本当は怖い動物の子育て (新潮新書)

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著者 : 竹内久美子
  • 新潮社 (2013年3月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105128

本当は怖い動物の子育て (新潮新書)の感想・レビュー・書評

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  • 「母親スイッチ」なんてない。そんなものは、たぶん誰かの(当事者じゃないだれか)の願望なのだ。
    にも関わらず、それが実在していると信じられてしまっているために、「理想の母親」を演じられずに苦しむ女性のなんと多いことか。
    少子化を憂いつつも、若年出産や未婚の母を蔑視し、差別する。一家の苗字がバラバラなだけで家庭が崩壊すると心配する。
    「よりよく育てられない」という予測が出た時点で、次へ進むのは、動物としてはなんら間違っていないやり方なのだが、人間世界ではそれが通用しない。
    「動物の愛情あふれる子育てを見習え」という人は、動物のシビアな選択もまた受け入れなければならないだろう。動物の生態のイイトコどりだけするのは虫が良すぎる。
    人間もまた動物の一種である、という謙虚さを思い出したほうがいいよなあと思った。
    「虐待行為」のみに焦点を当てて、行為者を非難したり糾弾したりしても、問題はなんら解決しない。人間なら「理性的」に判断すべきじゃないのか。
    よけいな知恵や文化が発達したせいで人間は苦労しているようにしか思えない。
    もっと動物行動学が広く知られればいいのにといつも思う。

  • この本は同じ動物好きの友達から勧められて読みました。既に知っていた子育ての仕方なども書かれていたのですが、知らないこともたくさんあって読むのが面白かったです。本の後半ごろから人間の子育ての仕方や民族の長が女性の場合と男性の場合、どのような決まりがあるかなど、動物だけではなく人間のちょっと怖い子育てについても読めたのがよかったと思う。この本は動物の子育てに興味がある人に勧めたいです。

  • 目からウロコの面白さ。

    最近社会では子供の虐待や殺人が問題になっているけれど、動物の世界ではよくある話なのだそう。

    パンダは大概2頭の子供を出産し、大きい方だけ育ててもう一匹は育児放棄するらしい。
    今動物園で何頭も育っているのは、飼育員さんが、子供をすり替えて上手く親パンダをだましているらしい。

    どうも母乳の量だ足りなくなるのを見越しての行動ではないかという。

    継子殺しもよくある話。

    動物の行動を人間にあてはめればなんとなく理解出来る所は多い。
    もちろん動物と人間は違うけれど。


    一番興味深かったのは中国、四川省と雲南省の境にある高地に住むモソ人の結婚形態の話。

    モソ人は少し変わった母系の家族形態をとる。
    男女は年頃になると「走婚」といって、男が女のもとに通う。
    そのうちお披露目して公式カップルにはなるのだが、男が婿として同居はしないのだそう。
    ここが普通の母系家族と異なるところ。

    男はずっと実家に留まり、姉や妹の生んだ子供の世話をする。
    同居家族は血縁だけで構成される。
    例えば一人子供が居たとして、その子の同居家族は大おじさん、おばあさん、お母さん、おじさん、おばさん、いとこ達・・ということになる。

    こうなると日本社会で問題となっている事は起きにくい。

    女も男も舅、姑とは同居しないのでその手のもめ事はナシ。

    女の生んだ子供は父親が誰でも一族には変わりないので、大事に育てられる。
    よって虐待も起きにくい。

    不倫も不倫ではないかも。
    「なんだか最近こなくなったわねー、他所の女の所行ってるのかなー。」
    という感じか。

    男は妻子を養わなくてもいいので、経済力がなくても結婚は出来るが、ルックスや性格、才能でアピール出来ないとダメなので、それはそれで結構厳しいかも。(笑)

    ずっと二人で暮らしたくなったら家を出たりするのかな?
    もし上手くいかなくて別れても実家には帰りやすいだろうねぇ。

    この結婚形態、案外いいかも。

  • オスが遺伝子を残すための工夫を、いかにしているか、ということが記されている。
    そういうもんだろうなあ、と思う。

    とはいえ、今更あなたの子じゃありませんでしたといわれても、もうひきかえせないなぁ、と十代の娘二人を育てる親としては思う。

  • 前半はなかなか勉強になるぞと読み進み、
    後半は恐ろし・・・

    人間も生物なんだよな~

  • 生物学の最新の研究を元にネグレストの予防方法を検討した一冊です。

  • 動物の子育てでは、遺伝子を残すための本能や工夫に驚く
    動物の生態をヒントに人間の子育てをみている

  • パンダやリスやタガメやタツノオトシゴ、そして人間の、子育てにおける取捨選択や、
    『種の繁栄』ではなく『自身の遺伝子の繁栄』を思わせるこわーい本能について。
    怖いけど、大変興味深く読めた。

  • 動物界をみると、虐待は起きて当然、という感じだった。
    特に、再婚とかした日には、継父は、母の連れ子を虐待するのが当たり前(自分の遺伝子を残すため)という感じだった。この著者らしく、結構衝撃的な書き方をしてあった。でも確かに、そんな感じかも…。

  • 教育、子育て支援関係者必読の本ではないでしょうか?

