「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)

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著者 : 藤沢数希
  • 新潮社 (2012年2月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104572

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「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  •  原発問題と言うより、エネルギー問題全体の概略を知るために有益な本。

     原発存廃問題について、私は確たる意見を持ち得ずにいました。それは不勉強もあるのですが、一つには、原発事故後の報道で言及されるのが、原発事故の重大性と電気供給の必要性という二つの対立軸でしか語られてこなかったということもあります。
     しかし、本書を読んで、やっと原発存廃問題も含めたエネルギー問題を考える端緒につけました。
     以下、章ごとにコメントを。

    ■第1章 原子力で命を守りたい
     原発はひとたび事故が起きると取り返しのつかない被害が出る、と何となく思っていました。それに対し、火力発電は、CO2排出や大気汚染が問題になる"くらい"で、よっぽど安全だと思っていました。
     しかし、それは単に火力発電等により発生する事故を知らなかっただけでした。統計でに基づいて死者の数を比較すれば、それだけで「命を守るために脱原発」などと安直なことは言えないことに気づかされます。
     本書によれば、脱原発により原発が負担していた分の電力を火力に頼るとなると、大気汚染により、日本では年間でおよそ3000人の死者が"余計に"発生する計算になります。原発事故による放射能のために長期的に発がん率が高まる危険性を不安がるなら、火力発電による大気汚染で肺がんを含む呼吸器系の疾病率が高まる危険性も考慮しないといけません。

    ■第2章 放射線のリスクとは?
     放射能リスクについては、散々危険性が煽られたカウンターとして冷静な説明もなされたので、取り立てた驚きはありませんでした(ただ、福島の原発事故以降、正しく怖がることにも(知的)コストがかかるなぁ、と閉口しましたが)。
     放射能リスクについておさらいするのに、コンパクトにまとまっています。

    ■第3章 自然エネルギーの不都合な真実
     以前から何か胡散臭いと思っていた自然エネルギー。それをコンパクトながらキチンと説明してくれていました。
     太陽光発電については、太陽光パネルを使えば後は太陽光という無尽蔵のエネルギーを利用して発電し放題、のように思われがちですが、そもそもその太陽光パネルを作るのにどれだけのエネルギーと資源を使うんだろう? パネルが汚れた時のメンテナンスや、破損した時にパネルから有害物質が出ないかなど、疑問はいくつかありました。
     他の章でも言及されていますが、電力供給には安定供給の要請もあるところ、この点、お天気任せの自然エネルギーは問題を抱えています。
     その上、太陽光や風力による発電は、自然に存在する低密度エネルギーを利用するものであり、そもそも物理的な限界があります。81頁の図を見れば一目瞭然ですが、原発分を代替するだけの太陽光パネルを一体何処に敷き詰めればいいのでしょうか。
     自然エネルギーにするかどうか以前に、まずできるかどうかの情報を全然知らなかったなぁ、と反省しました。自然エネルギーによる発電に補助金を突っ込む前に、採算と効率についてもっとちゃんと考えないといけないと強く思わされます。

    ■第4章 化石燃料と地球環境問題
     ここの紹介は割愛。

    ■第5章 救える命の数は経済の豊かさに比例する
     福島の原発事故の損害賠償は4兆5千億円だそうで、これだけ聞くともの凄い額に聞こえます。
     が、一方で、原発の利用を停止したときに必要となる火力発電の化石燃料費は、年間で4兆円だそうです。そして第1章にあったとおり、これにより大気汚染で年間3000人の死者が増えるわけです。
     私はここで原発推進を声高に主張するつもりはありませんが、この辺はもうちょっと考えなきゃならない所なんじゃないかと思わされました。

    ■第6章 原子力を理解する
     原子力発電について非常に良くまとまっていまし... 続きを読む

  • ・最大の大気汚染源は自動車の排ガスだが、火力発電所の大気汚染物質の排出は全体の15%程度。WHOの推計から日本で大気汚染によって死亡する人数は3万3000~5万2000人。平均の4万2000人だとして、その内15%=6300人が火力発電による大気汚染で死んでいる。脱原発で発電に占めていた火力の割合が6から9割に増えると、年間3000人ほど死者が増える。

    ・放射能が漏れるようなシビアアクシデントがあると、周辺の土地に近づけなくなるが、原発1基を太陽光発電に置き換えると、山手線の内側面積とほぼ同じ土地が常時必要になる。

