歴史をつかむ技法 (新潮新書)

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著者 : 山本博文
  • 新潮社 (2013年10月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105418

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歴史をつかむ技法 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 歴史を学ぶとはどういうことか述べた本。
    歴史小説と歴史学の違いや史観などを簡潔にとりあげてわかりやすく説明されている。

    知識を増やすということに異論は全くないが、「歴史すなわち暗記科目」という認識を変えたいと常々思っている身としてはこういう本に凄く共感する。
    知識をもとにした考える歴史の授業目指して日々精進したいと思う。

  • 中学時代に読みたかった。今でも遅くない^_^と思いたいけど。

  • 歴史的思考力
      
    歴史的思考力とは、現代に起こる事象を孤立したものとしてではなく、「歴史的な視野の中でかんがえていく」ということだと考えています。

    現在、世の中で起こっていることは、事象そのものは偶然に起こったものかもしれませんが、そのすべてに歴史的な背景があります。このことに留意できる歴史的な知識とそれを参照して考えられる思考力、つまり知性が必要です。そしてまた、そもそも私たちの考え方自体も、歴史的に形成されてきた所産だということに留意することが必要です。

  • 歴史を考えるのに最良の一冊
    家庭にどうぞ

  • 日経新聞の紹介記事を読み、タイトルに惹かれて購入しました。
    技法というとノウハウが思い浮かびますが、その様な内容ではなく、世にある史観・考え方の紹介から始まり、文部科学省の歴史に対する学習指導要領と学校でのアプローチ、歴史学者と歴史小説家の違いなど、歴史を学ぶための構えについて、歴史学者の視点で解説しています。
    いま読んだからかもしれませんが、中高生の現役時代にこの様な知識を得た上で学んでいればと、悔やまれてなりません。
    いわゆる知識偏重な学習ではなく、思考訓練により深い洞察力を得られたかもしれません。
    但し著者も主張されていますが、歴史研究にifが厳禁である様に、ある程度の基礎知識がないと理解が進まない以上、致し方ない面もあるでしょうね。少ない知識で、本書の様な学ぶ心構えを解説されても、馬の耳に念仏でしょうしね。要はバランスなのでしょう。現場を預かる教師の方々も大変ですね。
    ただ本書からは、かなりのインパクトを貰いました。
    その一つは、人類は進歩してきたのか 単に歩んできたのかという論です。マルクス主義史観の様な、歴史に法則性が存在するのか。またはブラウン運動の様に、その時の様々な偶然が重なり、今に至っているのか。著者は、その時代背景や価値観を照らした上で、因果関係を読み解くというその時間軸での分析の重要性を主張されています。
    もう一つは、歴史を一連の時代を通貫した通史や、世界史からみた日本史の関係性の様なマクロ的な視点、政治史だけでなく社会史や、気候など自然史などを重層的で多様な視点で俯瞰してみることの重要性も指摘しております。
    まさに"なるほど"でした。
    そう考えると、どの様な学問も、アプローチは公約数かなとも感じます。
    ミクロからマクロ、要素から全体システム。まさに、様々な視点・視野・視座から、深く洞察して最適解を追い求める。
    学びの奥深さを再認識しました。

  • 日本の歴史をつかむ本です。
    歴史を理解するためには、その時代の常識であったり、社会情勢などを把握していないと、正しく理解することが難しく、難しいだけでなく誤解をしてしまう恐れがあるという。
    理解するための助けとなる、考え方、思考方法を本書では提示してくれている。
    と、書いてみたものの、うーん、、なかなかこの本だけでそこまでいくのは難しいかとも正直思います。
    ただ、最後に書かれている著者が考える「歴史を学ぶ意義」には、これから歴史を学んでいこうとする人の背中をそっと押してくれるものだと思います。

  • 一番印象に残ったのが歴史小説と歴史学の違いについてである。歴史を学ぶときに重要なのは史料を批判的に読むことと教わったが、どちらの本も読むからこそ、その違いを理解してそれぞれの良さを感じたい。

  • 曖昧なまま覚えて、歴史を勉強しようとすると定義がよく分からなくて困惑する時代区分の解説、歴史小説と時代小説、歴史学の違い等、歴史を学習する上で躓きやすい部分が、学者らしい真摯な文で書かれています。
    「現代の感覚で歴史を見ない」ことを心掛けていたつもりですが、この本を読んでまだまだ現代視点が抜けていないのが自覚できました。私もまだまだ。

