ピカソは本当に偉いのか? (新潮新書)

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著者 : 西岡文彦
  • 新潮社 (2012年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104916

ピカソは本当に偉いのか? (新潮新書)の感想・レビュー・書評

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  • いかにしてピカソが芸術家として富と名声を獲得したか。
    説得力があって面白かった。
    しかし、この本を読んで、ピカソの作品を「あんなヘタクソな絵が・・・」と思っている人も少なからずいることを知り、逆に驚いた。
    個人的にはピカソの卓越した造形能力を疑ったことが全くなかったからだ。
    しかし・・。
    ピカソという人は自分の描いたモチーフが何であれ親密な暖かい愛情関係を持つことはなかったかもしれない。
    ピカソは果して画家として幸せだったのかな?

  • 芸術家、美術大学教授の筆者が、誰もが思うであろう、ピカソの絵の法外な価格や、その芸術的評価の理由について、ピカソの天才性や、芸術というものの成り立ちなどの観点から教えてくれる。

    美術になど全く興味がない自分には、ピカソを始めとした現代芸術の絵というのに、100億という値が付くというのがまず驚き。
    そして、ピカソ自身生涯で14万点という作品を制作しており、総資産は7000億を超えるとか。
    まさに王。
    ピカソがそんな圧倒的な存在だとは、ちょっと想像を絶していた。

    現代の美術というものは実用性を徹底的に排し、絵そのものに絵を語らせることに主眼をおいており、革新的な理論を乗せた学者の論文のようなものだという。
    とすると、現代の美術というのは、多分に見る者を選ぶのだ。
    本書の最後の方で、その実用性を排した、作品を通した思想の探求に共感を得られるかどうかで、ピカソや現代芸術の個々人の価値が決まるのではという部分があった。
    自分は、物の背後に機能美や人の営みが感じられないと、楽しめない方だ。
    そこらにある、芸術的なオブジェ的なものに、根源的な違和感を感じる理由が分かった気がする。

  • 近代以降に生まれた絵画市場とその発展。
    ピカソの画才だけなく巧みな人心操作術と商才。双方が偶然合わさったとき画家に莫大な富(遺産7500億円!)と名声がもたらされた。ってな内容をピカソの人柄を紹介しつつ美術史も参考にコンパクトにまとめた良書。タイトルがちとダサいが、非常に有益で面白い本だった。

  • いわゆる「前衛」芸術を前にした時、何でこれが芸術?、という疑問を感じる人は多いのではないだろうか。

    このような疑問を抱く人の多さに対して、答えを見つけられる人はごく一部に限られていた。

    誰でもピカソのキュビズム絵画のような作品を前にして、こんなのが○億円!?、だとか、こんなのだったらうちの六歳の娘の方がずっとうまいよ、というようなやり取りを目にしたり耳にした事があると思う。

    本書を読めばこの答えが(もしくは自分が前衛芸術を前にした時に抱く疑問が芸術史においてどのように論じられて来たのか)が明らかになる。

    本書では芸術家の地位向上、絵画ビジネスの隆盛、「美」の解釈の変遷という三つのテーマを論じ、それらの現代における結節点としてピカソ芸術を取り上げている。

    それから多少芸術に興味がある人ならば知っているであろう、ピカソの女性問題についてもオマケとして言及している。

    ただ見るだけの物になぜこれだけ破格の値がつくのか?

    この問いに答えるためにルネッサンスからの芸術家の地位向上や、宗教改革による美の需要の変化などを追っての解説には、値段の裏にこんな歴史があったのか、と驚いた。

    果てにはアメリカ建国とその経済的発展の裏で働いた絵画の投機的側面など、この手の問題に関心のある読者なら快刀乱麻を断つようなスッキリした気持ちで読む事ができる。

    そしてそれらを巧みに操って成功したピカソは芸術だけでなく人心操作術の天才でもあった。

    そしてそのような人間関係における駆け引きの才覚と歴史的なタイミングが合わさってピカソの空前絶後の経済的成功が生まれた事がわかる。

    どうやらピカソほどの経済的成功に恵まれた芸術家は他にいないらしい。

    それ以前の芸術家は職人としての意味合いが強かったようだ。

    現在、我々が芸術家に対して抱く、気難しくてアトリエにこもって作品を作り、よくわからない作品をありがたがって億の値段で取り引きする、というイメージはどうもピカソが発端らしい。

    だが、それにも歴史的な意味があったということが本書を読んでわかった。

    また、芸術に対して素人が感じる疑問にこれほど正面から向き合った本も珍しい。

    次に行く美術展では値段の事なども頭の隅においてもっと素直に鑑賞できるようになるだろう。

    芸術におけるトリビアも満載で楽しく、それでいて長年の疑問にスッキリとした筋道を示してくれる一冊だった。

  • ピカソの落書きみたいな絵に対する素朴な疑問を解消しようとした本。

    誰もが思う、なんでピカソのあんなバカみたいな絵が評価されている? という疑問に対して、ピカソの生い立ち、人間関係の作り方や仕事のしかた、近代以降の「美術」の捉え方の歴史まで考察にいれ、あのような絵が、当時どういう状況下で、どう作られ、どう評価されていたのかをやさしく解説してくれています。