    ・ビル・ゲイツも言うように、ソーラーや風力はキュートなテクノロジーであり、国民生活を支える基幹エネルギーにはならない。発展途上国は高価すぎて手が出せない。

  • 世の中は「脱原発で自然エネルギーへ」等というスローガンで溢れていると思っています。今度の総選挙でも、エネルギー関連が争点になるとすれば「原発賛成」ということを言える候補者は殆どいないと思います。かつて郵政選挙で反対の立場をとることが本当に難しかったように。

    この本は、原子力を含めた理論物理学を究めた経歴をお持ちである藤沢士が、原子力が他の発電方法(石炭や石油火力、自然エネルギー等)と比較して、実際に比較できるデータを用いて解説しています。

    特に、自動車の排ガスや石炭火力発電による大気汚染で115万にもの人が死亡している(p21)のには驚きました。

    また、日下氏が以前に、現在のウラン型よりもトリウム型の原子炉を推奨していましたが、その具体的な理由(今まで普及しなかった理由も含めて)が明確になって(p197)私としては嬉しかったです。

    このような考え方を本にして世に問うことができる日本は、まだ捨てたものではないと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・911事件後にテロを恐れるあまり飛行機を避けて自動車でアメリカ国内を移動した人達が、最初の1年間で1995人も路上で事故死している。(p13)

    ・単位エネルギー当たりの事故や公害による犠牲者の数を比べるべき、1テラ・ワット・アワー当たりの犠牲者数で比較する、原子力による発電は、化石燃料による発電より 1000倍程度安全ということになる(p14)

    ・1969-2000年の間に、世界で起こった莫大な数ののプラント事故を調査したら、原子力の数百倍の死亡者が出ている(p17)

    ・大気汚染による死亡者は年間115万人だが、半分は自動車の排ガス、発電所からの大気汚染物質は3割程度、これはWHOによる統計、中国では石炭火力で80%発電して毎年の40万人死亡、日本では3-5万人程度死亡、3割程度が火力発電所によるもの(p21、37、40)

    ・化石燃料において、石炭が特に危険、次いで石油、一番安全なのが天然ガス、石炭は危ないが、最も安価で経済効率が良い(p24)

    ・福島第一原発のメルトダウンでは未だに放射能による死者は出ていないが、決壊したダムでは既に数人の死者が出ている(p43)

    ・年間3万人を超える自殺者、5000人以上の死者、7万人以上の被害者がでる自動車事故、20万人を超えるタバコによる健康被害は大きすぎてニュースにならない(p46)

    ・原爆の生存者に関する調査では、200ミリシーベルト以上では癌とのリスク向上が明確になったが、100ミリシーベルト以下では全く見つからなかった、更に重要なポイントはこれらは一度に浴びたもの(p52,56)

    ・チェルノブイリ事故では、20年間の調査結果により、4000人の甲状腺がんが見つかり、現在までに15人死亡した(p62)

    ・事故直後は放射性ヨウ素の内部被ばくが最も危険、放射性ヨウ素は半減期が8日と短く、数か月するとほとんど消える、日本政府がすぐ出荷停止にしたのは良い対応といえる(p65)

    ・世界の高放射線地域(年間10ミリシーベルト)住民に健康被害は全く見つかっていない(p67)

    ・一時は100ユーロを超えていたQセルズの株価は、2011.12で 0.5ユーロ、スペインは財政破綻したので、太陽エネルギープロジェクトへの補助金がカットされたため(p75)

    ・自然エネルギーが世界で普及しない最大の理由は、太陽光・風力のエネルギー密度(同じ体積から絞り出せる電気エネルギー)が極めて小さいから(p79)

    ・日本は海外から燃料を年間20兆円程度輸入している、日本の税収が30-40兆円なので巨額、GDPの4%に相当する(p94)

    ・原発を減らした場合、火力発電... 続きを読む

  • 本書とは直接関係はないが、日本の反原発のデモ活動と尖閣領土問題を発端とする中国のデモ活動と、それを報道するメディアの在り方が、ある面では非常に似ていると思う。感情的なこと然り、その活動があたかも国民の総意であるかのように見てとれてしまう。本著の内容は実績とデータを示してくれるので、感情に流されない判断材料のひとつとして有益なものとなりました。

  • データに基づいて議論されているので非常に納得性が高い。オーダー(桁)の議論は原発みたいな非常に大きなエネルギーを生み出すことができるものに関しては無視できない。原発で何人死んだということは本来の議論の中心ではなく単位エネルギーあたりの死者数の議論にすることで論点を明らかにしている。データの信憑性も高いし、名著。いまの日本の脱原発はとても感情的にすぎないと思っていたので納得のいく内容だった。

