日本経済を壊す会計の呪縛 (新潮新書)

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著者 : 大畑伊知郎
  • 新潮社 (2013年5月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105210

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日本経済を壊す会計の呪縛 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 減損会計の導入経緯や、税効果会計の説明は大変わかりやすいものだったが、会計基準を時価評価を求めない以前のものにもどすべきとか、持ち合い株式による安定株主を増やし、安定性を求める経営を、という視点には疑問を感じた。
    減損会計については、短期的な収益性を考え、設備投資の収益性が悪いので、評価損を計上するという方法が、巨額の損失計上につながり、企業の体力を消耗していると言っているが、本当にそれだけでしょうか。減損損失を計上する=設備投資の回収が不可能なのは、製品が売れないからであって、減損損失を計上したからではないと思うのです。日本の製品が世界に受け入れられないのには、製品そのものに問題があるからです。
    また、持ち合い株式の復活による安定性、持ち合い株式の時価評価を求めないと言っても、例えばすでに価値が下がっていることが明らかな会社の株式をいつまでも取得原価に据え置いておくことが、本当に正しい会計処理でしょうか。資産項目は、必ず回収可能性をテストするかと思いますが、回収不可能な持ち合い株式を取得原価にしておくと、粉飾決算を招くことにならないでしょうか。
    全体的に「昔は良かった」という論調の内容で、読後感がイマイチでした。

  • 著者の頭の良さを感じた。論理的な文章で、非常に読みやすかった。

    簿記の勉強をしているときに、ふと「お金」の不思議を感じることがあった。例えば同じ売上なのに、どの会計基準を採用するかで額が変わることがある。
    「なんで?」って思ったけど、簿記の目的は「正確に帳簿記帳ができる」こと。その時は「そうするんだ」と思うことにして、でもやっぱり、「そもそもなんで?」っていう気持ちはどっかに残っていて、そんなときこの本があった。
    「お~~!!!」と、パラパラ本屋で立ち読みすると、「まさに!」っていう内容が書いてあって、一気に読了した。
    それで読んでみるとやっぱり会計基準によって、お金の計上が変わるものではある。けど、「こういう会計基準だから、こういう経営をしないといけないよね。というかこういう経営にならざるを得ないよね」っていう感じで、会計基準の「存在感のでかさ」を感じた。
    会社によって経営活動はさまざまだが、財務諸表をつくるときは、「固定資産」とか「営業費」とかの、「会計のカテゴリ」に統一される。会計ってすごい地味に見えるけど、めっちゃ大事っていうのを改めて感じた。

  • 本の帯では関連ありそうに書かれているが、アベノミクスとはあまり関係ないです。

    減損会計、税効果会計というキーワードが分かりやすく解説されています。

    最近の決算ではこのキーワードがよく出てくるので、知らない人は読んでおいた方が良いでしょう。特に自社が赤字になっている方。

  • 時価会計・減損会計・税効果会計などの性質と問題点を解説した本。
    会計基準の変更が日本企業の経営を動かし、経済に影響を与えているかを説明している。

  • 「金融ビッグバン」において導入されたいくつかの会計基準の問題点、またそれが現在の日本経済に与える悪影響を指摘し、改善策を織り込んで論じた本です。本書の著者は公認会計士です。

    わたしは簿記資格の受験勉強をしており、分かりにくいテーマである「評価替え」や「減価償却」について、実例や経緯を通して理解が進むことを期待して購入しました。

    本書では①時価会計、②税効果会計、③減損会計の3つの会計基準に焦点が当てられており、「なぜ新たにそれが導入されたか」というストーリーを軸に、分かりやすく説明されています。説明の分かりやすさという点では評価できる本です。

    しかし、会計ビッグバンにて導入された各種会計基準にいろいろと問題があることは、これまでにも多くの議論がなされており、"目からウロコ"な発見はありません。また新書という形態ゆえ当然ながら網羅的な"教科書"とはなっていない一方で、全く会計に関心がない人もおもしろく読める、とは言い難く、帯に短し襷に長しというか、中途半端な印象が残る本ではありました。

    (2014/3/24)

