キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)

  • 534人登録
  • 3.98評価
    • (37)
    • (68)
    • (35)
    • (1)
    • (1)
  • 66レビュー
著者 : 久松達央
  • 新潮社 (2013年9月14日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105388

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
クリス・アンダー...
高野 和明
佐々木 圭一
エリック・ブリニ...
有効な右矢印 無効な右矢印

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • タイトル通りの、非常によくできた農業論。

    農地という税制上優遇されている環境が、農家の発展を
    妨げているという指摘。
    旬のものは旬の季節に食べるべし(冬のほうれん草は、おかしい)。
    有機でなくても、安全な野菜は作ることができる。

    著者自身ストーリーマーケティングと言っているように、
    卵一つでも、鶏の姿や生産者の顔が浮かぶようなものを
    提供することで、値段以上の価値をあげる、などは見事。

    感心した箇所は、今回の震災の放射能問題について。
    農業経営者として、風評被害で支持が落ちるようでは
    経営者として負け。
    個人と個人が、強くつながっている関係を築くべし。

    こないだの小ざきの先代社長の言葉、お客の信頼があれば
    問題が起こっても商売は再開できる、につながる
    商売道ですね。
    久松農園、必ず生き残る農家でしょうね。

  • 新規就農を考えている人にも・・ 食に対して 不安や疑問を抱えている人にも読んで見て欲しい・・
    消費者の目も経営者の目も持った著者だから こんなにわかりやすいのかもしれない・・

  • 有機農家が語る、有機野菜の実態と農業論。

    うんうんと頷きながら一気読みしました。

    消費者には普段口にしている野菜の実態を知るために、生産者(特に小規模農家)には農業経営の指南書として、一読の価値ありです。

    『キレイゴトぬきの農業論』特設ページ
    http://hisamatsufarm.com/news/988.html

  • 個人的な感想ではあるが今まで読んだ農業の本のなかで一番現場サイドのことが分かりやすく、読みやすく書いてあると感じた。
    特に、有機のこと、農薬のこと、そして放射能のことなどが色んな人にわかってもらえるように書いてあると思う。
    農業はいろいろな側面があり、一概に農業で括ってはいけないと私は常々思っているが、この本を読めば農業のほんのさわりがわかってもらえるのではないか。

  • 「有機農法だから安心」という論理は、ハッキリ言って2周遅れです。

    無農薬・無化学肥料の有機農法野菜を少量多品種で手がける久松農園から、このような意見を聞けて膝を打つ思いだ。有機野菜じゃなければならない、という原理主義は論外としても、未だに新規就農するに際して自然農だ、無農薬でやるのだ、という人たちに欠けている戦略性、それについて書かれている本である。

    無農薬・無化学肥料とは美味しい野菜をつくるための手段であって、そこに至る手段としては別に慣行農法だろうが水耕栽培だろうがどれでも良い。一方で、新規就農という土地も資本もネットワークもない状況で採るべき戦略として、無農薬・無化学肥料というニッチな分野を狙うのはアリだと思う。

    自分自身、田舎に住んで有機農法で野菜を育ててみたが、虫や雑草との戦いは半端なものではなかった。そのような痛い経験を踏まえて、様々な農業資材を活用しながら、顧客選別をするマーケティング戦略として無農薬・無化学肥料を実践する久松農園のやり方は合理的に感じた。

    農業の素人で、漠然と有機農法が身体に良いのだと思っちゃっている人たちに是非読んでもらいたい内容である。

  •  これは読む価値がある本だ。久々に目からうろこが落ちた。ロジカルな思考と有機農業にありがちな過剰な精神論の徹底した排除、さらに農業という職業やその周辺の政策・農村社会・消費者に関する客観的な分析力。その辺の経営学の事例研究の何倍も面白い。

     最初の段階で「有機だから安全」「有機だから美味しい」「有機だから環境に良い」を嘘だと言い切るあたりは、まあ農学部にいれば常識のレベル。とはいえ、有機農業を実践している人自身が言い切るのはなかなか「勇気」のいることだと思った。おそらく、著者はこのスタンスで論戦をし慣れているのだろう。

     自らの経営方針を「土の生き物との共生」「とれたての鮮度を徹底追及」「ニッチを探る多品種栽培」「顧客・小規模飲食店との濃密なコミュニケ」においていて、これも極めて明快。つまらない精神論ではなく、経営資源の投入として、冷静に農法を選んでいる点も極めてわかりやすい。

