わしはアマチュアや」「プロはどっちかというと、細く長くやらなあかんやろ。わしは違う。あとはどうなってもいいから、一瞬でも世界の頂点いきたいだけなんや。そういう意味ではアマチュア」》
ストリッパー「ファイヤー・ヨーコ」を主人公にした「花電車は走る」と、脊髄性筋萎縮症の女性に対する主治医によるセクハラ事件を扱った「クリオネの記」は、著者が各ヒロインに向けるまなざしのあたたかさが印象的だ。
とくに「クリオネの記」はよい。女性身障者の性という難しい問題にも果敢に踏み込んで、“リアル『ジョゼと虎と魚たち』”という趣もある。
ヒロイン・西本有希と著者は高校時代からの知り合いだそうで、彼女が34歳で亡くなったあとに自宅を訪ねるラストシーンは泣かせる。著者は、自分で泳ぐことがほとんどできないクリオネを彼女に重ね合わせ、次のように文章を結ぶのだ。
《これからはクリオネを見るたび、君のことを思い出すことにしよう。
私はそれを、祈りに代えた。》 -
さらっと読んだ。
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上原節
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上原のルポを集めた作品集
タイトルはちょっと無理やりなので
信じてはいけない
ターザン姉妹と春團治が特に良かった
4.5点
四捨五入で★5 -
ターザン姉妹、解放同盟に弾圧された漫画家、パチプロの元槍投げ選手、筋委縮症でセクハラ裁判の女性、ストリッパー、皮田藤吉(初代桂春團治)に関するレポ。
主に各紙に掲載されたものをオムニバス形式に。
読み物としては、鹿児島のターザン姉妹に関するものが秀逸。 -
やり投げ溝口の生き方が好きだから、溝口の章は☆5