国家の命運 (新潮新書)

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著者 : 薮中三十二
  • 新潮社 (2010年10月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103902

国家の命運 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 2013.11.22 am 12:43読了。課題図書。元外交官が外交の裏側や日本の置かれた立場、実態について語る。本のタイトルからは想像できない内容。タイトルは少し格好つけ過ぎのような気がする。『タックス・ヘイヴン』と似たような雰囲気。外交に関する本は初読。外交交渉の手法について知ることができて良かった。シェルパの存在も初めて知った。著者の考えの根拠についてはもう少し掘り下げて欲しい部分もあった。加えて、改めてメディアの影響力の大きさを感じた。背景を知り、視点を変えることで、問題は異なる姿を見せることを実感。日本のメディアはもっと多様化するべきだ。政治や外交、諸外国に関する知識が必要と痛感。類似書籍を読んで考えを深めたい。

  • 元外務事務次官の藪中さんの実録。
    外交、という交渉事の最上級ステージをどのようにとりしきるか、については自信の経験をもとに非常に示唆にとんだ解説だった。国家を背負っている立場から、最初は高めのたまを投げる。その上で各省の実情を把握して振り幅を決めて、最終的に60vs40になるように交渉をすすめる。このへんのノウハウは日常にも活かせるものだろう。
    それと、非常に共感したのが日本における最大の問題はデモグラフィー(人口動態)であるということ。少子高齢化、というが高齢化はよい、世界に誇って良い。少子化、がまずい。労働力人口の減少は、どんなすばらしい経済成長にも変えられない。これを止めるためには、出生率をあげるか、移民を受け入れるかしかない。薮中さんは割りと後者を推している感があったが、個人的には前者に注力すべきだと考えている。
    いずれにしろ、今後の日本というマクロの視点でも、日々の交渉ごとというミクロな視点でも、とてもためになる本だった。

  • 明日お会いすることになったので、エチケットっとして読んでみた。レビューを書けるほどの知識・認識・常識がないことがよく分かった。

  • 国際交渉においては、受け身の姿勢でなく、オフェンシブな態度で臨むことが重要である。また、日本にはODA分野や技術力の高さなどで世界に貢献できる部分も多く、そのためにも攻めの姿勢が求められる。
    外交交渉においては、相手を知り、己を知ることが大切で、攻めの姿勢やロジカルさ、大胆さも求められる。
    少子高齢化が進む日本で衰退から脱却する為には、国内政策を大幅に転換することが必要だが、FTAや外国人労働者の受け入れなど外交もまた重要な役割を果たす。

  • 外務官僚の交渉の裏側を書いた本。読んでいて少し飽きてしまった。

    話の中で印象的なだったのは、日本で講演するときとアメリカで講演するときは質疑応答の時間の配分でずいぶん変わってくるといった趣旨の内容があった。日本人は質問が出ないとのこと。日本人の美意識として質問をしないことがマナーといったようなこともある。質問する人は少しガツガツした印象をどうしても持ってしまうこともある。

    でもこれは恐らく、質問する人の雰囲気や間といったものが大切なんだろうと思う。今日実は1時間半の会議を30分で終わってしまった。一番遠くからは北見から来ている人に対して、それは相当失礼と私は捉えた。が、一般的に見たらスマートで会議の短縮ができたということなのかもしれない。淡々と報告することは楽だが、報告だけなら書面で十分だと考えている。一方で質問が出なかったことに安堵を覚えたのも事実。質問が出てもなんでも答えられる・・・、そんな気持ちで早く今の部署で力を発揮したい。

  • スケールの大きな話ではあるが、外交交渉における「51対49の原則」や「オフェンスこそ最大のディフェンス」という点は非常に参考になる。
    日本人としての誇りを持って、世界に立ち向かっていかなければいけない。

  • 小泉政権時に外務省の事務次官を担当した薮中氏の著書。元官僚が政治や現役官僚をバッシングするような今はやりの内容ではなく、外交交渉における交渉のポイントを平易な言葉で現実の案件を例示しながら記している。非常に読みやすい。
    元事務次官ということで外交関係の秘密や暴露は一切なし。ポイントも外交交渉において求められる人間と人間の関係とは、ということを中心に書かれているので具体的な事案の内容を知りたい読者には物足りないと思う。その意味で記録ではなく、ビジネススキルに近い内容である。
    しかし、本書を読むと、外交とは国のエゴのぶつかりあいだとか、政治家のパフォーマンスだとか昨今いわれるが、そうではなく、自国の課題や現状をしっかり踏まえて、言うべきことは論理的にしっかり伝え、そして相手と信頼関係をしっかり作ってお互いに妥協点を探っていく、そういう当たり前のことが必要であるということが改めて理解できた。
    今の日本を考えると、信頼関係という意味では総理も外相もコロコロ変わり、言うべきこと、伝えるべきこともコロコロ変わるは、言うことは言わずに国内で騒いでいるだけだし、日々国益を損なっているのではないかと危惧してしまう。
    これは民主党や今の外務官僚のせいではなくて、一部の国民が、非常に一面的に自己の利益ばかり主張し、それを誇張して報道するマスコミがあり、そして何の責任もとらないその他の一般国民が評論家的に政治・行政を批判し、そして政治・行政がそのポピュリズムに負けてしまい何も決められない・・そんなことの繰り返しであると今更ながら考えた。