  • 歴史用語がなぜ分かりづらいのかが分かった。皇統の考え方、血筋がいかに重要視されたかなどの解説もあり勉強になることが沢山。また、歴史研究は細かい証拠を積み上げて検証される地味~~~なものであるということもよく分かった。一方歴史小説というものは歴史研究や歴史的発見に基づいて想像力を膨らませ描かれるので面白い。歴史を楽しむためには歴史小説がとっても大切なんだと再認識。

  • 歴史的思考力
    自分の感覚まで落とし込むと、時間軸をマクロな視点をもって現時点のミクロを見れる工夫って感じかなー

  • 技法についてというよりも、著者の歴史認識や解釈が展開されている。よって、これもひとつの主観であり、あらためて歴史認識や解釈の難しさを痛感した。そもそも正解などないのかもしれないが。
    一応、大学の先生らしく中立性や相対性は意識されており、概ねマジメな本ではる。が、歴史学者として非科学的・感情的・ロマン主義的な歴史ドラマや歴史小説に対しては、敵対心も感じられた。この類は歴史に興味を持つきっかけになれば、悪くはないとは思うのだが、学者としては歴史的事実とは異なる似非物語として流布する事に許せない部分もあるのだろう。

  • 著者の山本博文氏は、日本近世史を専門とする歴史学者。1992年に「江戸お留守居役の日記」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞し、その後も江戸時代の大名や武士を取り上げた作品を多数発表している。
    本書は、「歴史学」と「日本通史」という大きなテーマ二つを取り上げている。
    前段では、歴史学は何を目指しているのか、歴史学とはどういう学問なのかに加えて、歴史学にはどのような技法があるのか、即ち、歴史を学ぶ上で必要な「考え方」や「見方」が紹介されている。
    そして後段では、前段の「歴史学とは何か」を踏まえて、幕末までの日本の通史を、“著者の解釈”に基づいて展開している。それは、日本の幕末までの歴史を、鎌倉幕府の成立を境に「古代」と「中世・近世」に分けた上で、「古代」については、天皇の血筋がいかに継続したのかという視点、「中世・近世」については、鎌倉・室町・江戸という三つの武家政権がいかに移行したのかという視点から見たものである。
    また、「聖徳太子はなぜ天皇になれなかったのか?」、「鎌倉時代に幕府はなかったのはないか?」、「江戸時代には藩も鎖国もなかったのではないか?」など、著者の独自の視点からの、興味ある分析も提示されている。
    歴史学と、その一つの例としての日本通史がまとめられた一冊。
    (2014年4月了)

  • 日本の歴史をまとめた好著だが、随所に最新の研究成果を織り込んだり、的確なツッコミがあって楽しめた.特に、歴史小説との関連を考察しているp56からの記述が良い.幅広い研究成果を簡単に述べているが、非常に精力的な活動の成果だと推察する.この位の密度で大まかな知識を確認しておくことが、歴史を把握するのに重要だと感じた.

  • タイトルと内容はちょっとずれてますね。
    山川の教科書を大人向けに書き直した(と言いつつ、ほぼそのまま)の例のシリーズが売れていることに焦りを感じて、変な汗をかいてしまってる。

    内容としては、歴史研究を仕事としている人たちは、どうやって歴史を紐解いているのか。教科書に淡々と書かれた史実は、何を起源にどうやって事実と認められてきたのか、という歴史研究の裏舞台を語ることが本編。
    その題材として、魏志倭人伝を拠り所にした古代、正史を持つ平安時代、私的な記録も多い戦国時代などを扱っている感じ。

    一応、歴の流れというか、普遍的な何かを知りたい、という(山川本を意識した想定上の)読者の問には答えようとはしているんだけど、オマケっぽさはある。

    歴史そのものではなく、歴史研究について知るにはとても良い本だと思いました。年寄り向けじゃななくて、未来の学者に向けて書いた本として、魅力的なタイトルつけて売れないかなぁ……。

