精神論ぬきの電力入門 (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104831

感想・レビュー・書評

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  • 震災後の感情論に振り回され、国家の骨組みをなす重要なエネルギー政策が、いかに本質的な議論ができていなかったか、そして、その危うさを感じた。
    かなり前に出版された本であるが、当時耳障りよく喧伝されていたことが、実はどういうものであって、エネルギー政策上どのような視点が欠けていたのかが分かり勉強になる。エネルギーの問題は解決したわけではない。今後の議論において基礎になる知識をこの本は提供してくれる。

  • 原発廃止と声高に叫ぶのは簡単だが、ことはそううまくいかないということがよくわかる
    再生可能エネルギーも不安定さ、コストの高さ、日本の国土という立地条件の悪さなどなど様々な問題があって、とてもじゃないがメイン電源には出来ない
    かといって火力発電は地球温暖化の問題もある上に、政治的な話で輸送がストップするという地政学的なリスクも存在する
    安定供給や価格の抑制など総合的に考えると原子力、火力、水力、自然エネルギー等々をバランスよく組み合わせるしかない
    美しい解決策など無いのだ

  • 元経産省の官僚であった澤氏による日本の電力問題について述べた本。原発が悪、再生可能エネルギーが善のような現代の風潮に疑問を持つ自分にとっては頭を整理するのに役立った。

  • 先日お会いした澤さんの本。8月以前に書かれているので、最近のゼロシナリオにはフィットしていないのだが、それでも電力をとりまく日本の状況についてわかりやすく書かれている。反対派が主張する「命をまもれ」というスローガンは抽象的すぎるというあたりがメディアには載せられない表現なので面白かった。

  • 元通産省の著者が、電力問題を論じる。
    全体的に原発事故を踏まえての論調。

    原発、再生可能エネルギー推進賛成反対問わず、「命を守る」「既得権益へのNO」などといった、曖昧な論点ではなく、根拠、理論を述べるべきだというのは納得。
    同時に、世論がいかに昔から日和見的な意見しか持っていないかも実感した。

    いたずらに原発反対を叫ぶ前に、エネルギー安保、安定供給の程度、長期的なスパンでの電力政策をしっかり考えたい。
    半世紀ぐらいかけて原発ゼロ、変換効率8割ぐらいの太陽光パネルの開発とかにしたらいいんでなかろうか。

  • 領土問題が燃焼中で最近やや下火な気がしないでもない脱原発運動・・・
    でも国民の意思は2030年代に原発ゼロなのだとか・・・
    7割だっけ?
    もちろんタダで・・・
    何の制約も無く、何の負担も無くゼロに出来るのであれば、そりゃ誰だって原発ゼロを希望すると思います・・・
    でもさでもさ・・・
    原発ゼロにしたら、それこそいろんな負担がボクらに降りかかりますよね・・・
    どんな負担が降りかかるのか・・・
    それを知らずして、考えずして脱原発なんて言っちゃあいけないよね・・・
    命が最優先じゃねーか、って言うけど・・・
    原発ゼロにして例えば経済的にさらにさらに苦境に立たされて・・・
    ただでさえ不景気でみんな苦しんでいるのに・・・
    さらに自分たちを追い込める?
    我慢できる?気合で頑張って何とか乗り切れる?ずーっとずっとだよ?
    それこそ自殺者が増えたら・・・
    それって命を最優先していることになるのだろうか?
    脱原発によって得られるものがあると思うけど、失うものもあるよね・・・
    それでも原発ゼロ?

    ということで・・・
    そんなことを考える上での基本的な土台を学べるはずです・・・
    原発ゼロにすることによってどんな損失があるのか・・・
    そもそも何で原発がここまで増えたのか・・・
    原発を含めエネルギー政策を考える上で基本的なこと・・・
    原発無くても太陽光発電や風力発電などがこれからはガンガン増えてくからヨッユー!と思いきや、まだまだ、そして将来的にも当面当てにならなそうな再生可能エネルギーの実態だとか・・・
    電力自由化に対しての誤解と言うか無知と言うか・・・
    そんなんが書いてあります・・・
    ごく簡単に読めます・・・
    小難しくない・・・
    まさに入門・・・
    スッゲー入門・・・

    著者は通産省(経産省)の元・役人様・・・
    ですが、敬遠せずに・・・
    精神論で乗り越えられる問題では決してないはずなので・・・
    大事なことなはずなので・・・
    ゼーヒー

  • 脱原発・再生可能エネルギーの話が、なぜいかがわしく感じるのかが、これを読んでその理由がわかった。
    意図的に自分側に都合のいいことしか言っていないからだということを。

  •  法的な根拠もないまま原発を止め続け、毎年3兆円もの国富を垂れ流している日本。反原発派は、原発をゼロにすることだけが至上命題なようですが、今後のエネルギー政策について何か考えとかあるんですかね。放射能が原因で死んだ人は一人もいないのに、このまま原発を止め続ける理由が分からない。リスクを考えるんだったら、車も飛行機も電車も全てやめろ、という話になる。
     で、澤さんの「東日本卸電力」構想は、今の現状を考えると非常に合理的な案でしょう。反原発派の「原子力ムラ・地域独占・利権構造」のような考え方を、分かりやすいロジックで一蹴し、うまくまとめられています。すぐ読めるので、ぜひ一読を。

  • 本書の内容は、3.11以前のエネルギー事情のベース。いわば常識。これを前提に日本のエネルギー政策は遂行されてきた。
    3.11以降もこの常識は正論となりうるか。私は現在でもこれが正論であると思う。
    極論はびこるエネルギー論が多々あるが、議論する際は、本書の内容を前提としなければならない。
    果たして、多々ある極論の仮説は、本書を論破できるのであろうか。
    クルマの存在を否定する現代が成り立たないのと同様に、今すぐ原発をゼロにすることはできない。
    人類は原子力なしでは成り立たないところまできてしまった。

  • 日本の電力に関するこれまでの歴史、他国の現状、各エネルギーのメリット/デメリットが分かりやすく書かれています。この問題を考える上での大事な情報源の1つになると思いました。

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