- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106105975
感想・レビュー・書評
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著者の里見先生は、鳥取県出身。現場にいる医師が語る病院での日常を綴る一冊。あっという間に読み終えました。
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「偽善の医療」の里見清一先生の新刊。
この本も面白い。
まるで落語を聴いているかのような感覚で、今の医療についてのアレコレをズバリと(特には逡巡しながら)描いてくれている。
放送禁止用語的なコードも気にしないかの弁舌で、面白かった。
確かに、現代医療は、というか社会は、人は死なないかのごとく医療を考え、廊下も病気として捉えるようになっている。
釈迦のといた「生老病死」という逃れられないものにたいして、医師がどう向き合っているのか、そして、社会がどう向き合うべきなのか考えさせられる。
本の中には多数の引用がなされていて、そのいくつかは医学論文として発表されたものもある。
引用元も示されているので、これらも引いて 読んでみたいと思った。
「死」について、考えることを放棄するのではなく、目の前にして考えなければならないなと思った。
最終章に、小説(医療ドキュメントノベル)「約束」が収められているが、これは、すこし涙してしまった。
優しく、非情な等身大の医療が語られている。
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【内容(「BOOK」データベースより)
医学の進歩で、なかなか死ねない社会が到来した。しかし90歳過ぎの老衰患者に点滴をし、抗生物質を投与し、透析を行いペースメーカーまで入れて、なんのために「救う」のだ。数多くの死に立ち会ってきた著者は、今どきの「タテマエ」「良識」を嘲笑う。「命に上下は存在する」「患者の自己決定を信じない」「現代の医者は『死神』の仕事を担う」…現代人である「あなた」の死に方についての、辛辣かつ深遠な思索。
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【著者略歴「BOOK著者紹介情報」より】
里見/清一
1961(昭和36)年鳥取県生まれ。日本赤十字社医療センター化学療法科部長。86年東京大学医学部卒業。国立がんセンター中央病院内科などを経て現職。日本癌学会・日本臨床腫瘍学会・日本肺癌学会評議員
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【目次】
1 褒めたら人は伸びるのか
2 ストレスはなくせない
3 自己決定の呪縛について
4 「自己決定尊重」の裏側
5 なかなか死ねない社会
6 がんのメリット
7 生身の医者は絶滅寸前
8 命に上下は存在する
9 引導を渡す役目を担う
10 あなたの臨終の枕元に立つ
11 気分の問題
12 二番煎じの価値
13 ピークのあとは下るだけ
医療ドキュメントノベル 約束