     最後の「新参者の農業論」にある「清貧でエコロジカルな善人」という”職人”農家像を捨てよ、ビジネスツールとして開拓する能力を磨け、農村は特殊なのではなく、まだまだ困っていないのから変われないのだ、というメッセージは、思わず電車の中で「おおー!うむー」と叫んでしまった。行き帰りと乗り換えで計4回。

    これは読む価値がある本だ。

  • 著者の久松氏はちょっとした知り合いなのだが、以前と変わらない論理の明解さと歯切れの良さで楽しませてもらった。
    やや刺激的なタイトルなのだが、本書の内容は至って常識的である。逆に言えば、これがある意味衝撃を以て受け取られていることは、世間一般の有機農業に対する理解の低さをよく表している。農薬だけでなく、堆肥や有機肥料に対する誤解、誤用についても触れてほしかったが、新書という媒体の制約上専門性に踏み込み過ぎるのも難しいのかも知れない。
    次作にも期待したい。

  • 刺激的題名だ。外資系の杉山氏とは違うが、輸出関連のサラリーマンから有機農家に転身した著者。どちらにも共通するのが営業・営農に通底する利益につながるノウハウを持っているということ。既存の農家の常識にとらわれない思考と共に、大規模農業ではなく小さな農業に商機があるという論調も共通していて面白い。「二流の超一流」という引用も良かった。東日本大震災での風評被害(放射能汚染)をどう乗り切ったかの記述は生々しく、考えさせられた。国や自治体の農業施策批判は当を得ていると思う。

  • 読みやすかった。書くの上手!
    まともで素直で、納得できる意見だった。
    そして、やりたいことをやろうとしている新規就農者の足をひっぱらないで。挑戦させて。多様性を認めて。改革をさせて。と言っていた。
    これを阻むことに何のいいことがあるだろう?

  • 甲府読書会の本。
    農業の本かと思ったら比較的読みやすく、ビジネス本に似ている。
    センスもガッツもなくていい、にはそんなことないと思う。

  • もっと上から目線の本かと思っていましたが、とても親近感のわく本でした。
    憶えておきたい内容をメモしておきます。

    ・ヒトの1日許容摂取量(ADI)=「仮にある農薬が、関連するすべての農産物に基準値上限まで残留していたとする。それを一生涯にわたって毎日、国民平均の100倍食べ続けたとしても、動物実験で健康に影響が出ない範囲に収まる」

    ・野菜の味を決める大きな要素=栽培時期(旬)、品種、鮮度

    ・野菜は自然なものではなく、人が手をかけなければ自然界では生きていけない、いわば植物の奇形

    ・日本の農家約200万戸のうち7%にすぎない販売金額1,000万円以上の農家による売上が、全生産額の6割を占める

  • 適した時期に、適した品種を健康に育て、鮮度よく届ける
    家庭菜園の延長に、農業はない

  • 明快な文章で、筆者の主張がよくわかる。
    農家の哲学が示されていて、筆者の野菜を食べたい気持ちにさせられる。

  • 有機野菜は農作物を使う一手段にすぎないこと、という主張に納得出来た。結局、世に広まっている有機野菜という言葉のイメージは、それが何なのか、何がいいのかをよく知らないまま、余所からの情報を鵜呑みにしてしまったことによるマジックワードであったのだ。反省しなければいけないなぁ。

  • 2013年10月15日3刷、並、久米書店
    2016年1月20日伊勢BF

  • 分かり易い説明だった。
    農薬が危険かどうかの問題については「もし仮にある農薬が基準値の上限まで残留している野菜を毎日平均の100倍以上食べても動物実験で健康にに影響が出ない範囲に収まる」と言っている。農薬を使ってるから危険、使ってないから安全という事ではない。
    虫が喰っている野菜は弱い野菜。その前に農薬を使って虫を防除することで弱い野菜が市場に出回る可能性があることが、農薬の問題点。
    野菜の美味しさは、栽培時期(旬)、品種、鮮度だという。
    年中色々な野菜が帰る環境だけど、出来るだけ野菜の旬を意識して買い物をしようと思う。

