陰謀史観 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104657

感想・レビュー・書評

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  • 陰謀史観の発生と変遷を日米関係を機軸に分析した良著。その線上で、中西・藤原・田母上あたりの論考を陰謀史観に基づくものと、簡潔な論考で一蹴。
    愛国史観が好きな方は一読しておくとよろしいかと。

  • 秦氏の余技の範疇のテーマだと思ったけれどやはり読めば面白い。イデオロギー全般に対する醒めた態度と好事家的なスタンスである。

  • 書いてあることは至極真っ当なことばかりで、ワクワクすることが何もないのは致し方ない。

    ただ、せめて結びではそういったことが喧伝される仕組みや背景を総括したものを入れてほしかった。

    これだけのタイトルで出版するのだから。

    これでは各種陰謀史観の不合理さを指摘しただけで満足したように映って、陰謀史観論者たちと結局同じところを目指しているのかなと邪推されてしまう。

  • こういうの相手にするには秦先生は真面目すぎて面白くない。山本弘に書いて欲しいと思いつつ、飛躍力と想像力がいまいちなのでネタにはなりにくいのかもしれない。
    田母神論文は評判になったときに読んだが、中ニ過ぎて逆に面白かった。歴史の分野で結論を先に決めて、都合のよい根拠(らしきもの)や主張だけ集めていけば、たいていのことはそれらしく説明できる。9.11はCIAの陰謀とか、人類はホントは月に行ってないとか、ピラミッドを作ったのは宇宙人だという「証明」だってさほど難しくはあるまい。そういえばほかならぬ秦郁彦の本が田母神論文に引用されていたが、一緒にされてはかなわん、と思ったのかもしれない。それ以上に問題だったのは、大東亜戦争は間違ってはいない、という主張をする人は、もう一度やっていい? と言い出してもおかしくないし、そもそもそのおっさんが航空自衛隊を束ねる人物だったということなんだけど。その人が都知事選で10%も得票があったことを知った時には、けっこうマジで落ち込んだ。世も末だ。

  • 正しい話というのはえてして面白くないものである。
    正しいとか言っちゃって大丈夫なの?偏ってない?まあ敵が田母神他なので相対的に偏りが少ないのも事実だけどさ。

  • 陰謀には否定的。まぁそりゃそうなんだが。。。

  • 前半は普通の明治以降の歴史でしたが、後半が面白い。フリーメイソンとか、ユダヤ謀略とか謀略ものは面白い読み物であって、本気にしている人が結構いることの方がびっくりですよね。

  • ●:引用、無印・→:感想
    コミンテルンの陰謀説に興味を持って読んだのだが、当たり前のように否定されている。まあ、こちらも読む前から、それは常識的には否定されることを予想しているのだが。
    ただ、陳立夫の発言や、終戦時のソ連への和平交渉のことを考えると・・・

     ●「陰謀説の嘘」の著者であるアーロノビッチは、陰謀説が「政治的敗者によって考案され、社会的弱者によって支持され」てきたと観察する。敗者や弱者の挫折は自己の失敗のせいではなく、邪悪な陰謀者の悪だくみにうっかり乗せられてしまったせいにすれば、気が晴れるというもの。敗戦後の日本でアメリカ、コミンテルン、ユダヤ=メーソンの陰謀論が歓迎されたのは好例だが(後略)

    →事実、というよりはある事柄を、素直に受け入れられない、納得できない時、それを受け入れる納得させるシステムとして発動するのが陰謀史観ということ。イソップ?のキツネ。
     タモガミや中西などの著書を読まないと肯定的には書かれていないのだろうが、あえて読んでみる必要はあるのか?

  • コミンテルンだのフリーメーソンだの胡散臭い陰謀論についての本

  • 陰謀史観ちゅーのはね、と・・・
    著者は・・・
    『身のまわりに不思議な出来事が起きる。
    もしかしたら、それは偶然ではなくて、何かの陰謀、<彼ら>の企みではないだろうか。このような考えを陰謀史観という。
    この、見えない<彼ら>は、神であるかもしれず、悪魔であるかもしれない。
    <彼ら>として、ユダヤ人、フリーメーソン、ナチ、共産主義者、さらには宇宙人までもが名指しされてきた。』との解説を紹介し、
    これに著者は、『特定の個人ないし組織による秘密謀議で合意された筋書の通りに歴史は進行したし、進行するだろうと信じる見方』とも付け加える・・・

    世の中にはたくさんの陰謀史観がありますが・・・
    この本では、主に日本の近現代に絡むメジャーな陰謀論、陰謀史観を取り上げ、ヨユーで各個撃破していく・・・
    そして様々な陰謀史観の内容と共に、日米戦争を巡る歴史講義のような形になっているので、歴史本としてもgooというお得スタイル・・・
    ちなみにメジャーな陰謀論というと・・・
    田中上奏文
    ルーズベルト陰謀説
    コミンテルン陰謀説
    等々・・・
    陰謀史観をクールに分解していくのも面白いし、歴史講義としてもなかなかに面白い・・・
    good

    さて、陰謀って・・・
    何だか面白そうで興味惹かれちゃうし・・・
    ストーリーも至ってシンプルで分かりやすいし・・・
    実はこうだ、って言うのを知ってると何だか通っぽくなれるし・・・
    非常に魅力的なモノなんだけど・・・
    実際、世の中に陰謀はいっぱいあるんだろうけど・・・
    陰謀通りにコトが進むなんて・・・
    この複雑怪奇な世の中じゃほとんどないんじゃない?と思うよね・・・
    いろんな思惑、それこそいろんな陰謀がめちゃくちゃ絡まり合うんだからね・・・
    そうそう陰謀なんて上手くいかない・・・

    ということで・・・
    この本のラストは・・・
    CIAやMI6・・・
    ナチスやコミンテルン・・・
    ユダヤやフリーメーソン・・・
    三百人委員会など・・・
    実態、実績をザックリ総ざらいし・・・
    陰謀史観の手口を確認し、単純なそれに引っかからないよう学べるようになっている・・・

    でも・・・
    例えば・・・
    日本がこんなになってしまったのは、とか自分がこうなったのは・・・
    きっと誰々(どこどこ)の陰謀のせいに違いない・・・
    と誰か(どこか)の陰謀のせいにすれば・・・
    それはそれで少しは楽になれる、スッキリするから・・・
    今後とも・・・
    陰謀史観ってーのは・・・
    廃れはしないんだろうなぁ、と思うよね・・・

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著者プロフィール

1932年,山口県生まれ。東京大学法学部卒業。官僚として大蔵省、防衛庁などに勤務の後、拓殖大学教授、千葉大学教授、日本大学教授などを歴任。専門は日本近現代史、軍事史。法学博士。著書に、『日中戦争史』(河出書房新社)、『慰安婦と戦場の性』(新潮社)、『昭和史の軍人たち』(文春学藝ライブラリー)、『南京事件―虐殺の構造』(中公新書)、『昭和史の謎を追う』(文春文庫)、『盧溝橋事件の研究』(東京大学出版会)、『病気の日本近代史―幕末からコロナ禍まで』(小学館新書)、『官僚の研究―日本を創った不滅の集団』(講談社学術文庫)など多数。

「2023年 『明と暗のノモンハン戦史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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