公安は誰をマークしているか (新潮新書)

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著者 : 大島真生
  • 新潮社 (2011年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104336

公安は誰をマークしているか (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 公安警察,特に警視庁公安部(総勢1100名)の組織と業務内容を紹介。このほか都内の警察署には警備・公安担当の捜査員が1200名もいるらしい。
    警視庁公安部は,公安総務課,公安一~四課,外事一~三課,公安機動捜査隊をもつ。警視庁の中の組織にも関わらず,予算や指揮権は警察庁警備局が握っている。他の道府県の警備部公安課も同様に,各警察本部でなく警察庁からダイレクトに指示を受けて動く。
    公安警察は,戦前の特高警察の系譜にある。敗戦後,一時解体された特高だが,共産主義勢力の台頭に対抗する逆コースの流れの中,昭和27年に現在の警視庁公安部に当たる組織として復活する。当初の監視対象は戦後も暴力革命路線を堅持していた日本共産党で,現在も公安総務部が共産党を担当。
    公安総務部は他にも統一教会やパナウェーブ等の新興宗教団体,グリーンピース等の過激な環境団体も対象にしている。また,産業界の内部や官公庁内に隠れる共産党シンパもウォッチしてきた。場合によっては身内であるはずの警察官も監視の対象になる。
    公安一課は,革マル以外の左翼過激派,公安二課が革マルを主に担当。戦後の一時期,一世を風靡した新左翼も,最近では大学構内での若手獲得(オルグ)も難しくなり高齢化している。平成に入ってからもテロ・ゲリラは発生しているが,やはり先細り感は否めない。
    新左翼については,以前ブログに概要をまとめた(http://d.hatena.ne.jp/Polyhedron+diary/20110913/1315922865
    )。中でも公安二課が対象とする革マルは,特に盗聴に長けていて,偽造した警察手帳で警官になりすまし,無線を傍受して警察活動を丸裸にして警察を逆に監視していた(平成十年の浦安アジトショック)。公安三課は右翼を担当。右翼団体の情報を得るために,幹部と食事や酒をともにするなど,相手との人間関係を良好にしている捜査員もいる,というのが公安三課独自の特徴。最近では組織としての活動実態に乏しい潜在右翼なども時々暴発する。それを未然に防ぐ操作はかなり難しい。
    外事二課はパキスタン以東のアジア諸国,外事一課はそれ以外の国々のスパイを担当。身寄りがない日本人になりすます「背乗り」などでスパイは情報を収集するが,それを摘発することを最大の任務とする。外交官の不逮捕特権によって捜査が阻まれることも。不正輸出にも目を光らす。
    外事三課は国際テロ組織を捜査対象にする。日本に潜伏するテロリストや,国内で起きる国際テロ組織による事件を担当。公安警察の活動は,隠密を旨とするなどあまり表に出てこないもので,時々行き過ぎも起こる。国民が関心を持って公安の活動をチェックすることが望ましいと著者は言う。

  • 文字通り公安というのがどういう組織で、どんな仕事をしてるかを綴った一冊。

    国民から見えにくい公安の活動について知ることができた。

  • こんな本、書いちゃって良いのかな〜。公安警察からクレームが来てないかな〜。。。

  • 聞いたことはあるけど、知らなかった世界。
    昔話かと思ってたけど、今もしっかり存在する団体。
    「過激派」「赤軍」などの思想は今もあり、公安は密かに戦ってるんだなあ。
    日本人として、も少し危機感持っていかないとなあ