  • ニッチ産業としての居場所をみつけた著者の農園だということですが、ちゃんとニーズを生んでやっているので、単なる隙間産業ではないのではないか。土地の力を活かし、旬を守り、品種を選び、鮮度を大切にするというこの三要素を堅守することで、慣行農家の作物よりもおいしいものを作っていくというのが、大きな方針で、はた目には、セレブという意味ではないけれど、野菜による贅沢を提案するようなビジネスになっているように読みました。
    まぁ、なんていうか、農業論といわれていますけれど、軸はたぶん有機栽培なのですが、それでもあまり中心軸を感じないいろいろなトピックを正面から紹介したり論じたりという性格の本ではないかなと思いました。マクロにもミクロにも農業を語っているのですが、200ページに収まっているコンパクトな読み応えのある読みものでした。

  • 資料ID:C0035264
    配架場所:本館2F新書書架

  • 久しぶりにというか
    僕の人生に影響がありそうな本
    これは農業したくなるなあ

    野菜の味を決める要因は
    栽培時期、品種、鮮度
    これを気を付ければ8割方OK
    栽培技術ではない

    飲食業は個人経営で小規模が多い
    やる気ある経営者に資本集中させ大規模化する
    と政府がいい始めるとどうか?

    風評被害について
    ふぐを目指すべきではないか?

    ガッツもセンスもなくとも工夫で

    実に論理的で面白い指摘だらけだ
    農業の本を初めて読んだけれども
    農業経営者として歩みたくなるそんな本
    ときどき読み返すべき本だ
    何年かしてこの本で人生が変わってそう
    おそろしい本だ

  • 脱サラして有機野菜を多品目で作っている農家15年選手の方が、2013年に出した本。311直後の放射能騒ぎが起こった時のこともふくめ、ぶっちゃけて書いた感じの本。ぶっちゃけてというか、思ってることを正直に書いた本という感じかな。

    有機野菜=安全、美味しいみたいなイメージがまだあるとは思いますが、有機だから安全、安心、美味しい、じゃないんだよ、ってことを皮切りに、野菜の変化と性質、著者のような小規模農家のやり方、事業としての農家とその未来などが書かれています。

    農家が野菜を作っているのは知ってるけど、実際イメージしきれない部分が多いんですよね。そういう意味で現場の声が読めてよかった。ちなみにこの人は冒頭に書いたように脱サラ組なので新参者ポジションから見たその話し。相続でやって来ている農家に言わせたらまた違うのでしょう。

    農家の既得権益についてよく知らなかったのですが、それについて知ることができました。たしかに今の状態では成長路線はイメージしにくいですね…。

    とりとめないけどそんな感じ。
    食に関して意識が芽生えつつある人が読むとよいのではないかと思う。勿論、農業に興味がある人も。

  •  脱サラして、オンライン野菜販売の農園を経営している筆者による、現代日本の農業論である。
     有機農業だから安全だ、に代表される有機農業の誤解から始まる本書は、ガチガチの農業論かと思いきや、次章から自分の実体験に基づく農業の実態の説明が始まる。
     野菜は旬がおいしいなど基本から、筆者の農園経営論まで、幅が広い。独立心の強い新規就農者はこういう農業経営になるだろうな、と思わせるような日本の農業の問題点も指摘している。
     地震後の原発事故の風評被害や、行政の就農支援システムの疑問点などにも触れていて、実際に土や野菜と向かい合っているからこその説得力が感じられる。
     本書を読むと、日本の農業はまだ潜在力があるという筆者の主張に同意する人も多いだろう。

  • 有機農法は安全で美味しい、とは限らない。
    農業界はマーケットレビューより、仲間内での評価が先行する社会=ピアレビュー社会になっている。
    農業の名人ほど、そのノウハウが言語化・数値化されておらず、暗黙知化されている。
    農業技術はまだまだ整理されていない。
    センスが無いから考えることで、農業技術が拓ける。
    実際の農業の現場が少し分かる。

  • 久米書店紹介本
    美味しい野菜について、たまに目からウロコのことが書いてある。

  • 「日本一話のうまい農家」は伊達じゃない.農業経営についてざっくり知りたいという目的を十分に満たし,面白くも読みやすい文体であっという間に読了してしまった.こうなると難点はページ数ですね…新書に言っても仕方がないのだけれども.農業の現在を知るための一冊目にオススメ.

全66件中 1 - 25件を表示

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)を本棚に「積読」で登録しているひと

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)の作品紹介

日本農業は「誤解に基づく神話」に満ちている! 有機が安全・美味とは限らない。農家イコール清貧な弱者ではない。有機野菜を栽培し、ゲリラ戦略で全国にファンを獲得している著者による、目からウロコの農業論。

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)はこんな本です

キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)のKindle版

ツイートする