沖縄の不都合な真実 (新潮新書 601)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106019

作品紹介・あらすじ

これが「カネと利権」の構造だ。政府と県の茶番劇、公務員が君臨する階級社会、異論を封じる言論空間……沖縄問題の語られざる現実を炙り出す。

感想・レビュー・書評

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  • 本著を読むと沖縄という地域がいかに悪しき意味で「中国的」かがわかる。すなわち、政官財の癒着、権力べったりのマスコミ、歴史的に見た士族(つまり役人)の割合の多さと庶民との格差、琉球大サークルによる支配、等々。県内の格差状況に関してのシビアな分析もタイトルにふさわしい。

  • 納得しながら読んだ部分もあれば、反感を覚えながら読んだ部分もあった。どちらかといえば後者の部分が多かったが。沖縄問題をさまざまな角度から捉えようという試みはいいかもしれないが、随所で詭弁的レトリックが用いられており、首尾一貫した主張が矛盾なく展開されているわけでもない。

    【納得した部分】
    ・莫大な補助金の投入が招く、基地問題解決に対する政府・県双方のモチベーション低下。
    ・「全基地返還がもたらす経済効果は9155億5千万円」という数字の算出方法のずさんさ。
    ・基地問題の裏に隠れて隠蔽されている「貧困」や「極端な格差」といった山積する問題の存在。
    ・基地問題の解決を阻む「基地利権」を追求しない県内マスコミの弱さ。

    【反感・疑問を覚えた部分】※「⇒」以下は私見
    (辺野古移設を断念した場合)“政府は、次の移設先を見つけなければなりません~”(p12)
    ⇒なぜ「全面返還」ではなく「移設ありき」なのか。本書全体を通して言えることだが、普天間を含む多くの米軍基地が正当な手続きを経ずに、暴力的な方法で接収された土地の上につくられているという事実がないがしろにされている。

    “反対派はあくまで「心」と「平和」にこだわります”(p15)
    ⇒「心」や「平和」はマスコミ受けがいいから喧伝されているが、基地問題の皮相に過ぎない。問題の本質は、戦後70年も経過している独立国家に外国の軍隊が常駐し続けていることの不正義や異常性、である(しかも端緒からして暴力的な土地接収という決して見過ごせない不正義がある)。皮相だけを批判して本質を隠蔽するような論じ方には誠実が感じられない。

    “「振興策が欲しい」という本音のために「基地反対」という建前を~”(p46)
    ⇒マクロな現象としてはそのように見えるかもしれないが、純粋に基地に反対している県民が数多くいることを等閑視してはいけない。

    “①在沖米軍の安定運用が抑止力として重要、②海兵隊が撤退して抑止力が不足した場合は自衛隊の強化を検討する、③自分の国は自分で守る これらは霞が関の役人にありがちな考え方です”(p50)
    ⇒霞が関の思考(に基づく行動)は①で止まっているのが実態では?

    “私も集会と新聞以外で「基地反対」の声を聞いたことはほとんどありません”(p66)
    ⇒取材範囲が狭すぎる。積極的に集会等に参加するわけではないが基地には明確に反対だ、という沖縄県民は決して少なくない。

    “一見「反戦」に見える沖縄の声の本質は「反日」です”(p70)
    ⇒同じ日本人の「反政府」的な態度を躊躇なく「反日」と言ってしまう軽薄さ!(怒)日本人に対して「反日」という言葉を使うのは、「非国民」というのと構造は同じだ。少なくとも知識人が使うべき言葉ではない。この「反日」の一語によって本書の品位がスポイルされてしまっている。
    ※「反日」の語はpp145-146にも登場する。

    (米軍基地と自衛隊基地を合わせた)“軍事基地の83%は本土にある”(p70ff)
    ⇒自国の防衛が目的で、シビリアンコントロールが効く自衛隊と、(日本国民による)シビリアンコントロールが全く保障されておらず、かつ、外国の戦争に赴くこともある米軍を一緒くたにして扱うのはナンセンスである。