  • 六カ国協議の日本代表をとりまとめたアジア大洋州局長であり,最終的には外務事務次官であった藪中氏。
    その外交の実質トップが退任してすぐに書く外交の本なのだから,おもしろくないはずがない。
    普段,「外務省は・・・」と否定的に捉えることが多かったが,その外務省が実はどのように活躍していたか,活躍していなかったかがわかった。国際政治のバランスのようなものも感じ取ることができる。おもしろい。
    日本的外交は非常に敏感。例えば,オバマ大統領の一般教書演説に日本の名前が出るかどうかなどは,本来,日本としてはそれほど気にする必要がない事項。にもかかわらず,とくにマスコミが先導して,相手の反応を過大に感じ取りすぎ,自ら不利な方向に動くよう働きかけてしまうという点には納得。

  • 良く言われる話であるが、日本は欧米という目標に追いついた後、方向性を見失った。著者の言葉「日本人は、戦後、何はともわれアメリカの言うとおりにしよう。それが間違いの無い道だ。という単純な思考パターンになったのではないか。」 外交の交渉担当のトップでもあった氏は、日本の政治家/官僚は米国の要求をいかに応えるか、のみに神経と思考を巡らし、どのように相手を攻撃(オフェンス)するかの思考が欠けている述べている。
    外交に限らず、仕事でも顧客様の要求に如何に応えるかが大事なポイントであることが多い。しかし、この思考パターンは、極めて日本的であるのだろう。ビジネスであれ、外交であれ相互依存関係が必ず成立する。その関係においては、相手を攻撃したところで簡単に関係は崩れるはずはない。交渉の現場では、如何に相手に過大な要求をつきつけ、如何に相手の弱みを攻撃し、どのように味方の強み/功績をアピールするか。 氏の経験談も交えて分かりやすく説明している。 

  • ほんの少し前まで最前線で日本外交の交渉を担ってきた方で、将来への憂いを滲ませる著作。まあ、現状を鑑みれば誰もが感じざるを得ない認識です。
    新書の内容としては少し軽めで、過去の体験を踏まえたエッセイが中心。やはり詳細な話は外交上差し障りがあるので話せないのでしょう。外交官は最後に歯を見せてはならない(笑顔)と言われるほど、こちらが「勝った!」と相手に思わせてはならないといいます。秘密をどこまでも抱えていなければならない立場としては、ぎりぎりの話なのでしょう。
    外交上の駆け引き術やこれまでの外交交渉の内幕はそれなりに面白かった。

  • 著者の薮中三十二氏は、2008~2010年に外務事務次官を務めた外交官。大阪大学法学部3回生のときに外務省専門職として外務省に入り、入省後外務省上級職(外務キャリア)に合格した、事務次官としては異色の経歴を持つ。
    本書では、1980年代後半の北米局課長としての日米経済交渉から、2000年代のアジア大洋州局長としての北朝鮮核問題の6ヶ国協議、更に経済・政治担当外務審議官、外務事務次官としての体験を振り返ったものである。但し、自ら「外交インサイダーとしての立場を利して、個々の政治家について論評したり、暴露的レポートをお届けしたりするつもりは毛頭ない」と語っているように、関わった外交関連の課題の全てがカバーされているわけではなく、回顧録というよりは、外交交渉に関する普遍的な問題・ポイントをまとめたものという印象が強い。
    印象に残ったポイントとしては以下である。
    ◆総じて日本人はロジックが苦手。日米経済交渉でも、対米の「ご理解いただきたい(please understand)」、対内的な「これでは日米関係がもたない」の二つのフレーズがよく出てきたが、論理性を欠いた考え・表現は役に立たない。
    ◆日本ほど自国への視線と評価に関心を寄せる国民は他にいない。外からどう見られるかに神経をすり減らすくらいならば、国際社会において日本に有利なシステムをどのようにして作るかにもっと関心を向けるべき。
    ◆交渉相手が英語を母国語とする場合は、通訳を使った方がいいこともある。通訳がいれば、相手の話が通訳されている間に「次の一手」を考える時間ができる。また、言い間違いや誤解を恐れて集中力が途切れるくらいなら、通訳を使う方がいいし、一向に構わない。
    ◆最終局面で交渉に臨むとき、合意のモメンタムを逃さずに行動することが大事。本国に戻って最終了承を取り付ける必要があっても、交渉官同士の信頼関係ができていればまず問題はない。まとめは、勇気をもって決断すること。誰もが満足することはありえないので、大事なのはバランス感覚、これならいける、という読みである。
    日本外交交渉に関わる思考は、ビジネスの現場にも通じるものとして参考になる。
    (2010年10月了)