  • 京大の小出さんの本と同時によんでみた。論理的な本なので脱原発から脱してしまいそうになる。たしかに温暖化や大気汚染の問題とも絡めてエネルギーは考える必要はある

  • 「不都合な真実」などというセンセーショナルなタイトルをつけているが、目新しいことは何一つ書かれていない。フクシマの事故が起きる前の、原発推進論者のロジックそのものである。かつて原子力は、「夢のエネルギー」と考えられていた。カネをばらまいて原発を建て、地域の産業を破壊するという構造的問題は昔からあったにせよ、事故が起こらなければ、ほとんどの人は原発には反対しなかったはずだ。というよりむしろ、火力や水力は環境への負荷が大きいので、かつて原子力にはクリーンなイメージがあった。しかし、事故は現実に起こったのである。

    「第1章 原子力で命を守りたい」の論理展開は奇怪である。ここでは、「単位エネルギーあたりの原子力発電(の事故や公害)による死者は、火力に比べて3から4桁低い」から、原発は安全だと言っている。しかし、リスクは直接的な死者数だけで比較すべきものではない。何十年もの間、人が住めなくなるという事態が現実に起きているのである。にもかかわらずこの本では、フクシマの事故で被曝して死んだ人はまだ一人もいないという理由で、そのリスクは「0」としてカウントされているのだ。こんなバカな話があるだろうか。

    死者数で比較するにしても、その計算にはツッコミどころが多い。本書によれば、ソーラー発電のほうが原子力よりもリスクが高いという。ソーラーパネルを設置するときに転落事故が起きるからなのだそうだ。しかし、原子力のリスクには、フクシマの事故で避難を余儀なくされ、そのために感染症などにかかって亡くなった人は含まれていない。また、低線量の放射線を浴びたときの発癌率の上昇については議論の余地があるにもかかわらず、フクシマの事故で被曝した人の死亡率上昇は無視されている。ウランの採掘や精製過程での被曝のリスクも無視されている。

    さらに、計算方法そのものが間違っている。原子力発電の歴史は約50年だから、チェルノブイリでの死者数を50で割って1年あたりの死亡者数を出し、それを現在の発電量で規格化している(P. 25)。しかし、原発の数は年々増えているのだから、リスクも年々増えているはずである。この計算は、例えば原発1基あたり1年あたりのリスクとして計算しないとおかしいのだ。

    ただし、繰り返すが、火力や水力は環境への負荷が大きいので、理想の発電方法ではない。それは本書に述べられている通りだ。だから多くの人が自然エネルギーの利用を唱えているわけだが、では自然エネルギーは何がまずいのだろうか?その問いに対する答えは、どこにも書かれていない。「自然エネルギーの不都合な真実」という章(第3章)があるが、現状では自然エネルギーが普及していないことを述べているだけである。

  • 原発の必要性について比較的論理的に述べている良書。脱原発派の意見がとにかく危ない、電気はそんなに要らない、等の感情論に近い意見しか見掛けない感じなのとは一線を画しているとは思う。反原発派の意見にも原発なしでも今後大丈夫の論理性は必要じゃないかと。少なくとも、エネルギー論を語る上で避けて通れない熱力学的な見解に関しては、本書の内容に異論はない気がする。個人的には、「僕は原子力というのはものすごいイノベーションだと思います。(中略)人類の偉業をふたつ挙げろといわれたら、僕は、コンピューターの発明と、この原子力と答えるでしょう」の一文に同意。

  • 疑わしいところもあるが、原発に関する基礎知識を得られた。脱原発支持者は読まなきゃいけないと思う本

  • 【日本】現状集められているデータから、未来の在り方について議論する力がこのテーマには特に必要である。脊髄反射的に原発を危険因子扱いにして終わらせるのではなく、既存のエネルギー事業と比較して何がダメで何がよいのか。同じ土俵にあげて議論をしないと話は何も始まらない。本書は、原発または他のエネルギー関連事項の先行研究をかなり丁寧に参考にしながら、慎重に議論を進めている。論理的に、誠実に今考えられる一つの案を掲示している。複雑な要素が関係しているこの分野の基本的事項をこの一冊を読めば学べてしまったのではないかと思うほど、読んでいて分かりやすい。おすすめ。