    大変大変示唆に富む本でした。

    竹内女史は動物行動学者であり、動物の生態から人間の行動について考えてこられた方です。私もほんの少ししか読んでませんが、女史の著作の一部には動物研究の成果の人間への過剰応用というか、平たく言えば「それって言い過ぎじゃない?」というものもあり、利己的遺伝子について誤解しているという指摘や、中には他の学者から「トンデモ本」と批判されているものもあるようですが、本書については、基本的には、非常に大事な視点を私たちに与えてくれていると思います。(本書でも少しだけ変な主張があると思います。)

    本書の11章中7章は、動物の子育ての知られざる側面について書かれています。

    「動物の親子」って聞くと、子どもを袋に入れているカンガルーの親子とか、寄り添って歩いている馬の親子とか、親が巣で待つ我が子のために餌を捕ってきて口移しにあげている鳥の親子とか、親が子どもの毛づくろいをしているサルとか猫の親子とか、ついつい「微笑ましい親子の姿」を思い浮かべがちですよね。

    しかし、本書は、動物の行動原理は、基本的には「種の存続」又は「自分の遺伝子の保存」であって、親が無償の愛を子に注いでいるわけではないし、むしろ種の存続のためのクールな戦略が取られている、という視点を教えてくれます。

    ほんの一例を挙げれば、
    ・パンダは双子を産んだ場合、片一方しかまともに育てようとしない
    ・サルやライオンのように群れで生活し、リーダーが入れ替わることもある動物の場合、リーダーの交代後、新リーダーのオスは旧リーダーのオスの子を殺す
    ・タツノオトシゴの一種は、オスが育児嚢で受精卵を育てるが、本能的に大きなメスとの交尾を好み、小さなメスとの交尾で受精した卵は中絶することがある。
    などなどです。

    もちろん特徴的な例が書かれているのでしょうから、これが動物の子育てのすべてではないですが、魚類から、鳥類、哺乳類、ヒトに一番近い類人猿までの様々な例が挙げられており、例外とも言えないようです。

    残り4章は2章ずつ、南米の先住民族の子殺しについてと、現代日本の児童虐待について書かれています。

    それらの内容は事実であっても誤解を招きやすい内容だと思うので、ここで無理にまとめないでおきますが、本書が私たちに与えてくれる示唆は、

    「人間も動物であり、子育てにおいてもそういう特質が現れる可能性というのはある」

    ということでしょう。

    この点で今も忘れられないやり取りがあります。かつて担当していた審議会における子育てに関する議論の中で、著名な動物の専門家が「父親は役に立たない。動物の父親はいくができない。ヒトも所詮、動物だから父親は育児ができなくてもしょうがない」というようなことを言われたところ、これまた著名な子育て支援についてお詳しい先生が「人間は『文化的な動物』なのであって、何でもかんでも動物と一緒に論じられたら困る」と言われたのです。

    このやりとりを伺った時は、後者の先生のほうを「さすがだなあ」と思ったのですが、今考えると、前者の先生の発言は、あまりにも誤解を招きやすい発言をちょっと安易にされたなとは今でも思うものの、「ヒトも動物の一種である」という視点は忘れてはいけないのかなと思います。

    児童虐待の悲惨な事件について、「人も動物の一種だからしょうがない」とは誰も思わないと思いますが、その予防や防止においては、時に人間は動物的な本能を見せることもあるという「可能性」を念頭に置いて考えてみてもいいのでははないか、などと考えました。

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本当は怖い動物の子育て (新潮新書)の作品紹介

まさか!?なんてこと!!パンダの母親は「できの良い子」をえこひいきして「ダメな子」を見殺しに。タスマニアデビルは生まれたての赤ちゃんにサバイバルレースを課し、リスはご近所の子を取って食う…子殺し、DV、虐待は日常茶飯事。極悪非道に映るメスたちの狙いとは?オスはその時どう動く?「ヒト」は彼らと別物か?テレビ番組や動物園が伝える美談からは決して見えてこない、動物たちの恐ろしく、たくましい真実の姿。

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