    (それぞれ米軍基地を要する)“沖縄と神奈川と東京の面積はほぼ一緒ですが、人口密度は神奈川が沖縄の6倍、東京は10倍です。横田基地は普天間の1.5倍の面積があります。騒音レベルも1.5倍だとすると、東京には普天間15個分の騒音被害があることになり、墜落事故で死ぬ住民も15倍ということになります”(pp73-74)
    ⇒いくつ指摘すればいいのかわからないくらいの詭弁のオンパレード……。とりあえず、基地周辺地域や飛行ルート直下地域の人口密度ではなく、県全体の人口密度を比較しても何の意味もない、ということだけを指摘しておく。

    “軍事飛行場に隣接して小学校を立てた例は、世界でも沖縄だけ”(p76)
    ⇒飛行場を建設する際に緩衝地帯を設けなかった米軍にも非があるのではないか。地主から不正に接収した土地に無理やり飛行場を建設したのだから、緩衝地帯の設けようがなかったのだろうけど。また、普天間第二小学校が作られた1969年には、「沖縄が本土復帰すれば米軍基地はなくなる」と多くの県民が当然のように信じていた、ということも忘れてはいけない。

    “私が辺野古に生まれ、仕事がないため基地関係の仕事を担う父親の土木会社で働いていたとします。基地は嫌いですが生きていくためには仕方ありません。そして、「ジュゴン大好き会」といった動物保護団体に所属する東京あたりから休日だけ「運動」をしに来る意識の高い若者から「子供たちの未来のために、この美しい海を守りたいと思わないんですか」と説教されたとしましょう(実際にこれを地元の人に向かってやる本土人がいるのです)。私はその若者に殺意を覚えるだろうと思います”(pp102-103)
    ⇒第1章で槍玉にあげられた、利権争いを展開する土建業界の言い訳にそのまま使えそうな理屈だ。このたとえ話に登場する「土木会社で働く地元民」のような私的利害のしがらみが基地問題の早期解決を阻んでいる、というのが第1章の指摘するところではなかったか。「殺意」という言葉も軽々しく使うものではない。
    ※「反日」「殺意」といった乱暴な言葉づかいは、第2章、第4章、第6章に出てくる。いずれも共著者のうち大久保氏が執筆を担当している。

    “「このまま基地が減っていけば基地反対運動も消滅してしまうのではないか」と真顔で心配する労組の幹部もいました。(中略)先の労組幹部は「反戦平和は沖縄のアイデンティティそのもの。基地がなくなれば沖縄の存在意義もなくなる」とまで言い放ちました”(p160)
    ⇒こういったごく一部のアホの極端に歪んだ言説を、反基地運動の中軸の意思であるかのように紹介するのはいかがなものか。

    “以上のような政治的計算の末に、翁長市長は、「基地反対」「沖縄差別」が叫ばれる集会に積極的に参加してきたのではないでしょうか。(中略)一方、集会を企画する平和センターは、こうした思惑を承知しつつ、自らの運動が「県民総意」であると証明するために保守系政治家を利用してきたのではないでしょうか”(p172)
    ⇒そうだとしても、より重要なのは「なぜ翁長氏は革新に転向せず(保守のままで)基地反対を主張できたのか」「なぜ翁長氏が保革を超えた支持を集めて知事選を圧勝したのか」といった問題のほうでは?「政治的思惑」というダーティな文言で実際に翁長氏が広い支持を集めたという事実を隠蔽してはいけない。

    (「県民総意」という演出によって)“守られているのは、オール沖縄の「県民益」ではなく、「公務員益」であり、「組合益」であり、一部の「企業益」であり、「政治家益」ではないでしょうか”(p173)
    ⇒基地反対が(正義実現のためではなく)誰かの利益のためであるという功利主義的発想がそもそも貧困である。

