「常識」としての保守主義 (新潮新書)

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著者 : 櫻田淳
  • 新潮社 (2012年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104527

「常識」としての保守主義 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

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  • 元は自由民主党の機関紙向けに連載されていたとのことで、
    "保守"という概念について入門的な観点でまとめた一冊となっています。

    それもあってか、非常に理解しやすい内容で、スルッと入っていけました。

    - 「左翼」は、社会の変革を急激かつ劇的に推し進めようとするのに対して、
      「右翼」は、その変革には概ね慎重な姿勢を示し、それを推し進める際にも漸進的である

    日本においては、左翼は社会をより良い方向に変えていく前向きな勢力、
    右翼はそれに頑迷に反対するだけの後ろ向きな勢力、的な印象付けが強いと思います。

    そういった意味で日本では、左翼の偏狭性、右翼の堅実性は、それぞれ薄められている気がして、
    この辺りは、日教組がバックにいる戦後教育の賜物ですかねなんてすると、言い過ぎですか。

    - 保守主義の政治の要諦は、「あらまほしき現実」を創出するのではなく、「変転する現実」に適応すること

    個人的には、排他性の強い絶対的な唯一の価値観に収斂していくのではなく、
    時代時代、場合場合での最適解を求めて、創出・適応していくような流れが、性に合います。

    - 特定の観念や価値意識に裏付けられた「イデオロギーの思考」は、人々の視野を狭いものにする

    唯一的な価値観に縛られるのは停滞と同義であって、変革、成長とは結果として相反るすると思いますし、
    この辺りは、ソヴィエト連邦が崩壊した原因の一つも、見出せるのかな、、とも感じています。

    求められるのは、"機会の均等"であって、"結果の平等"ではない。
    後者が不平等社会を創出する原因の一つになっているのは、昨今の生活保護等の問題からも感じられます。

    - ヴェネツィアの衰亡の兆しの風景として、「独身の男が矢鱈に増えた」という事例が紹介されている

    社会から活力が奪われて、厭世的な個人主義が蔓延し、閉塞感、停滞感につつまれている、
    コレを今の日本と重ねてみると、非常に興味深いです(と言ってもいられないですが)。

    - 人間の社会において「平等」の価値を過度に追及しようとすれば、社会における「多様性」が損なわれる
    - 保守主義思潮の下地は、旧いものに対する愛着であるけども、それは決して執着ではない
    - 日本の人々は古来、「現実主義、効用主義」の観点から様々な文物を採り入れ、自らの生活に活かしてきた

    政治とは、理念を踏まえた上で現実との折り合いを模索するための手段だと思います。
    「大きな物語」は必要とされるかもしれませんが、ソレへのアプローチで求められるのは多様性ではないでしょうか。

    手段まで唯一化されてしまうのは、それこそ、悪い意味でのファシズムにつながりかねないかと。
    自分自身にとっての豊かさを各々が選択できる、そんな社会が個人的には望ましいと考えていますが、、

    なんてことを、久々に考えさせてくれた一冊になりました。
    今このタイミングで触れる事が出来たのは、ある種運命的なモノも感じます。

    さて、2012年現在、左派政権に壊された日本社会の復興の芽をどう育てていきましょうか、なんて。

  • ドゴール、チャーチル、吉田茂。死ぬほど退屈な社会科学的保守思想の教科書。新書としてはしっかりした質の高さ。それ以外のものは何もない。

  • レビュー省略

  • 読了。

  • 「ブサヨ」を攻撃する本でも,「ネトウヨ」を勇気づける本でもない。
    本書は,自由,多様性及び伝統(日本であれば皇室がそのひとつ)を重視し,あるイデオロギーを信奉又は排斥しない姿勢(中庸)を旨として,国民全体の統合を目指す姿勢が保守主義と「評される」という。
    つまり,保守主義という「主義」は成り立たず,保積極的に定義付けできないということか。
    「中庸」を介して仏教との親和性を説く部分もある。

  • 右翼、政治思潮としての保守主義と重なり合っているけど、右翼は「進歩」を拒絶し、「変革」によって既に去った古い体制への回帰を模索する傾向があるのに対して、保守主義は「進歩」や「変化」の意義を否定しないため、相容れない。第三章の保守政治家の肖像(シャルル・ド・ゴール、ウィンストン・チャーチル、ロナルド・レーガン、吉田茂、コンラート・アデナウァー)を興味深く読んだ。

  • 自民党議員はこんな勉強をしていたんだ。

  • 保守主義とは何たるかをおおよそ理解した。
    それにしても著者の日本語は特徴的であり、学術的である。

  • 保守主義とは?政治に関心が高くなっているこの時期に読んでいる.自民党の機関紙に長期間連載されたものを下敷きにした新書.保守主義と呼ばれるものを整理し,保守政治家を紹介し,保守を解釈・理解するための共通の諒解を提示し,保守の可能性を示していた.頭の中で理解し考えていること(理想?)と,実際の行動(現実?)の整合性は,保守主義の政治家以外でも課題になることを再確認した.

  • 自民党下野の時代に「保守」とは何かを考へる時宜を得た本だ。

    『日本においては、政治家は、「『民』に選ばれて『臣』に連なった人々」である以上、政治家に要請されるのは、「臣」としての感覚や作法である。』これが本書の肝である。そして「観念の遊戯」に陥る事なく、「時代の要請」に応へるのが保守主義の役割であると論じる。

    著者の文章は最近益々磨きが掛かってきたと感じる。読み応へのある本であった。

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「常識」としての保守主義 (新潮新書)の作品紹介

保守主義とは何か。頑迷に旧いものを守る思想ではない。右翼やタカ派とイコールではない。ましてや、特定の国や人種を排除する偏狭な姿勢でもない。伝統を尊びつつも、柔軟かつ大胆に新しいものを取り入れ、中庸を美徳とする-その本質を、成立の歴史や、ド・ゴール、吉田茂等の代表的保守政治家から学び、これからの可能性を探る。混迷を極める政治状況を考えるうえで必要な視点を提示する、濃厚かつ刺激的な一冊。

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