無力MURIKI (新潮新書 514)

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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105142

感想・レビュー・書評

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  • 五木寛之さんの「無力(むりき)」(2013.4)、宗教的色彩もあり、五木さんの本にしては難しかったです。自力でもなく他力でもなく無力、「?」です(^-^) ただ、読んでて考えることは多々ありました! 自力か他力か、人間か自然か、心か体か、生か死か、意識か無意識か・・・。そして琴線に触れる文も~。人間は重力という他力によって立っていられる。重力がなければ、猛烈なスピードで自転する地球の表面からあっという間に宇宙へ吹っ飛ばされてしまう。本当に不思議なことだと思います!

  • 自力とも他力とも違う、無力(むりき)という考え方について語っている本でした。
    人は常に揺れ動く存在だという主張は理解できましたが、結局無力とは何なのか最後までよくわかりませんでした。(^^;
    本の内容もあちこちフラフラと揺れていますし、著者自身が無力という考え方を完全に整理しきれていない気がしました。

  • 著者は、浄土真宗の他力の思想に深く共感しながらも、しかし同時に自力をも否定しない。それどころか、どちらか一方を採用する二分法的な考え方自体を改めなければならないとする。そして花田清輝の「楕円の思想」(真円の中心点は1つであるのに対し、楕円は2つの中心点を持つ)を引き合いに出して、自力と他力という2つの力点間を自在に往復し、どちらにも偏らない(力まない)生き方=「無力(むりき)」を提案する。

    「本来、人間は時に右へ、時に左へと揺れ動いていくものなのに、その認識を欠いたまま、どちらに落ち着きたがっているような気がしてなりません」(p.65)

    少なくとも現代社会において、このようなどちらにも落ち着かない、いわば不安定な生き方を自発的に選択することにも、ある種の「強い力」を必要とするような気がしないでもないが、この問題意識は共有できる。

  • 「むりき」
    ついに「力」と決別する時がきた。自力か他力か、人間か自然か、心か体か、生か死か―あらゆる価値観が揺らぎ、下降してゆくこの国で、私たちはどういう姿勢でこれからを生きていけばいいのか。いいね、これ。

  • 「むりょく」ではなく「むりき」。
    とはいえ、仏教的な発想+下山思想のセットを改めて示されるとちょっとうんざりする。

  • 「明日のことはわからない」ということをわかっている人は、「明日のことなどわかっている」というひより、5割ぐらいはマシ

  • 実に五木さんらしい著書。
    白か黒か、はっきりさせるのではなく、そのあわいを揺れ動く。
    それこそが世の中の真実ではないか。
    有力ではなく、無力でもなく、無力(むりき)。
    読んでる間にちょっとくどい気もしたけど、そんな本でした。

著者プロフィール

1932年、福岡県生まれ。作家。生後まもなく朝鮮半島に渡り幼少期を送る。戦後、北朝鮮平壌より引き揚げる。52年に上京し、早稲田大学文学部ロシア文学科入学。57年中退後、編集者、作詞家、ルポライターなどを経て、66年『さらばモスクワ愚連隊』で小説現代新人賞、67年『蒼ざめた馬を見よ』で直木賞、76年『青春の門筑豊篇』ほかで吉川英治文学賞、2010年『親鸞』で毎日出版文化賞特別賞受賞。ほかの代表作に『風の王国』『大河の一滴』『蓮如』『百寺巡礼』『生きるヒント』『折れない言葉』などがある。2022年より日本藝術院会員。

「2023年 『新・地図のない旅 Ⅱ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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