    “「日本」による沖縄差別を問うのであれば、沖縄(本島)による奄美・宮古・八重山地方に対する差別と収奪の歴史にも、「落とし前」をつけなければなりません。(p205)
    ⇒正論ではあるが、米軍基地の偏在という構造的差別をいま現実に是正すべきという文脈にあっては、論点ずらしのスケープゴートにしか聞こえない。米軍基地偏在の問題は「沖縄本島と奄美・宮古・八重山の関係」とほとんど文脈を共有しない。

  • 基地の巨額な振興資金、基地被害としての格差と貧困、米国による沖縄ナショナリズムの醸成、全基地返還による経済効果試算の非合理さなど、不都合な事実たち。一番怖かったのは、沖縄の政治家が容易に「県民の総意」と発言すること。実際、普天間基地の辺野古移設に関しては、容認派・反対派はほぼ真っ二つ。民主主義の対極にある異論は認めない風潮、更にはヘイトスピーチ現象に見られた沖縄と日本間のナショナリズム衝突が、事の本質をどんどんボヤかしていきそう。今、百田尚樹氏の発言も話題ですし、これを機に沖縄問題を知りたい方に是非。

  • 沖縄の本当の問題は戦争ではなく、
    利権構造にある。

  • 「カネと利権」の構造

  • 沖縄の米軍普天間基地の辺野古移転に対し、多くの沖縄県民が反対しているかのような報道のされ方が多いが、実は賛成派も多くいる。県外に移設されると困る人も多いようだ。オスプレイの危険性についても、他のヘリと比べて危険というわけでもなく、報道にバイアスがかかっているのだろう。厚木基地のほうが普天間よりもよほど危険らしい。新聞報道、テレビ報道は鵜呑みにしないほうがよいだろう。特に朝日新聞か。

  • 年始以来、沖縄県知事の翁長雄志知事と安倍内閣とのすれ違いがたびたび報道されています。4月5日にようやく菅義偉官房長官との会談が実現できましたが、やはり、何が問題なのかよく分からなかったので、本書を読んでみました。また、本書に書かれていることを鵜呑みにしないためにも、いろいろ関連情報を整理してみました。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/futenma_and_henoko_issue.html【書評】『沖縄の不都合な真実』〜人口急増する普天間基地周辺・人口一人当たり25万円の振興予算・地主一人当たり225万円の軍用地借地料 : なおきのブログ

    <目次>
    序章 沖縄はこれからどうなるのか
    第一章 普天間問題の何が問題なのか
    第二章 高まる基地への依存
    第三章 「基地がなくなれば豊かになる」という神話
    第四章 広がる格差、深まる分断
    第五章 「公」による「民」の支配
    第六章 本土がつくったオキナワイメージ
    第七章 「沖縄平和運動」の実態と本質
    第八章 異論を封殺する沖縄のジャーナリズム
    第九章 「構造的沖縄差別論」の危うさ
    あとがき