  • インフレが進むと日本経済がダメになるとか、デフレのままでは日本に未来がないとか、多くの本で述べられています。現在の日本経済の状況の原因を多くの方が分析していますが、この本の著者の大畑氏は、それを、日本の会計基準が会社を苦しめているからと断じています。

    国の盛衰は究極的には「税をどのように徴収するかだ」とある本に書かれていたのが印象に残っていますが、法人税を決めることになる会計基準も、我が国に大きな影響を与えていると思います。

    20世紀の最後の10年と、21世紀になっていままで会社勤務をしていますが、世紀をまたぐ頃から会社のあり方が少しずつ変わってきたような気がします。日本経済の現状を「会計基準」という切り口から解説してくれたこの本には、気になるポイントが多くあったと思います。

    以下は気になったポイントです。

    ・我が国の企業経営のあり方が大きく変化したこと、これがデフレ不況の根本原因である、その変化をもたらしたのが企業の会計処理を定めるルール=会計基準である(p8)

    ・新しい会計基準は、理論を基礎として意図的に作られたもの、会計基準の性質が、慣行から理論へ移行したのが、企業経営への影響を大きくした原因にある(p20)

    ・我が国の企業の資金調達は、長年、銀行融資に依存していたので、銀行との関係強化が重要で、さらに取引先企業との関係においても安定的な取引を続けるために、株式持ち合いが有効であった(p43)

    ・持ち合い株式の時価評価による含み損益は、会社の自己資本に直接反映する仕組みになっている(p44)

    ・時価会計導入前の1998.3には銀行の株式保有比率は14.8%であったが、2011.3には4.1%へ低下、外国人投資家の比率は、13.4→26.7%(p48)

    ・法人税法上と会計上の利益がなぜ異なるかは、法人税法と会計では、収益や費用を計上するタイミングに違いがある(p52)

    ・固定資産の帳簿価額を切り下げること(減損会計)がなぜ経費削減になるかというと、それにより固定資産から発生する減価償却費を減らすことができるから(p63、66)

    ・減損会計は、アメリカでは経営者による損失計上を抑制する方向で働いたが、日本では逆に、損失計上を促進する方向に働いた、アメリカの経営者はリストラを前任経営者のせいに、日本では会計基準のせいにすることができたのは事実(p67、71)

    ・日本航空では、官僚は天下りポストを、政治家は利権を、社員は手厚い給与と年金を、そして銀行は儲かる取引をもとめて同社に群がった(p90)

    ・ソニーの当期純損益は 2600億円の赤字だが、税効果会計と減損会計の影響を除くと、1120億円の黒字となる(p109)

    ・税効果会計は、会計上の税金費用を期間配分する手続きであり、税効果会計を適用しても支払う法人税額には何の影響もない、税効果会計の適用によって追加の損失が計上されても実際にその損失分のお金が会社から出ていくことは無い(p110)

    ・赤字になりにくい体質にするには、固定費を削減することがポイントとなる(p116)

    ・不況の原因は、会計ビックバンと契機として、我が国の大企業の経営が、株主利益重視の経営へと変化し、人件費を削減したことにある(p134)

    ・経営者が使うべき管理ツールである管理会計を、株主にも開放してしまったのが、減損会計である(p144)

    2013年9月16日作成

  • 決算書の中に、「事業者の見積もり」に委ねられている項目が増えてしまっている、というのは共感するところ。過去の実績は誰でも異論はないが、見積もりについては恣意的要素を除くことは難しい。
    その意味で、とても管理会計的な決算に今はなっている、とも言える。

    著者は合わせて「どうすればよいのか」という改善案を提示してもいる。
    ただ、会計基準を見直す、というのは国レベルでの議論になるので、ここで一専門家が提唱したことがどれだけ現実味があるのか、ちょっと疑問に残る。

  • わからんでもないけど、そこまで言わなくても   っっって感じの本

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日本経済を壊す会計の呪縛 (新潮新書)の作品紹介

アベノミクスで会社の業績は上がりません。リストラの加速、大手電機メーカーの巨額赤字、相次ぐ百貨店の閉店……すべての「黒幕」は会計だった! 日本的経営が破壊されるプロセスを解き明かすスリリングな書。

日本経済を壊す会計の呪縛 (新潮新書)はこんな本です

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