俺の日本史 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106156

作品紹介・あらすじ

“なぜ”や“法則”ではなく、“事実”を追究するべし! 「聖徳太子のどこが凄いのか?」「徳川時代はやっぱり“停滞”」「攘夷思想=現代の排外主義」などといった著者の歴史観のもと、古代から幕末までを一気呵成に論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 『日本人のための世界史入門』(新潮新書)と同様、新書一冊で日本の歴史を概観した本です。

    ただ、『日本人のための世界史入門』が、いちおう一通りの世界史の流れをつかむことができるように書かれていたのに比べると、本書はややまとまりに欠けており、NHKの大河ドラマに関する感想などもあって、「日本史よもやま話」といったような印象を受けます。

    とりとめのないけれどもおもしろい著者の話を聞いているような気分で読むことができるという意味では、渡部昇一の日本史に関する著作と似ているように思います。ところどころで左翼的なアカデミズムの歴史学に対する皮肉が差し挟まれているのも渡部の本と同じですが、本書の方は日本の伝統について一定の予断を持つことなく、あくまで実証的な観点からの批判にとどまっているので、渡部の本に比べると比較的多くの読者に受け入れられやすいのではないでしょうか。

  •  本書は『日本人のための世界史入門』の続編にあたる。高校日本史のように、古代から明治までの歴史を、著者の見解を交えて進めていく。なかでも意外な箇所を挙げると、たとえば、清沢満之が、唯円『歎異抄』を発掘して、キリスト教に似ていると言った、烏帽子をとられることは、下半身をむき出しにすると同然である、南北朝正閏問題の「閏」の意味が、本物ではないという意味を持つなど、著者の博覧強記ぶりを読者に披露する。過去に日本史を履修した人でも、新たな知見を得られるだろう。

  • 2015年の発売時に買って、なんとなく積ん読しておいたもの。読んでみたら面白かった。

    「古代から幕末までを一気に学び直す――。」と、帯の惹句にはある。
    そのとおり、いわゆる「大人の学び直し」向けの日本史概説書なのだが、巷によくある類書に比べると、内容はけっこうトリヴィアルであり、なおかつ、著者の主観が大幅に入っている。タイトルに『俺の日本史』とあるとおり、あくまで小谷野敦の日本史なのである。そして、だからこそ面白い。

    たとえば、こんな一節――。

    《「平家物語」は、諸行無常が主題で、壇ノ浦で滅びるのを「ああかわいそうに」と思って読むことになっているらしい。だが私は、全然そうは思わないのである。だって、平家の悪事を書いておいて、最後に滅びるのでは、勧善懲悪であって諸行無常ではないではないか》

    このように、教科書的な捉え方に異を唱える点がたくさんあり、痛快である。

    また、取り上げた事象についての研究書や文学作品などが随所で紹介され、ブックガイドとしても役立つ。

    小谷野敦の歴史本というと、『日本人のための世界史入門』という、同じ新潮新書で出たものを読んだことがある。これもなかなかおもしろかった。
    小谷野の真骨頂は文学研究にあるのだが、歴史本の書き手としてもかなりよいと思う。 

  • ふむふむ、結構好きなんですけどこういう本
    良かった

  • 論じるというよりは,大河ドラマに結びつけて「俺の」知識を披露してくれる。再入門にふさわしいかどうかは読む人の日本史の知識に依るだろう。

  • 著者ならではの日本史との接し方という感じの本です。と言い表すくらいに力を抜いて読むことができました。日本史について肩肘張らず、満遍なく理解をすることができます。ただ著者の私見もだいぶ入っているようで、書いてあることを真剣に読んではいけないなと感じました。日本の歴史についての、他の著作(ドラマなど)についても書かれていて、いろいろな人が、歴史に対して何を書いているのかが分かって、そこは勉強になりました。

  • 「日本人のための世界史入門」を読んで小谷野敦のことを知りました。読書家である著者は自分の知っているゴシップ、スキャンダルを含む日本史を暴露(笑)していきます。美談に飾られた歴史の「情」を切り落とし、あくまでも客観的にひも解いていくこの本はミステリーとして読んでも大変面白いです。ときどき登場する毒舌&自虐エピソードはクスっと笑えてお得感がありますよ。

  • ざっと日本史を流すのには、それなりに面白いです。

    独善的な視点が随所。

    好き嫌いが明確になる作風です。

  • こちらを読了。
    まあ、内容的には(ある程度日本史の知識がある人には)新たな視点があるとかいうものではない上に、博覧強記な著者の書評、そして映画、大河ドラマを中心としたテレビ番組評を通史の中に散りばめたような内容ですが、良いのではないでしょうか。

    前著『日本人のための世界史入門』がかなり売れて、「上から目線」とか中には「お前は何様だ!」とか言う(Amazonの書評などネットに書く)人が出てきたので、「俺様だ!」ということで『俺の日本史』という書名にしたのだという。良いのではないでしょうか(笑

  • 小谷野先生の今までの著作読んでいらしゃる方には、さして新しいことは、ないんじゃないですかね。大河や時代劇で日本史に興味がわいた方におすすめ。

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著者プロフィール

小谷野 敦(こやの・あつし):1962年茨城県生まれ。東京大学文学部大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、文筆家。著書に『もてない男』『宗教に関心がなければいけないのか』『大相撲40年史』(ちくま新書)、『聖母のいない国』(河出文庫、サントリー学芸賞受賞)、『現代文学論争』(筑摩選書)、『谷崎潤一郎伝』『里見弴伝』『久米正雄伝』『川端康成伝』(以上、中央公論新社)ほか多数。小説に『悲望』(幻冬舎文庫)、『母子寮前』(文藝春秋)など。

「2023年 『直木賞をとれなかった名作たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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