    2015.01.15 くまざわ書店で見つける。
    2015.04.05 読書開始
    2015.04.11 読了

  • 日経新聞支局長と元大学教員により、沖縄について書かれた本。一般の人が知らない沖縄の事情を詳しく調べ上げ、丁寧にまとめていると思う。人物名もはっきり書かれており、データも詳細で参考になった。
    「基地の見返りとして沖縄に配分されている巨額の振興資金を含めて「公」や「権威」に依存して自立への道を自ら封じている保守的な沖縄の体制と、その体制を事実上支えている日本政府の姿勢が問題なのです」p16
    「基地の見返りに投入されている振興資金は、保革を問わず沖縄では大歓迎されます。振興資金は、基盤の脆弱な沖縄経済を支える屋台骨だと考えられているからです。辺野古のある本島北部にも莫大な振興資金が投入されました。が、振興資金も特効薬ではありません。一過性の、麻薬のようなもので、それがなければたちまち痛みが出てきます。病巣は放置されたままです。振興資金は、一部の人たちを利するだけで県民全体には浸透しないという問題も抱えています。復帰以来、11兆円という巨額の振興資金が投じられてきましたが、全国最高の失業率と全国最低の県民所得、そして全国でいちばん深刻な所得格差は一向に改善しません。沖縄にとって最大の問題である「貧困」は、辺野古移設問題の陰に隠れて、表に出てくることさえ稀です」p16
    「沖縄には、自分たちの現状を変えたくないという、真の意味での保守的な社会集団が存在するということです。「基地には反対だが、基地の見返りである振興資金に依存する公主導・官主導の経済はこのまま続けたい」という集団です」p17
    「沖縄の基地を減らせば減らすほど、特別な振興予算もガソリンや泡盛の特別な減税措置も大幅に減らせます。沖縄振興だけのために1000人の職員がいる内閣府沖縄総合事務局も、沖縄振興のためだけの銀行である沖縄振興開発金融公庫もなくせます。その分、国民の税負担は減ります」p27
    「(辺野古移設)沖縄側のキーマンは建設会社、東開発会長の仲泊弘次氏でした」p31
    「(アメリカ統治「琉球列島に関する民事ハンドブック」)「琉球人は粗野な振る舞いから、日本人に「田舎から出てきた貧乏な親戚」と差別されている。潜在的な不和の種は政治的に利用できる」米軍は、「琉球」「琉球人」という言葉を多用して、本土と沖縄は違うという意識を植え付けます」p68
    「琉球大学は米国主導でつくられ、創立記念日はリンカーンの誕生日です」p68
    「米兵が「胡屋」「古謝」を誤読して定着した「コザ」が好まれるのも、米軍の上手な沖縄支配の名残でしょう」p69
    「一見「反戦」に見える沖縄の声の本質は「反日」です。その結果、本土と沖縄が分断され、基地問題が内政問題化してきました。そのことは、在日米軍の安定運用を図る米国の狙いとピタリと重なっています」p70
    「米軍基地の割合は本土77%(789平方km)沖縄23%(232平方km)です。本土には沖縄の3.4倍の米軍基地があります」p71
    「沖縄以上の住宅密集地に米軍飛行場がある本土の普段の生活を是非、見てほしいと思います。そうすれば、なぜ日本一危険な米軍基地が、実は普天間ではなく厚木だと言われているのかがわかるはずです」p72
    「普天間基地は終戦時の1945年に完成しました。一方、ニュースなどでよく取り上げられる普天間第二小学校は、その24年後の1969年に宜野湾市が危険を承知であの場所に建てたものです。軍事飛行場に隣接して小学校を建てた例は、世界でも沖縄だけだと思います。最も驚いたのは普天間飛行場所属のパイロットでしょう」p75
    「県内市町村所得ランキングの上位を占めるのはすべて基地のある市町村です(1 嘉手納町、2 北谷町)。所得伸び率を見ると、トップは東村、2位は嘉手納町でした。つまり、基地さえなくなれば経済成長できるという話はこれらの数値を見るだけで眉唾だということがわかります」p87
    「(沖縄は)高失業率・低所得が定着し、経営者が圧倒的に強い前近代的な弱肉強食の資本主義社会になっています。琉球大学OBのエリートを中心とした閉鎖的な支配階級が県内権力と一体化しているため、沖縄には県内権力を批判するマスコミや労組、学識者などの左翼勢力が育ちませんでした。女性や子供、障害者ら社会的弱者が放置され、中小、零細企業の労働者は搾取されています。これが沖縄における最も深刻な基地被害です」p90
    「多額の税金をつぎ込んで実施されてきた振興策は、目だった産業をつくれませんでした。公民館やホール、公園や野球場、運動施設、大規模な観光施設などに使われ、中小企業や個人には回らず労使関係をゆがめました」p92