  • この一冊で「日本史の流れ」をわしづかみ! 単なる「知識」を超えた「歴史的思考力」を鍛え上げる全6章。
    私たちに欠けているのは、受験などで必要とされた細かな「歴史知識」ではなく、それを活かす「技法」だ。歴史用語の扱い方から歴史学の変遷まで、「歴史的思考力」を磨きあげるための一冊。そもそも「幕府」とは何か? 「天皇」の力の源泉とは? 歴史小説と歴史学との違いとは? 第一線の歴史研究者が、歴史をつかむための入口を最新の研究成果を踏まえて説く。高校生から社会人まで、教養を求めるすべての人へ。(2013年刊)
     はじめに
     序 章 歴史を学んだ実感がない?
     第一章 歴史のとらえ方
     第二章 歴史の法則と時代区分
     第三章 日本史を動かした「血筋」
     第四章 日本の変貌と三つの武家政権
     終 章 歴史はどう考えられてきたか
     おわりに

    本書は日本の古代史から明治維新までを「今の段階における日本史研究の成果をもとに私の視点からの日本史の流れと歴史をつかむ技法を示した」(おわりに)本である。著者は「(現在どの説が一番有力なのかということさえ)少し専門を離れると簡単にはわかりません」と日本通史執筆の難しさを正直に語っている。

    本書は、一般読者や現役高校生向けに、大学生が学ぶ「史学概論」といった科目に重なる話も交えて書かれているという。内容の妥当性がどうなのかは、私にはわからないが歴史用語の基礎知識などわかりやすく教えてくれるのが嬉しい。
    例えば、「幕府」という用語であるが、中国を起源とする言葉で、一般に幕府と広く呼ぶようになったのは、江戸末期の事だという。しかし、歴史学ではこの言葉を借りて、鎌倉時代以降の武家政権の統治機構を統一して「幕府」と呼んでいるという。
    よく歴史マニアの間では「秀吉はなぜ幕府を開かなかったか」とか議論になったりするが、そもそも幕府とはなんぞやという部分がわかっていないと話にならないなあという事を痛感した。

    それにしても、昔、授業でならった内容とだいぶ変わってきていることがわかる。聖徳太子がなぜ天皇にならなかったのか、院政がなぜ始まったのか、鎌倉幕府滅亡の原因となった天皇家の皇統の問題など知ることが出来たのは面白かった。

  • こういう人が高校のときに歴史を教えてくれていたらと思いつつ、読み終わって経歴をみたら東大教授でした。

  • 日本の通史を説明しながら、用語の意味や各時代の重要な要素を説明。歴史学的な入門書としては解りやすい。個人的には技法=思考法と勘違いしていたので、ちょっと期待はずれ的に読んだ。

  • 歴史の評価はその時々の社会や環境によって変化する。

    その時の事実をしっかり捉える。それがぶれない歴史なのだと思う。

  • 最近、鎌倉幕府成立の年号は「イイクニ(1192)作ろう」より「イイハコ(1185)作ろう」で覚えるらしい。また、聖徳太子はただのボンクラ御曹司だったらしい。

    学生時代の日本史授業で習ってきた常識が否定されることがよくある。それは新しい史実が発見されたのではなく、歴史の考え方が変わったからだ。つまり、「歴史学」が発展したから。

    では、「歴史学」とは何か。今そこにある史実をコツコツと分析、研究することで、新たな歴史の見方を発見することだ。世紀の大発見によって新たな歴史を掘り出すというドラマチックさはない。

    しかし、「イイクニ」を「イイハコ」に変えたことは、かなりのインパクトだ。改めて、歴史のおもしろさに注目が集まっているこのご時世、「歴史」ではなく、「歴史学」にスポットを当てた歴史学入門書。

  • 歴史学が科学であることを丁寧に示している。

    分かっているけれども、過去の歴史を舞台にしたフィクションを私たちは本当だと思ってしまいがちだ。SFは想像力の産物だと分かっているのに、歴史物になるとそこが変わってくるから摩訶不思議な生き物だ、人間は。

    また、私は中高時代、歴史が嫌いだった。著者が言うように年号と事実の無味乾燥な暗記科目の思えたからだ。しかし、科学であると気づいた日から腑に落ちるものがあった。そのことが本書の肝だろう。

    ・古来のものと思われている神道も鎌倉時代に形成された
    ・近世以前、政治と文化は密接だった
    ・歴史的思考力とは、現代を見るときに歴史的な視野で考えられること

