二世兵士 激戦の記録: 日系アメリカ人の第二次大戦 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104794

感想・レビュー・書評

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  • 柳田由紀子


    山崎豊子の「二つの祖国」のノンフィクション版って感じ。
    なかなか読んでて辛い場面が多いですネ。
    著者がアメリカの団体「go for broke」の取材に通訳として同行したときのことや二世の方々の著書などから抜粋してまとめたもの。

    二世と一口に言ってもアメリカで生まれ、育ち、そこで戦争になり、アメリカ兵として参加した人。
    アメリカで生まれ日本に一時帰りまたアメリカに戻る(帰米というらしい)そしてアメリカ兵となる。
    また、アメリカで生まれ育つもたまたま日本に戻ってる時に戦争がはじまり、アメリカに帰れなくなった人たち。

    様々なシチュエーションで戦争になり、参加し。
    そしてどんなシチュエーションでも日本人からもアメリカ人からも信用されずに差別される。
    第一〇〇大隊、第四四二連隊なんてアメリカのために死ぬほど働いて戦ってそしてやっと戦後ジャパニーズ・アメリカンズが市民権を得たって。

    そんないたたまれないエピソードがたくさん載っていて辛いばかり。
    犬の「生き餌」のなる実験をされるとかたまりませんね。
    沖縄育ちの二世がで投降をすすめる話とかも辛かった。

    あとは特攻隊の飛行機を見上げて「おとされるなぁ」と思ってたらその飛行機に弟が乗っていたって嘘としか思えない話。

    そして、戦後の焼け野原の日本。
    原爆を落とされた広島と長崎。
    みんな、見てるはずなのに戦争の恐ろしさ、原爆の悲惨を見てるはずなのにアメリカを受け入れている。
    不思議。
    もちろん、私もアメリカを受け入れている一人ですが、、戦争だけは受け入れたくないな。

  • 去年の半ば頃から、太平洋戦争のことをポツポツ知っておこうと思って読んだ本の一冊。
    学校の勉強というのは、戦争についてもっと教えるべきだと思う。

  • 二世兵士については、その活躍を中心に広く知られているが、ここまでの厳しい事実があったということは、これまで知ることがなかった。
    LA近郊に住んだこともあったが、そもそも日系人、駐在員、留学生のそれぞれが全く別の世界で暮らしているという感じで接点の少ない状況であったこともあり、歴史認識の甘さを今になって反省している。

  • ●:引用

    ●日本人の血を引きアメリカで生まれた「二世」。アメリカと日本、そしてヨーロッパとアジア、太平洋の島々で、二世兵士は日本人の美徳を発揮し、壮烈に戦った。その姿は、米大統領の心をも揺さぶるものだった。米陸軍史上最強の第100大隊、第44連隊、”米軍の秘密兵器”情報語学兵、そして日本兵になった二世、GHQ、朝鮮戦争・・・。未だ激戦の記憶が生々しい元兵士たちの厖大な証言から浮かび上がる第二次大戦。

    読んでいて時々涙が出そうになった。感情移入しやすい文章なのかもしれない。インタビューが多く挿入されているせいか、米軍二世兵士」だけでなく、日本軍二世兵士、日本兵捕虜など多角的に、戦中、戦後(占領期)、そして朝鮮戦争までその舞台を広げているせいか。「棄民たちの戦場」「栄光なき凱旋」参照。

  • ひとつひとつの文章が短く纏まっているが、どれも今まで語られてこなかった生の言葉を拾っている。途中で言葉に詰まり取材が進まなかったという現実も含めて記録されている。
    米軍の機密情報を含むこともあり長年明るみに出なかった二世兵士の現実。彼らの多くが故人となりつつある現在、私たちはこの事実を知り将来に伝える使命があると思う。
    今日は広島原爆の日である。

  • 戦争が起きるということは、その両方の国に関係する二世の人たちにとんでもないしわ寄せが行ってしまう。
    それをなんとかするために凄絶に戦った記録がここにある。

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