  • 公安組織とその実状がバランスよく記述されている。
    逆に言えば,内容が表面的で深みがあまりない。

    公安の導入本として読むといいと思う。

    公安に関する本は,本書が初めてなので,
    個人的には面白かった。

  • ・公安は、警視庁(東京都)の公安部・警備部と、警察本部警備部公安課・その直下の各警察署公安担当をまとめた総称である
    ・それとは別に、警察庁警備局があるり、表向きは警視庁公安部や全国道府県の警察本部公安課の予算配分や指揮系統を統率しているが、実態は警視庁公安部の力量が大きすぎて、彼らの発言権・決定権が強く、調整役といったほうが適している。
    ・刑事部が個人や組織の犯罪を取り締まる役割を担うのに対し、公安は国家を脅かす犯罪を取り締まることが主務とされる。テロ、スパイ、左翼の違法行為など。
    ・両者は時として捜査対象が重複することがあり、刑事部が完全な上下の指揮系統で動くものの、公安は同じ警察本部・警察署に包括されていながらも、本部長・所長の指示を無視して公安独自のダイレクトな指示を受けて動いている。
    ・そのため、情報や捜査方法が共有されず、刑事部とは犬猿の仲。刑事たちは、公安のことをハムと蔑称。
    ・警視庁公安部には、9つの課があるが、中でも公安総務課(公総)の課長は、公安部長・参次(二人)に次ぐナンバー4のポジションであり、他課の決裁権をも持つ。もちろんキャリア組。
    ・警視庁には、公安部とは別に警備局が独立してあるが、要人警備が主務。警衛課が天皇・皇族担当、警護課が政府要人や国賓担当。映画SPの岡田准一は警護課。道府県の県警本部や警察署では、警備部の中に公安課が内含。
    ・捜査対象の基本的情報を調べることを基調、日時の行動を監視することを行確、徹底監視することを視察、盗聴は秘聴、盗撮は秘撮、捜査は作業や業務、基調や視察で不審者の実態解明をする捜査を総称して解明作業という。
    ・対象の組織にスパイ協力者を養成するのが作業班・指導班と呼ばれるエリート秘密部隊。四係とか、ナカノ・サクラ・チヨダ・ゼロなどが隠語。実際の逮捕・摘発を行うのが事件班。
    ・スパイとまではいかないが、情報提供者を見つけ、感触を確かめることを面接、協力者にスパイ活動させることを運営、協力者と密会することを接触、予算上、面接費・運営費・接触費用などが割り当てられる。要は、協力者への報酬。
    ・公総は、もともとは共産党を取り締まる課。最近は、共産党の活動自体が下火になっていることから、組織維持のためにも様々な相手を操作対象としている。カルト宗教団体(アレフ、統一教会、パナウェーブ)、過激環境団体(グリーンピース、シーシェパード)、NHKや政財界・法曹界・マスコミまでマーク。選挙時には、刑事ニ課が不正取締にあたるが、公総でもマーク。実際に公総が共産党の公職選挙法違反を検挙したこともある。
    ・オウム事件では、公安一課と公総が解明・追跡作業に当たる。
    ・公安一課は、革労協(主流派/反主流派)・中核派・革マル派三大セクトを中心とする極左暴力集団(社会主義・共産主義革命を標榜して暴力活動を展開する集団)を担当。反米・反皇室・反戦のほか、成田空港反対など、過激な行為を繰り広げる。
    ・日本トロツキスト連盟+学生運動=日米安保全共闘運動。共産同は学生紛争の中心セクト。中でも最過激派だったのが赤軍派。公安から逃れようと、北朝鮮に渡ったのがよど号事件(日航機ハイジャック)。中東に渡ってパレスチナのテロ組織と国際テロ事件を繰り広げたのが日本赤軍。国内残党が京浜安保共闘に合流したのが、連合赤軍。あさま山荘事件は、彼らが実行。ダッカ事件(インドの日航機ハイジャック)も日本赤軍が赤軍メンバーの人質解放を目的として起こした事件。六人が解放され、海外逃亡。
    ・どのセクトも、高齢化や共産思想の後退化によって縮小傾向。公安一課も人員削減。
    ・公安二課は小規模過激派(諸派)と革マル担当。革マルは、警察無線の暗号読解と傍受・警察手帳の偽造などで、一時は警察最大の敵に。JR東日本や早稲田大学を拠点としていた... 続きを読む

  • 公安関連の入門書としては良書かと。具体的な捜査方法などが知りたいのであれば(外事課に限られるが)、「秘匿捜査(竹内明)」の方がそこそこ詳しいですが。

  • 基本的(法的・建前的)には自治体警察機構である日本の警察の中で、公安警察は国家警察の体をなす。その職務故に、秘密のベールに包まれている部分も多いようだ。そんな「公安」のベールを剥がす内容を期待したが、あまりその実態は詳らかにされていなかった。比較的最近に公安が関わった事件、過激派、ゲリラ、テロ、スパイ・・・を具体的に振り返って紹介しているが、その捜査や行動の有様は記されていのがちょっと残念。面白そうな趣向だったのに、ちょいと消化不良。