  • おすすめの一冊です!最近、歴史の教科書で鎌倉幕府の成立の年が変わった…という話題がマスコミで取り上げられることがあるが、それがどういうことのか理解できるようになります。

  • 高校・大学と卒業して社会人になって辛いことや悩みは多くありますが、その反面とても楽しくなったのが歴史に関する本を読むことです。

    学生時代は、私にとって歴史というのは、漠然と面白さを感じつつも年号や人名を間違いなく覚えなければ点数が取れないというプレッシャーからか、歴史を楽しむということはできませんでした。

    歴史小説も良いですが、歴史を通年で解説されている本も増えてきました。それらの本を読んで悟ることは、歴史は一つの流れで動いているということです。私たちは有名な事件・戦いを学ぶことがメインですが、そこに至るまでの経緯にその時代の当事者の苦悩を感じます。

    そんな私にとって、この本の帯にある「日本史の流れを、わしづかみ!」というコピーは私の目を釘付けにしてくれました。この本の著者である山本氏は、独自の視点から多くの本をすでに出されているようですね。

    私にとっては記念すべき一冊目ですが、これから彼の本を多く読んで、単なる知識を超えた「歴史的思考力」を鍛えて、更に歴史や歴史小説を読んで、自分の人生にも活かしていきたいと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・ものごとを理解するためには、車の両輪のように「知識」とその知識を行かすための「思考方法」の二つがそろう事が大事、歴史を学ぶ上で必要な「考え方」「見方」を紹介していきたい(p5)

    ・「乱」は軍事蜂起を伴う国家(天皇)への反抗であるのに対して、「変」はときの政権の転覆工作である(p22)

    ・鎌倉幕府に相当する武士の政権のことを、朝廷では「関東」とか「武家」と呼んでいた。幕府側の武士たちも「幕府」とは言わず、「鎌倉殿」と称している(p30)

    ・藩という言葉が頻繁に使われるのは、幕府がなくなった明治初年から4年の廃藩置県までのわずかの間。この時には、藩主の居所である城・陣屋の所在地を藩名とすることになったので、薩摩藩の正式名称は鹿児島藩(p31)

    ・天武天皇の孫の文武天皇の時代、701年の遣唐使がはじめて対外的に「日本」をなのるが、その勢力範囲は、まだ東北中部以北、南九州は入っていない(p35)

    ・桶狭間の戦いにおいて、「信長公記」に奇襲攻撃のことは全く書かれていていないので、奇襲説に疑問を呈した・正面攻撃をし、押された今川軍の前軍が後方に逃走したため、義元の本陣までが混乱した(p50)

    ・忠臣蔵の時代背景において、喧嘩両成敗が武士時代の常識となっていたことを知らないと事件そのものを理解できない(p52)

    ・足利尊氏は後醍醐にかえて光明天皇(北朝)をたてて1338年には征夷大将軍に任じられて京都で政治を行う。後醍醐天皇は奈良の吉野山にのがれた、現代の天皇家は北朝系統だが、「大日本史」においては南朝を正式な王朝としている(p105)

    ・桃山は、秀吉が関白を辞めた後に、伏見に築いた城のあった地の呼称である、伏見城の跡地に桃が植えられて「桃山」と呼ばれた(p107)

    ・直系とは、父子で皇統を継承していくことで、天皇と皇女との間に生まれた子供こそが「直系」として皇統を続ける資格のある天皇ということ(p125)

    ・摂関制度は長く続き、藤原道長の子孫である5摂家(近衛、鷹司、九条、二条、一条)から出た。廃止されるのは王政復古の大号令が出たとき(p152)

    ・鎌倉幕府は地方に守護と地頭をおいた、それまで地方は「荘園公領制」であり、国家の機関である「国衙」と、その支配を受けない「荘園」で構成されていた。守護は東国の国衙の支配権をひきつぎ、荘園の管理を行う下司には地頭が任命されることが多かった。ただし、西国では国衙・荘園が残っていた(p166)

    ・惣領制とは、それぞれの武士団の宗家を首長とし、分割相続によって成... 続きを読む

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欠けていたのは「知識」ではなく、それを活かす「技法」だ。用語の扱い方から歴史学の変遷まで、歴史を実感する入口を第一線の歴史研究者が、最新の研究成果を踏まえて案内。高校生から社会人まで「教養」を求める全ての人へ。

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