  • 外交交渉の原則「51対49の原則」は、外交に限らず、日常の仕事にも通じることだと痛感した。

  • 51対49の原則などは、ビジネスの世界でも意識していきたいと思った。

    マスコミ各社には、官僚や政治家を批判するだけではなく、こういった頑張りの裏側も報じて欲しいと心から思う。

  • 単なる新書かと思ってたら、意外とこっそり暴露だの皮肉めいたことを言っていたりだのしていて、面白かった。

    タイトルは特に内容と関係ありません。

  • 「英語を使って仕事がしたい」「海外で仕事がしたい」そんなことを考えている人は必ず読んでほしい。

    日本が海外からどう思われていて、何を期待されているか。その中で日本が世界でどんな役割を果たすべきか。

    そんなことがよくわかる本。英語が好きな人は絶対読んでほしい。

    著者がテレビ東京の「カンブリア宮殿」に出演したビデオもあります。

  • 外国からみた現在の日本の立ち位置がわかる新書。

    元外交事務次官の記録や持論をまとめている。

    私が一番興味深かったのは北朝鮮での外交である。
    北朝鮮という国の外交手段を知れてタメになった。

    日本は受け身の国。
    それが美徳だと謳う我々日本人は、いつか列強の圧に苛まれ苦しむ未来を想像してしまう。

    読んで学んだことは、
    今の日本に危機感を持つこと。
    そしてある程度生き抜くためには、したたかさが必要であること。

    様々な生き抜く強さを急務とする。
    そんな日本の現状を垣間見れた本だった。

  • 毎日の地下鉄3駅分の往復だけでほぼ読めました.ちりも積もれば山となる.

    ご存知の方も多いと思いますが,薮中さんが書かれたもので,外交がどういう風に進められているのか,詳しく知ることができます.

  • 題名と中身に少々違和感あり。
    公には出来ない事もあるだろうが、外交官としての仕事の上っ面を見せていただいたなぁ~という感じ。
    北朝鮮の話は興味深かった。

  • よくある官僚(特に外交官経験者)の体験紀。
    題は仰々しいが、内容は著者自身が経験した幾つかの交渉の中で感じたコミュニケーション・交渉におけるエッセンスの紹介。
    日経新聞の「私の履歴書」あたりに出てきそうな体裁であった。

  • 元外務省事務次官の著者が語る、外交の現実。特に北朝鮮との交渉の裏側は興味深い内容だった。今後の日本は閉鎖的にならず、海外に対してより通商国家としての位置づけを推進すべき、という指摘は、学者や評論家でなく、実際に国家間の外交にあたった著者の経験を踏まえもので説得力がある。

  • ・外交の現場での、一貫したロジック、一方で場を和ますユーモアの重要性など、交渉に関するスキルを分かりやすく説明。外交のみならず、様々な分野で応用できる要素が多く含まれていると思う。

    ・北朝鮮に関する部分は、特に第一線を張っていた方ならではの、臨場感があり面白かった。

    ・扱うトピックが多岐に渡った分、少し総花的で、表面的な章もあったように感じた。

  • 本人直々にいただいたもの!
    サイン入りww

    藪中さんの、長年にわたって積み重ねてきた
    交渉skillやテク
    そして数々の逸話が
    読みやすく並んでます

    近年の日本外交の裏側がわかる!
    役人のすごさを実感☆

  • 日本の国際貢献の在り方について、光を投げ掛ける書。
    自衛隊派遣でもなくお金だけでもない、世界的にも評価されている日本外交の一側面を、もっと報道してほしいと思いました。

    少子化については、フランスで出生率を2以上に押し上げた政策を挙げながら、外国人労働者受け入れ体制の強化もうたう。うーん?と思わせて、その心は、語学教育などのサポートや安定した地位の確立によって、外国人による社会問題を防ぐことにある。(国内では介護は賄えないとのご意見)

    若者の内向きについては、留学生の少なさを挙げ(が、人口に対する割合は同程度だし、今に始まった話だろうか?)発言の少なさを嘆く(恥の文化もあるが、欧米のように子供の頃からそういう訓練をしない教育の問題でもある)。後押しするしくみの提言がほしい。

    譲れないものを明確にして、省庁の権益を度外視して横断的に政策決定をすること。交渉相手と信頼関係を築くこと。ごまかしのウソをつかず、譲れないことの優先順位を段々に伝え、実現できないことははっきり言うこと。そのための交渉の糊代、国内で受け入れられるかを把握すること。


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国益を背負う外交の現場とは、いかなるものなのか。世界という視座から見た日本は今、どういう国なのか。戦後最大の経済交渉となった日米構造協議の内実、にわかに台頭する中国の外交スタンス、独裁国家北朝鮮との話し合いの難しさ、先進国サミットの裏側…四十年余の外交官生活をふり返りながら、衰えゆく日本の国勢を転回させるための針路を提示する。

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