  • 2012年8月24日に、P154まで読んだ。

  • 反社会性団体や公安そのものに興味ある人には良い資料だと思うが、私には興味が持てなかったので、途中で読むのを放棄してしまった。

  •  本書は、普段一般に知られていない「公安警察」についての書である。本書の冒頭においても「わかりにくい組織」との書き出しから始まっているが、読んでみてもわかりにくい組織であると思った。
     警視庁に「公安部」があり、46都道府県の警察本部の警備部に「公安課」がある。警察庁にも「公安課」があり、最高検察庁・高等検察庁にも「公安課」がある。このように公安組織が分かれているには、それなりの歴史と任務内容の分担があるのだろうと推察はできるが、これは官僚組織の肥大化そのものではないのかと思った。
     国家の危険を未然に防ぐ公安組織のそれなりの意義は、本書を読んで理解できないわけではないと思った。確かにかつては「70年安保」や「全共闘運動」、「連合赤軍事件」等々が激烈な社会活動・事件等があった。最近でも「オウム真理教」事件や、「アルカイダ」のテロ等々、様々な事件がある。
     しかし、1991年のソビエト崩壊・冷戦終結以降、アメリカにおいても「平和の配当」として軍事費は大幅に削減された歴史がある。現在の日本において、日本共産党が暴力革命を目指す危険な組織と見るものは一般にはほとんどいないと思われるし、いわゆる過激派も社会的影響力はほとんどないようにも思える。
     「公安組織」はその特性上、活動内容がほとんど明らかにされていない。それを理由にもう必要でなくなった巨大組織が延命をはかってきたのが日本の公安組織の現状でないかとの危惧を本書を読んで思った。
     やはり、国民の目線を意識しなくなる国家組織は腐敗するのではないだろうか。本書はほとんど知られていない公安組織に光を当てたと言う意味で、価値があると思った。

  • 最近、警察小説をよく読むのだが、公安の組織が今ひとつよくわからず本書を購入する。非常に読みやすいが新書で二百頁余りなので深い内容は端から期待できない。但し『公安警察の入門書』としてならお勧め。一方、監視される側の組織については、立花隆氏の『共産党の研究』、『中核VS革マル』がお勧め。30年以上前に書かれたものなので情報の古さは否めないが、著者が気鋭のノンフィクション作家として一番脂が乗っていた時代の作。さて、本書に戻るが大満足とは言えないまでも、資料価値はあるので読書の友として手元の本棚に突っ込んでおく。

  • 外国スパイが普通に暮らしているとか、
    今でも共産党関係には目を光らせているとか、
    これまで全く知らない内容でした。
    自分の周りにこんな世界もあるんだなあ。。

  • 2012/1/13読了。

    公安というくくりで世間を切り取ると、戦後の様々なできごとが一味違って見える。オウム、赤軍連合、右翼、スパイ、直接の関わりがない世界を知る手段、好奇心の対象としては面白い。

  • 公安総務課VS共産党
    公安一課VS過激派
    公安二課VS革マル
    公安三課VS右翼
    外事一課VSロシア
    外事二課VS中国・北朝鮮
    外事三課VSテロ(アルカーイダ)

  • 著者は産経新聞入社後、警視庁公安部・警備部担当の記者になったキャリアの持ち主で、本書はその経験をもとに書かれたものです。

    著者の手による後書きによれば、本書は

    公安警察はテロやスパイ行為を防止するため様々な活動を行なっているが、その活動を国民の適切な管理下に留めるため、国民は公安警察に関する正確な情報を知る必要がある

    との観点から書かれており、警視庁公安部を中心とした警察庁、各都道府県の公安警察についての解説が載っています。


    冒頭、公安という言葉の意味についての解説から始まり、序章で

    ・刑事警察は殺人犯、強盗犯などの一般的な刑事犯罪を専門とする一方、公安警察は国家体制防衛を目的に行動している。

    ・第2次大戦敗戦後、GHQにより自治体ごとに分離させられた警察組織だがそれは刑事警察のみで、公安警察に関しては全国の公安警察が警察庁警備局から直接指揮を受けるシステムがある。

