経営センスの論理 (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (235ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105159

感想・レビュー・書評

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  • 経営センスの論理 (新潮新書) 新書 – 2013/4/17

    本を読むのではなく、本と対話することが大切だ 抽象化して本質をつかむ
    2017年1月28日記述

    楠木建氏による著作。
    一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。
    1964年東京都目黒区生まれ。
    南アフリカ共和国ヨハネスブルグで子供時代を過ごす。
    1987年一橋大学商学部卒業。
    1992年同大学院商学研究科博士課程単位修得退学。
    一橋大学商学部専任講師、同助教授、一橋大学イノベーション研究センター助教授、
    ボッコーニ大学ビジネススクール(ミラノ)客員教授、
    一橋大学大学院国際企業戦略研究科助教授、准教授を経て、2010年より現職。

    本書は、ダイヤモンド社が運営するオンラインサイト「ハーバード・ビジネス・レビュー」での
    連載「ようするいこういうこと」(2011年10月3日~2012年5月1日)、「楠木建の週間10倍ツイート」(2012年5月24日~2012年11月15日)の記事を元に編集を施したものです。

    連載をまとめた本でもあるのではじめにで著者もことわっているように何か一貫したテーマについて述べている訳ではない。
    だから色々な方向に話題があちこち行っている印象。
    また2012年くらいの世の中の出来事についてのコメントも多い。
    さくっと読んで参考になる部分があれば良いなって感じだ。

    印象に残った文を引用してみたい。

    英会話や財務諸表の読み方、現在企業価値の計算はスキルを身につければ何とかなる。
    しかしスキルだけでは経営はできない。
    戦略を創るというのはスキルだけではどうにもならない仕事だ。
    すぐれた戦略をつくるために必要なのはセンス。
    スキルをいくら鍛えても優れた経営者を育てることは出来ない。
    スーパー担当者になるだけだ。
    センスは他者が育てるものではない。
    当事者がセンスある人に育つしかない。
    センスは他動詞ではなく自動詞だ。
    経営に出来ることはセンスがある人を組織内で見極めその人にある商売の単位を丸ごと任せる。

    経営は意志。
    意志は言葉でしか伝わらない。
    人が書いた原稿を読み上げるだけの経営者がいるが、何を考えて経営しているのか、不思議としか言いようがない。(柳井正)

    他社の経営者が書いた本は個別の文脈の中に埋め込まれているので、すぐに応用することはできない。
    しかし、優れた読み手はそこで抽象化して本質をつかむ。
    本を読むのではなく、本と対話することが大切だ。

    これから就職しようという人々にとって「大学生が選んだ就職人気企業ランキング」に情報価値はほとんどないと言って良い。
    有名な会社を挙げて下さいとあまり変わらない。
    GPTWインスティチュートが実施している働きがいのある会社ラインキングの方が良い。

    戦略は「こうなるだろう」という未来予測ではない。
    「こうしよう」という未来への意志が戦略だ。
    「人間はイメージできないことは絶対に実行できない」
    「こうしよう」というイメージがしっかりと共有されていれば、根拠を持って仕事が出来る。
    毎日の仕事がタフであても、明るく疲れることが出来る。
    数字を掲げるだけでは「こうしよう」という意志が組織で共有されない。
    数字を掲げて走らせるだけだと、疲れが暗くなる。
    だから戦略ストーリーが必要になる。

  • 2021/12/19 再読・まとめ Excellent!
    経営者=センス戦略策定←シンセシス(総合)vs分析・スキル 
     候補者の選定 センスのある人
     ビジネスを任せる 子会社の経営
     好き嫌いがハッキリ vs客観的・良し悪し・DATA
     ハンズオン オーナーシップ 覚悟 責任感
     経営は意志 言語化が不可欠 自分の言葉
    戦略 予想ではない こうしようという未来への意志

    良い戦略を作るのはスキルよりセンス センスの良さは天賦の才
    育てるより見出し、育つようにする センスは好き嫌いで磨かれる

    戦略の本質はシンセシス(綜合)であってアナリシス(分析)ではない
    スキルで経営者を育てられない スーパー担当者になるだけ

    経営は意志 意志は言葉でしか伝わらない 事業に対してオーナーシップがある
    良い顔で仕事をしているか?も大事な視点

    競争戦略の本質は「違いをつくること」独自性や差別化
    イノベーションの本質は「非連続性」

    戦略=競争の中で長期利益を獲得するための手段
    「こうなるだろう」という未来予測ではない。
    「こうしよう」という未来への意思が戦略。
    人間はイメージできないことは絶対に実行できない。

    数字より「筋」
    「戦略が優れた会社」=「働きがいのある会社」
    経営者が骨太の戦略ストーリーを構想し、それを会社全体で共有する

    exニコニコ動画川上量生
    僕の理想は「非効率な社会」
    全体の効率化を進めると、無機質のつまらない街になる 同じチェーン店の同じ景色
    精神的に豊かな社会は「多様な社会」
    文化や富の正体は、昔から非効率なもの、無駄なもの

    人間の価値 「意味がある」「面白い」
    知識の質は「論理」にある 抽象と具体の行きつ戻りつとその幅が「地頭の良さ」

    大ベストセラー「ストーリーとしての競争戦略」の著者
    MBAのような分析的経営スキルが主流の中に、大きな一石を投じるスタンスは同じ
    そもそも事業とは、経営とは、基本的な問いに答えてくれる大スケールの本
    大変深みのある「新書」740円は大得です

  • イノベーションや多様性についての考え方が新鮮でした!

  • 楠節炸裂。

  • HBRでのオンライン連載と記事を再編集したものだそうで、とても軽いタッチの文体です。『ストーリーとしての競争戦略』からの流れで手に取る人には物足りないかもしれません。
    第5章で、大学生が選んだ就職人気企業ランキングなんか、『ラーメンを食べたことのない人による人気ラーメン店ランキング』みたいなもので、情報価値は限りなくゼロに近い、という例えは痛快。

  • 面白かった。
    ふんふん考えながら読んだ結果、新書なのにめっちゃ時間かかったわ。。

    面白がる力は、持ってる気がするので、背景を深ぼることにしよう。相手の意欲を引き出すための気付きに繋がりそうだしさ。

  • 3章あたりまでは楠木先生特有のユーモアを織り混ぜたストーリーに引き込まれ、この本との対話を楽しめた。
    ただ、後半の4章以降はストーリーは面白いが、中味が薄くちょっと物足りなかった。
    商売センスあふれる経営人材は多くの会社にとっても希少な資源である、、、同感!

  • 経営においてスキルだけでなくセンスが重要である、
    ということを、いくつかの側面から解説しています。
    とてもわかりやすく、読みやすいです。

    興味深いものはいくつかありましたが、
    手段の目的化なんて、言われてみればその通りで、
    自分を振り返ってみてあーぁ…と思ってしまいました。笑

    就職人気ランキングに関する話は、
    確かになるほどな、と思います。

  • ・好き嫌いの自意識
    ・業界の位置エネルギー(製薬業の粗利、など)

    何よりも経営は意思!
    何をしたいか、何をせざるを得ない ではない。

    営業担当、購買担当、などなどいるが、CEO担当になってはいけない。

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著者プロフィール

経営学者。一橋ビジネススクール特任教授。専攻は競争戦略。主な著書に『ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)、『絶対悲観主義』(講談社)などがある。

「2023年 『すらすら読める新訳 フランクリン自伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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