暴力団 (新潮新書 434)

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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104343

作品紹介・あらすじ

なぜ暴力団はなくならないのか?学歴、年収、出世の条件とは?覚醒剤や野球賭博でどのように儲けるのか?女はヤクザになれるのか?なぜヒモが多いのか?刺青や指詰めのワケは?警察との癒着は?ヤクザが恐れる集団とは何か?出会った時の対処法とは?その筋をも唸らせた第一人者が、時代ごとに変化し、社会の裏で生き延びる「わるいやつら」を、やさしく解き明かす「現代極道の基礎知識」。

感想・レビュー・書評

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  •  初版が十数年前の発行で社会情勢が変化してきており、現在のヤクザ像と若干離れているが、その当時に、現在の暴力団の衰退と半グレの台頭を的確に予測しており、またリアルなヤクザ像の描写は、反社取材の第一人者として的確な洞察力を感じた。本書を読むまで、溝口さんの著作は割と暴力団側に立った目線で書かれているのかと思っていたが、感情を排して客観的、合理的に書かれた姿勢から、内容に信憑性を感じられた。

  • 暴力団とマフィアの違いを学ぶとことで今の日本と、今後日本がどうなって行くかについて深く考えさせられる作品でした。

  • 暴力団の基礎情報と、刊行時点での彼らの置かれた状況を伝えている。コンビニフランチャイズ的な組織構成、シノギ(稼ぎ)の分類、内部の人間関係、海外マフィアとの比較、警察の取り組みへの評価、半グレとの違い、一般人が対応する場合の心構えなど。

    まえがきに「美化せず、意地悪にも書いていない」とある通り、大半は中立的な見方で暴力団の一般的な実態や歴史が述べられる。しかし、終盤には、「暴力団は必要悪」という一般にもそれなりに流通している見解を誤りと断言し、暴力団に対する甘い見方を否定する著者のスタンスを明示。「政治家、商売人、警察官に良い悪いはあっても、暴力団だけは悪い暴力団しかいない」という、筆者が元暴力団幹部から聞取った言葉が代弁する。

    暴力団の置かれている立場としては、全体に苦境でジリ貧とする報告で一貫しており、今後は消えゆく存在を観察している心境を窺わせる。実際に、2011年刊行前の時点で7万人台までに減ったとされている勢力数は、このレビュー投稿時点で2万8200人と激減、15年連続の減少とある(Wikipedia、警察庁発表の2019年末時点)。本書を読む限りは暴力団の良し悪し以前に、経済的に厳しく、「使用者責任」により暴力での威嚇も困難で、新しい時代の商売に適応できず、入ると人権がないうえに抜けにくく、引退すれば食い物にされるなど、(下級構成員は特に)ヤクザであることのマイナス面ばかりが目立つ。

  • 怖いもの見たさで読んでみたが、ところどころ論理が飛躍していたり、読みづらい文章が散見された。これから暴力団は縮小していくか、新たな時代にシノギを見つけて存続、拡大していくかはわからん。社会のルールを守らない強みを最大限に活かすことで、発展する可能性もあるのでは?
    「打算的な利害関係や暴力的な強制力ではなく、親分の能力への信頼と依存、集団の規則、親分への好感や敬愛などが子分の行動を規制する要因になっている」→社会とかわらんな。

  • シノギ、上納金など、暴力団独特の仕組みについて、簡単に書かれている。
    名前を借りることで円滑に違法行為を行うことから、フランチャイズに近いという表現はなるほどと思った。

    暴力団に対しては法的な締め付けがキツくなり、利益の上がる活動ができなくなり、経済的に追い込まれ、それに伴い新規組員も減っていく落ち目の状況だという。

    本書は10年前に書かれたものであるが、暴力団にとって厳しい状況は変わってないだろう。代わりに最近話題の半グレ集団が台頭してきており、今は裏社会のプレーヤーの過渡期にあるのかもしれない。

  • 興味深く読めた。

  • ここ数年、アスベストが使われた建物の老朽化が進み、その解体工事が増えているとの事。確かに、街中でときどき解体現場を見かけますが、その工事を暴力団が担っていることが結構あるなんて知りませんでした。解体時に発生するアスベストの粉塵は、たとえ防塵マスク付けてようが体に吸収してしまうらしく、一般の人は誰もやりたがらないので、暴力団が引き受けて中国人等の安い労働者にやらせているそうです。それが資金調達の方法なんだとか。東日本大震災のがれき撤去作業なども暴力団が手をつけようとしているらしいです。何か、皮肉なモンですよね。僕らはただ自分達のやりたいことだけをやって、アスベストの除去とか放射線下でのがれき撤去とかやりたくないことを人任せにすると、結局それが暴力団の飯の種になっているなんて。いろいろ考えさせられる本でした。

  • 面白かった!幸いながら縁遠い、暴力団についてわかりやすく解説。
    内容もさることながら、構成が丁寧。読者が知りたいと感じるポイントをきちんと考え、それに対して深すぎず、浅すぎず解説している。
    暴力団対策法は却って暴力団に適法のお墨付きを与えていること、とはいえ暴力団はもはや斜陽産業で、遅かれ早かれ暴力団という枠組みは消滅するかもしれない事など、知らなかった事を知ることができて満足。
    「暴力団の入門書」に5点満点を付けるのは心理的に抵抗があったので4点。でも、ホントは満点でもいいかな、という評価。

  • 「やくざに学ぶ~」シリーズと似たところがあるかもしれないが、こちらはヤクザの処世術を堅気の人の生活に生かすという考え方より、暴力団の現実を教えてくれる、あくまで社会人としての常識を磨く為の一冊と言えそう。

  •  紳介の事件があったせいか、なかなか売れているらしい。暴力団ジャーナリズムの第一人者が書いただけあってなかなか面白い。そして分かりやすい。分かりやすいっていうのは、新書には必要不可欠な要素だよね。著者がまえがきで「怖いもの見たさの読者は大歓迎です」と書いているけど、心を見透かされたような気がしたよ。
     それにしても、やくざも大変だ。アパートも借りられず、車で暮らす組員もいるとは…。誰も同情はしないけどね。
     

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。ジャーナリスト。1942年、東京都に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、フリーに。著書には『暴力団』(新潮新書)、『血と抗争 山口組三代目』『山口組四代目 荒らぶる獅子』『武闘派 三代目山口組若頭』『ドキュメント 五代目山口組』『山口組動乱!! 日本最大の暴力団ドキュメント2008~2015』などの山口組ドキュメントシリーズ、『食肉の帝王』(以上、講談社+α文庫)、『詐欺の帝王』(文春新書)、『パチンコ「30兆円の闇」』(小学館文庫)などがある。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞を受賞した。

「2023年 『喰うか喰われるか 私の山口組体験』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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