    ・警視庁公安部門の人員は約2千数百名にのぼり、全国トップの陣容を誇り、その力ゆえ、警察庁も警視庁の意向を無視できない。

    ・公安警察と刑事警察の仲の悪さは本物。

    と言った公安警察に関する概説が行われています。

    序章の後は、1章から8章まで警視庁公安部の各部門(公安総務部、公安一課、公安二課、公安三課等々)の組織とそれぞれの部門がどの様な相手(左翼、右翼、北朝鮮、中国、アルカイーダ等)を専門としているかを、公安部が検挙した事件の解説を通して読者に伝えています。


    昭和の時代には日本共産党やそこから分離した過激派の取り締まりがメインだった公安部が、共産勢力の弱体化・高齢化に伴い、組織の存在意義の確保を目的に、調査範囲を公明党の情報、政治家のスキャンダル、NHKの次期会長候補の身辺調査、シーシェパードなど過激な抗議活動を行う民間団体等に広げて行っている事や

    2003年に摘発された「征伐隊事件」の捜査において、現場の物証や目撃証言を下に捜査をすすめた刑事警察が犯人グループを逮捕した一方、既存の右翼団体などから集めた情報を下に捜査をすすめた公安警察は犯人逮捕が出来なかった事などが印象的な内容でした。

    #ただし現在では、本書の8章でも取り上げられている公安機動捜査隊が拡充され、公安独自の鑑識活動を行なっているとの事。


    尚、各章で取り上げている部門は以下のとおりです。

    1章:公安総務部
      相手:日本共産党、過激な抗議活動を行う民間団体、カルト教団等

    2章:公安一課
      相手:左翼過激派

    3章:公安二課
      相手:公安一課が扱っていない比較的小規模な過激派、メインは革マル派

    4章:公安三課
      相手:右翼

    5章:外事一課
      相手:非アジア圏内の外国スパイ、メインはロシアのスパイ

    6章:外事二課
      相手:アジア圏内の外国スパイ、メインは北朝鮮と中国

    7章:外事三課
      相手:アルカイーダなどのイスラム過激派

    8章:公安機動捜査隊
      相手:公安事件の初動対応及び公安専門の鑑識等、
         理系の頭脳集団(2003年には天然痘ウイルス感染判別キットを開発)

    9章:公安調査庁
      相手:オウムなどのカルト教団、権限なし、実力なし。現状、ただの書類仕事専門の役所。


    刑事ドラマの悪役として登場することが多い公安部。

    彼らについて網羅的に書かれた邦書は現在、私の知っている範囲では本書のみです。

    #まあ、公安に関する本を読みあさっている訳ではありませんが・・・

    とは言え、新書形式で読みやすくまとまっているので、日本の公安について知りたければお勧めです。

    興味のある方はぜひ。

  • 知らない世界があるものだ。今でも革マル派などの過激派を追っているということも。

  • こういう抗生物質的存在の
    果てしなき「索敵」活動はかすかな不穏を感じさせる。

    たとえばこんな一文がある。
    「共産党の活動が下火になったため、組織を維持するために対象範囲を広げざるを得ない」

    縮小に向かう内部的な力はないであろうこの組織の手綱を
    誰がどのように握るのかは、注視されるべきものだろう。

    この本自体はそれほどセンセーショナルでもないが、
    あわせて野中広務を読んでいたので、なかなか楽しめた。

  • 小説やドラマでも描かれるけど、謎めいた存在の「公安」。中でも本書は、「公安の中の公安」と呼ばれる警視庁公安部の各課の役割を詳述しつつ、公安警察の来歴や特殊さも描く。彼らの努力が日本の安全の一翼を担っているのだと感じられた。(長江貴士)

    ▼『ジセダイ』140文字レビューより
    http://ji-sedai.jp/special/140review/20111019.html

  • 過去の事件と紐付けて公安の組織を分かりやすく説明している。東京だけでなく地方の様子も説明している。

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公安は誰をマークしているか (新潮新書)の作品紹介

盗撮、盗聴、徹底監視。必要なら身内さえ尾行する。決して公にしない捜査手法で、公安警察は誰を追っているのか。共産党や過激派が失速し、オウム事件から十六年が経った現在、何と闘っているのか。潜在右翼の増殖、シー・シェパードの横暴、サラリーマンを狙うロシアスパイ、北朝鮮工作員を支援する「土台人」…。特高警察のDNAを受け継ぐ公安最強の組織・警視庁公安部の事件簿から、その実態と実力を描き出す。

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