    「(日本銀行那覇支店レビュー)県内ではオーナー企業や中小企業の割合が高いこともあって労働組合の組織率が全国比で低いことが挙げられる。この結果、雇用・賃金に関する経営サイドからの不利益案件が、大きな抵抗もなく実行されており、こうした労使関係の枠組みが、県内の労働分配率の低さなどといった取得環境の悪化に繋がっている」p93
    「沖縄のジニ指数は0.339と全国一です」p94
    「所得が1000万円を超える納税者の割合が、沖縄は10.2%で全国9位。ベスト10で大都市圏でないのは沖縄だけです」p94
    「支援なし民間学童保育は7割が沖縄。子育てへの支援が日本一貧弱です。盲、聴覚障害者養護老人ホームの未設置、自治体のバリアフリー構想ゼロなのも沖縄だけ。NHK受信料を支払っている世帯は42%。五割を切るのは沖縄だけ。年金加入率も最下位。給食費の未納も日本一です。離婚率は9年連続ワースト。生涯未婚率は男性22.3%(1位)、女性9.7%(2位)。「日本で最も結婚が難しく離婚しやすい県」のイメージがすっかり定着しています」p94
    「沖縄だけは県版がないので、沖縄の記者は全国紙に地元ニュースを出し抜かれる心配がありません。だから、全国紙の影響を受けずに県当局と一体化した紙面がつくれるのです」p109
    「(利権問題)本来なら沖縄のメディアは、率先してこれらの問題に本格的な調査を行い、沖縄に流れ込む基地関連の金をめぐり政財間の癒着構造ができていることをあばくべきではないのか」p110
    「(沖縄の)企業所得はほぼ全国並み。ところが、資産所得比率は大阪(2位)、東京(3位)を引き離してダントツ1位です。資産所得の4割が基地使用料で、地主約4万人のうち年間100万円以上の使用料を受け取る地主が46.2%(約1万8000人)存在します。これも、沖縄経済を歪める大きな要素です」p124
    「年収300万円未満の家計は50.14%で全国一」p125
    「①所得が公務員に偏在している ②所得上著しい公民格差が存在する ③政治的影響力のある公務員が経済的イニシアティブを握っている ④結果として「民」優位ではなく琉球王朝以来の「公」優位の経済社会が温存されている」p138
    「沖縄は県土に占める埋め立て面積が全国で最も多い県ですが、観光資源である美しい海を自らつぶすのは、建設、土木、砂利、コンクリート、建設資材、運送業など裾野の広い建設業界で生計を立てる県民が多いためです」p147
    「(辺野古移設反対運動)自治労沖縄、沖教組、沖縄国家公務員労働組合など公務員系の組合が主力です。大規模な民間労組がない沖縄では、労組といえば公務サービス関係の労組を指しています」p153
    「守られているのは、オール沖縄の「県民益」ではなく、「公務員益」であり、「組合益」であり、一部の「企業益」であり、「政治家益」ではないでしょうか」p173
    「自分の本を地元の出版社に依頼して自費出版しようという思いも叶えられないほど、沖縄における「表現の自由」や「言論の自由」に対する意識は麻痺しているのでしょうか」p191
    「日本による沖縄差別を問うのであれば、沖縄本島による奄美・宮古・八重山地方に対する差別と収奪の歴史にも「落とし前」をつけなければなりません」p205
    「大事なのは被害者沖縄に寄り添うことではありません。沖縄の基地を減らし、見返りの振興策と減税措置をなくすことです。沖縄に基地があることは、膨大な税金を消費するのですから本土にとっては経済的にはマイナスなのです。このことが理解されれば、「沖縄の基地を減らせ」という声は沖縄よりもむしろ本土で強まると思います」p213

  • 本書は、沖縄における基地問題や貧困格差問題などのいろいろな問題について語っている本です。

    いろいろな問題ではあるのですが、「公による支配」のせいで公民格差が生じているのがほぼすべての原因で、そのせいもあり、
    ・振興費依存が強い
    ・既得権益の保護色が強い
    ・貧困問題の表面化の阻止
    ・基地の返還による平和運動の消滅・減衰の回避
    のために基地問題が解決しないのだ。
    これらの解決のため、卑屈な沖縄人差別論を展開せず前向きな姿勢で挑むべきだというのが、著者の主張です。

    なるほど、沖縄の問題を垣間見ることができたのは良かったと思う。
    しかし、ありがちな公務員批判で終始しているように感じたのは残念。

  • 必読書

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