    自分にとっては、ピカソってなんだかぼんやりとした遠い世界のことでよくわからないんだけど、美術書とかでやたら大きく扱われているのでまあ、偉いんだろうな、みたいになんとなく考えていたのですが、西洋美術のなにやら歪んだ世界をちらっと知ることができて、ほんの少しアタマが整理できました。
    画集などにありがちな、美術史や思想や生い立ちをちょこっと述べただけのものや評論家が勝手な感想を述べただけのものとは違って、美術で生きることの泥臭さを知ることができ、等身大のピカソの人物像をかいま見られた感じです。

    あとがきで少々触れられていますが、基本的に著者が西洋現代美術を批判的な目でみているふしがあり、そのことで読んでいて面白さがなお増しているようにも思えます。
    図版が少なく印刷も白黒で見づらいのが不満といえば不満ではありますが。おもしろかったです。

  • 写実主義から、前衛主義へ。 作品の風潮と、その背景として、アメリカの経済発展と同調した取り巻く絵画市場環境の増大。 この波はもはや現代に再来せず、それに最大限乗ったピカソと同調の存在もまた不出世のもの。

    「女は苦しむ機械だ」と公言し、その激しい感情の力さえも、破壊的な芸術性に変えて描き続けた、まさに怪物。

    しかし、自画像として、死期が近い中で自ら描いたその暗澹たる表情は、生涯で手にした成功と同等、それ以上の闇を感じてならない。

    まさしく、ピカソ本人、作品、評価された背景が網羅的に読み取れた一冊。

    ニューヨークに、MOMAに行く前に読んで置きたかった。

  • 「どこがすごいの?」、「なんであんなに高い値段で?」という素朴な疑問に答えてくれる一冊。
    純粋なその技術の高さ以外に、その絵を受け入れる時代背景やピカソの戦略のうまさなど、複合的な要因をひとつづつ書かれていて納得。
    しかし芸術ってムズカシイ(^^;

  • 斜に構えたタイトルの割には、純粋ピカソファンの本。ファン増のためにこのタイトルにしたのなら逆効果では。楽しく読めます。

  •  先日、西岡 文彦 氏 による「ピカソは本当に偉いのか?」を読み終えました。
     「ピカソの絵って、どこがスゴイの?」、初めてピカソを観た多くの人が抱く疑問です。私もその一人でした。
     著者の西岡氏は、本書で、「ピカソとその作品にまつわる素朴な疑問」に答えていきます。
     著者によると、ピカソの絵はピカソ以前の審美的基準でみると「美しくない」、しかし、誰も真似することができないほど、ピカソの画力は「驚異的に上手い」のだそうです。ともかく、ピカソはもとより、美術界にの歴史についての興味深い論考が山盛りの著作です。

  • 絵画ビジネスのバブルという背景。ピカソの英才教育でのデッサン力、破壊性、異常な人格、そこから出来上がる前衛作品。いろんなことがその時代にマッチして大成功したという感じか。

    あまり興味がなかった美術の歴史やピカソについていろいろわかって面白かった。

    ピカソの絵を自分でも描けると思う人がいるって驚き。私は美術に詳しくないし、わからないけど、あれを見たことのない時に描けるのかと言われたら描けるわけない。
    でも、この絵がなんでこんな高価なの?とか、中にはどこがいいんだろう?と思う絵もある。
    自分は飾りたい?いや飾りたいとは思わない。

    今日でいう芸術家は工事と同じで安い給料で働いていた。19世紀末から20世紀初頭に絵の市場のバブル。ちょうどピカソの時代。
    ピカソはビジネスに乗って描いていた。画商の好みを把握して。画商の好みに合わせて画商の肖像を描く。個性というより本当にビジネスに徹してサービスをしている。英才教育による絵画技術があってこそ。そしてロックイン状態で儲けたおす。
    “妻を替えるたびに、前の妻を焼いてしまわなければならない”女性を卑下し絵画の材料にしていた酷い男だ。

    キュビスム、ドラ・マールの肖像、魔除けとしての絵、母親の溺愛、父親の期待、破壊ピカソの絵は審美的審査にすれば美しくない、ピカソはすごく上手い デッサン力がすごい。

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ピカソは本当に偉いのか? (新潮新書)の作品紹介

「なぜ『あんな絵』に高い値段がつくのか?」「これって本当に『美しい』のか?」。ピカソの絵を目にして、そんな疑問がノド元まで出かかった人も少なくないだろう。その疑問を呑み込んでしまう必要はない。ピカソをめぐる素朴な疑問に答えれば、素人を煙に巻く「現代美術」の摩訶不思議なからくりもすっきりと読み解けるのだから-。ピカソの人と作品に「常識」の側から切り込んだ、まったく新しい芸術論。

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