  • あの有名な藤沢数希が書いた新書。
    原子力発電が経済にとっても人間にとっても非常に有益なものであることをわかりやすく解説してある。
    ただ、最終章が物理の内容を伴うため文系の私にはよくわからなかった。

  • 1TWh当りの死亡率を比較すると化石燃料は21人、水力は1.4人、ソーラーは0.44人、原子力は0.03人である。
    何故か? エネルギー密度の差だ。但し、福島原発の様なシビアアクシデント対応として原発立地の地域には十分な手当てをすべきである。ものは言ひやうで、斑目原子力安全委員長は「金を積め」と言ったさうな。西尾幹二氏は憤慨をしてゐた。
    『「反原発」の不都合な真実』、『原発のウソ』『平和主義ではない「脱原発」』の三冊を連続して読んだが、益々自分の頭が混乱して整理が付かない状態である。

  • 噂どおり冷静な分析。
    評価軸も面白い。

    原発事故、O157、狂牛病は年間死亡者数100人以下なのに話題性が高くパニック的に対応する。
    交通事故、大気汚染、自殺、喫煙は年間死亡者数20万人いるのに日常化して対応されない。

    広島長崎データより
    年間被爆量による癌になる確率の上昇は
    200ミリシーベルトでははっきりと上昇
    200から100だとわずかに増え、
    100以下だと増えた証拠は見つからなかった。
    また1シーベルト当たり5%癌で死亡する可能性が増える。

  • 原発の重要な一面を捉えた貴重な一冊。書いてあることは正しいことだと思うが、あの3.11の前にしては、脱原発の流れを変えるほどの説得力はない。今後はやはり感情的な脱原発の方向にに進んでいくのだと思う。

  • 集められた一つひとつのデータを根気強く精査 福島第一原子力発電所のメルトダウン 100mSv以上の被曝で癌死亡率上昇 自己修復機能 内部被曝 外部被曝 しきい値なしの比例モデル
    閾値1 ある反応を起こさせる、最低の刺激量。しきいち。2 生体の感覚に興奮を生じさせるために必要な刺激の最小値。しきいち。
    白血病 放射線治療 患者の免疫力を一時的にノックアウト 骨髄移植 2シーベルト×2を3日連続で合計12シーベルト照射 1シーベルトで癌死亡率5%上昇
    被曝しなくても日本人の50%は癌になり、33.3%は癌で死亡
    温暖化の原因は化石燃料起源のCO2
    エネルギーのポートフォリオを分散
    放射能ホラーを怖がるのは、豊かな国の贅沢 核分裂反応 ウクライナ ヨウ素剤 ウラン235に中性子を一個打ち込んでウラン236にすると、極めて不安定になり、ふたつの原子核に分裂する。
    高速増殖炉 プルトニウム ポテンシャル むつ市 中間貯蔵施設 ダライ・ラマ ラブロック ビル•ゲイツは自然エネルギーに懐疑的 LED スマートグリッド 第3世代軽水炉 トリウム原子炉 メルトダウン 冷却水 除染作業 世界同時多発テロ 3000<225000 原爆との戦争 2050⇒百億人 化石燃料 小型原子炉 原子力空母

  •  3.11以降の反原発一色の世論に対して、感情論を超えた正しい議論が投げかけられているものと思って手にとったら、大間違いだった。
     結局は、自称科学者が感情にまかせて書いた便乗本だった。本当に科学者というのなら、リチャード・A・ムラーの『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス』を見習って、冷静に科学的知識とデータに基づいて、一般市民が注意すべきこと、あまり恐れる必要がないこと、なぜそうなのかをわかりやすく解説してほしかった。

     そもそも、発電方法別の死者の数をエネルギー総量で割って、どれだけ原発の危険が少ないかを計算してみせている時点で、何かおかしいな、これじゃ読者は納得しないな、と著者の脳は感じなかったのだろうか。
    「反原発団体が、よくこの高レベル放射性廃棄物を理由に原子力を批判していますが、正直いって、僕には何が問題なのかさっぱりわかりません。」
    最後の方に出てくるこの発言からして、計算は得意だが、大事なことが欠落していることを著者自身がわかっていないことを暴露している。

     まあ、世の中に議論をぶつけるにしても、このような方法ではろくに相手にされないという、反面教師的な役割は果たすだろう。著者は、なぜ新潮社がこのレベルの本を引き取ってくれたのか、その理由をじっくり考えた方がいい。ある意味、出版社の方がしたたかだ。

