「昔はよかった」病 (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106262

作品紹介・あらすじ

日本人はなぜ過去を美化してしまうのか。本当に昔はよかった? 絆や情があった? 礼儀や根性を重んじていた? 記憶の美化、現況への不満から「昔はよかった」病がうまれる。「劣化論」の噓を暴いた大胆不敵の日本人論。

感想・レビュー・書評

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  • 昔の何がよかったか?

    しごきやら鉄拳制裁が
    まかりとおる教育現場。

    パワハラやセクハラが
    横行するブラック一色
    の職場環境。

    そして、現代と比較に
    ならない犯罪件数。

    データを辿れば見えて
    くる真実。

    現代の日本は、歴史上
    もっとも犯罪が少ない
    安全な社会です。

    それなのに犯罪が増加
    し続けているかの如く
    扇情するメディア。

    理由知り顔の先生方に
    理由をたずねれば、

    なんでもかんでも絆や
    ふれあいが希薄なせい。

    そんなのはただの迷信。

    江戸時代にさえ近頃は
    人情が薄れたという声
    はありました。

    統計や史実を無視して
    過去を美化する言説。

    もちろんそんなものに
    焚きつけられた盲目の
    正義は容易く瓦解する。

    私たちは現代の平和な
    社会に胸を張り、

    未来に向けて、これを
    維持・発展することに
    こそ注力すべきです。

    真実を見失わないよう、
    手元に良書を携えて。

  • 昔は良かった、近頃の若者は・・は昔を美化した妄想でしかない。
    ありがた迷惑な火の用心風習、熱に弱いと思われているが昔は27度でバタバタ熱射病で倒れ、昔の方が犯罪や誘拐は格段に多く発生しており、昔の方が絆は浅い(江戸時代の都会)し、絆が強い方(昔の田舎)が排他的で自殺率が高く、セクハラ・モラハラ・パワハラは当たり前。
    犯罪の被害額が激増しているオレオレ詐欺で狙われているのは資産を多く持つ老人で、だまし取られるカネすらない現役世代は狙われない。
    正直これ読む前は病気に侵されていた感もあったが、読んで納得。
    91冊目読了。

  • 『「昔はよかった」病』という本を読みました。
    精神科医の香山リカ氏の著書「なぜ日本人は劣化したか」の真逆に位置する本です。
    主張の内容の違いの話ではなく、客観的か(前者)、主観的か(香山氏)の違いです。
    データを使て説明しています。面白い本です。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/482708907.html

  • 芸風としては面白いね。常識を疑い、ノスタルジーフィルターを通した感情論でなく、ちゃんとファクトベースで世の中を認識しましょう、との方向性は全く正しい。まずはマスコミからだな。これを読んで襟を糺すべきは。

  • ラフな文体で読み始めは少し身構えたが、昔はどうだったのかを昭和・大正・明治の新聞や書籍に当たって検証するという、アプローチは真面目な本。親やその親の時代なんてつい最近のことのようでいて、それでも間違ったイメージや情報が跋扈しているのだから恐ろしい。

  • まあ、イイ暇つぶしにはなりましたかね……昭和の頃は人情があった、なんて話す人いますけれども、昭和よりももっと前、明治、大正の頃には合理的に物を考える人々も多く、老人は切り捨てられるかのような扱いを受けていたみたいですよ…? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    そんなアレで昔への感傷をバッサリ切り捨てるかのような文章の書き方に好感が持てましたね! まあ、本書もまた、昔の日本の一つの見方程度に留めておいた方がよさげですけれどもね…これが正解!ってわけでもないでしょうから…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    昔も人情なんか薄かった、みたいに話されていますけれども、少なくとも今よりかは見知らぬ他人とのトークなどがあったと思うんですよね…今は街中で喧嘩とかも全然見かけなくなりましたけれども、あまりにも人との関りが薄いかと思います…スマホが登場して以来、余計にそれが酷くなったように僕には思えますけれどもねぇ…。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 火の用心はありがた迷惑。
    防犯対策にはならない。

    日本の治安は昔から比べて大幅に改善している。

    熱中症は昔からあった。昔は日射病、熱射病と言っていた。

  • 新聞の投稿や過去のデータに基づいて「それって本当にそう思う?」を掘り下げた本。話し口調で読みやすく、サクサク進める。何かにつけて言い回しが面白い。この言葉が日本で登場したのはいつの頃か、その頃の時代背景や今との対比など、興味深く読めた。

  • 普通!

  • 痛快。

    データをもとに、「それってホントにそうだったの?」が紐解かれてます。

    昔の新聞の引用、ぎょっとするようなスパイスの効いた内容のものが多々あり驚きました。
    統計から想像する昔の様子は、決して「よかった」という言葉で微笑むことができるものばかりではなく、データをもとに過去を読むことの大切さを本書から学びました。

    個人的には「安心」と「安全」について言及された章が一番響きました。

    「安全を実現するためには、つねに現実の危険と向き合わねばならない」
    「安心はこころの状態、感じかたには個人差がある」

    私も「安心」と「安全」をくっつけていた1人でした。
    今後は明確に使い分けていこうと思います。

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著者プロフィール

パオロ・マッツァリーノ(Paolo Mazzarino):日本文化史研究家。著書に『反社会学講座』『続・反社会学講座』『誰も調べなかった日本文化史』(以上、ちくま文庫)、『読むワイドショー』(ちくま新書)、『「昔はよかった」病』(新潮新書)、『サラリーマン生態100年史』(角川新書)、『思考の憑きもの』(二見書房)などがある。

「2023年 『つっこみ力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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