  • 原発問題をイデオロギー問題や、政争の道具に使ってはならない。これはまず第一にエネルギー問題であることを認識しないと、感情的な出口のない論争に陥ってしまう。

    その意味で、現在の原発問題をめぐる報道や世論は少し、脱原発に感情的に隔たりすぎている感じを受けるし、エネルギー問題や科学的根拠に基づいた、原発のあり方の議論はまだまだ少ないように思う。

    本書は、アルファブロガーの著者が感情を排し、リスク論、統計、科学的根拠に基づいて、やはり原発というのは妥当な選択であることを淡々と論じる。何よりその姿勢が冷静だし、根拠も納得感がある。

    おそらく、御用学者との批判や、いくらもらって書いた、などという感情的な批判は寄せられているとは思うが、日本のマスコミもこういう意見をきちんと言える環境を確保できるようでないと、かなり問題だと思う

  • 原子力発電の安全性について、他の発電方法よりもかなり安全というにわかには信じがたいようなことも書かれており、半信半疑ではある。
    現存する原子力発電所をすぐに廃炉にしてもコストのみが増え、安全性はさほど向上しないため、現存する原子力発電所をより安全に運用していくことが、結果的に人にも環境にも優しいという筆者の主張には非常に共感できた。
    脊髄反射的に「脱原発」を唱えている原子力アレルギーの方々に読んでもらいたい本。

  • 反原発を主張するにせよ、火力発電も自然エネルギーもリスクがあることを認識し、経済や安全保障も無視せず冷静に考えたい。池谷裕二さんの書評が素敵。http://ow.ly/ciqg0

  • 1TWhあたりの発電方法別死者数は、化石燃料に対して原子力は圧倒的に低いので、安全、としていますが…。
    原発だけでなく、中間貯蔵施設や再処理施設で何かあった場合にその土地が使えなくなるというのはいいんでしょうか?そこに住んでいる人はどうなるのでしょうか?

  • 膨大な人が避難するマイナスは考慮されないの?など、むむっと思うところもあるけれど、①原発を止めても必ずしも安全性は上がらないこと、②耐用年数に達しない原発を止めると利益なく制御コストと減価償却のみ必要なこと、③火力発電での代替えは化石燃料の負担を生むこと、④そのコストを自分たちで払うこと、⑤高価なエネルギーは貧しい国では使えないこと、⑥蓄積されてきた原子力に関する知識や技術が失われること について、覚えておこうと思った。2012.06

  • これはひどい。
    エネルギー密度の話で強引に正当化しようとするのは
    おかしい。ヒューマンエラーこそが問題でそれに対してno thank youだということがわからないのか。

  • 久しぶりにまともな原発論を見た。

  • 著者であり、人気ブログ「金融日記」の管理人の藤沢数希氏は理論物理学の博士号を取得しているというのは、著者のプロフィール欄で初めて知った。
    本書では、原発以外のエネルギーでの発電の方が、実は死者が多く出る、低線量被ばくの危険性というのは、科学的にはほとんど根拠のないものであるなどの反原発派にとっては不都合な真実を膨大なデータをもとに証明して行く。一つ一つの主張を数々のデータや研究論文にもとづき、丁寧かつ非常にわかりやすく解説する。
    また、後半の原子力発電の仕組みに関する解説も非常にわかりやすかった。

    特に印象に残ったのは、原発が原爆にならないということの例えとして、ろうそくをどんなに集めてもダイナマイトにならないといったのは非常にわかりやすく、しっくりきた。

  • まず、本書の核燃料リサイクルに関する言説は?。また、現行の長距離送電ロスに触れていない。原発を選択肢の一とするならともかく、著者の主張で多様性確保になるか?。特に、核廃棄物の海洋投棄推奨も、まるで水俣病御用学者を彷彿とさせるし、廃棄物処理に提言・策のないことを露呈。そもそも、地震発生確率を予知できないので、厳密に数理的分析ができない領域だということを著者はいかに考えているのかな。

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「反原発」の不都合な真実 (新潮新書)の作品紹介

3.11以降、原発を絶対悪と決め付け、その廃絶こそが「正義」という論調がマスコミでは吹き荒れている。しかし、この世にリスクのない技術は存在しない。原子力を代替するはずの「自然エネルギー」の実力のみならず、転換するリスクや懸念材料を冷静に見つめるべきではないだろうか。そんな感情論を超えた議論のために、原子力技術、放射線と健康被害、経済的影響を検討し、将来を見据えたエネルギー政策を提言する。

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