日本を愛した植民地 南洋パラオの真実 (新潮新書)

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著者 : 荒井利子
  • 新潮社 (2015年9月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106354

日本を愛した植民地 南洋パラオの真実 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 維新派の作品に触発されて読んだ一冊。
    パラオ、南方と戦前日本の在り方。教育の重要さ、物を売り付ける相手方ではなく、対等な相手方としての植民地。

  • パラオの歴史をざっと知るのにベストな本だと思った。

    観光地として有名だが、日本が植民地化した頃のパラオや、その前後の日本以外の植民地の歴史を全く知らなかった。

    第2次世界大戦の時の状況も詳細に書かれている。

    いつか、行ってみたい。

  • 日本エライ話を読みたければネットにいくらでも転がっているから、わざわざ本を読もうとは思わなかったのだが、かつて日本が支配した国でも、中国や朝鮮に比べると台湾や南洋諸島は反日感情が薄いと聞いたことがあり、なんでかなとは思っていた。
    で、読む気になった。

    島の人からの聞き取りが中心で、それはそれで面白い。でも「中国や朝鮮に比べると反日感情が薄い理由」は結局いまいちわからない。「中国や朝鮮と南洋諸島では何が違ったか」という肝心なポイントの分析がほとんどないからだ。だから「南洋諸島では日本人(の一部)と現地の人が割合仲良くやっていたから」という、説得力があるんだかないんだかわからないような結論に落ち着いている。
    ぼくは支配の形として、武力にものを言わせた中国朝鮮と、(形だけでも)国際連盟の委任統治領だった南洋の違いなんじゃないかと思うけど。それは結局現地の人への武力行使、弾圧の有無という違いになるんだろうし。

    内容のレベルはともかく、こういう本を書くと「植民地支配を肯定するのか!」みたいな人が出てきて面倒くさいだろうな、とりあえず妙な政治的エスカレーションせずに、事実は事実として確認するのは悪いことじゃないよな、と思っていたが、あとがきを読むと著者は韓国人や中国人にずいぶんからまれたらしい。それが本書を書く動機づけになっているようだ。妙なエスカレーションしているのは著者だった。

  • かつて、パラオは日本の統治下にあった。観光地として人気のあるこのミクロネシア周辺の島々。海に囲まれ、のどかな風景の広がるこの島々だが、その頃の島の道路は舗装され、学校や商業施設やホテルなど近代的なビルが立ち並び、そこでは日本人と現地の人々が暮らしていたという。
    今では日本人でもそのことを知る者は少ない。
    スペイン、ドイツ、アメリカ。そして日本。パラオは多くの国の植民地となった。
    そのなかでもなぜパラオは、第二次世界大戦の戦火に巻き込まれながらも、他の国のように日本の占領時代を恨まないのか。
    日本人だけが移民として入植し、パラオ人と一緒に汗を流して働き、机を並べて学び、対等に売買をし、生活を共にしたからなのか。インフラと行政と経済活動が発展を齎したからなのか。
    ならば同じ時代、同じ統治を経験した台湾や中国、朝鮮半島との心象の違いはどこからくるのか。
    スペイン統治時代、ドイツ統治時代の検証。日本統治時代、そして戦後のアメリカ時代を知る、島民の証言。そこから浮かび上がるのは、意外にも南洋の豊かな島々で穏やかに共生する、はるか南方に夢を見た日本人と、日本人になることを夢見たパラオ人の姿。
    丹念な聞き取りと調査をもとに、暗黒時代の本当の姿を紐解く一冊。

    筆者である荒井氏も、アメリカ人の友人から教えられて初めて、日本のパラオ統治を知ったそうだ。
    最後まで読んでみても、統治時代を知るパラオ人が日本を恋しがる気持ちと、中国、韓国の日本への憎悪の違いの根元をはっきりと結論づけているわけではない。
    強いて言えば、心の在り方なのかなと思う。
    スペインやドイツは、豊かな資源を搾取していくだけだった。アメリカは、パラオに自由と最低限の援助を与えたが、それはまるで「動物園の動物に最低限のエサを与えてあとは放置」しているようだった。
    どの時代も貧しく、誰も本当にパラオという国を、そこに住む人々と向き合わなかった。
    日本人だけがパラオに根を張り、一緒に働き、歌い、踊った。一緒に生活をした。
    資源があるだけでは豊かになれないし、自由という言葉を知らない島民には自由と無責任の区別がつかず、堕落していくだけだった。
    心を満たしてくれるもの、後になっても幸せだったと思うものを形作る絶妙なバランスが奇跡的に整っていた。日本とパラオのあの頃の関係は、そんな感じなのかなと思う。

  • 日本の植民地だったパラオについて書かれた本。

    当時のわが国が南洋開発にこれほどまで力を入れていたとは知りませんでした。
    また、戦後のアメリカ統治が大した経済的成果がなかったことが、戦前熱心だった日本への評価になっていることがわかりました。

    一度パラオに行ってみたくなりました。

  • 感想未記入。以下引用
    ●パラオ人は、沖縄県移民と本土移民の職業の違いや習慣の違いを明確に把握していた。(略)パラオ人にしてみれば、もともとプライドが高いうえに、同化教育によって、自分たちは日本人、あるいは日本人に非常に近いという教育を受けた。それは、同じ日本人ではあるが、決して沖縄のような日本人ではなく、本土の日本人を指していた。(略)彼らは自分たちを本土の日本人より下であるが、沖縄県移民よりは上。上と下のランクの中韓、本土移民と沖縄県移民の中間的立場と感じていたのではないだろうか。(略)さらに本土移民、パラオ人、沖縄県移民の三層になるグループをより一層強く結びつけたものがある。役人の存在だ。(略)権力を行使し、偉そうにしている役人の前で、本土出身の民間人も沖縄県出身の民間人も、同じ日本人なのに小さくなっている。萎縮する彼ら民間の日本人の姿をパラオ人が見れば、自分たちパラオ人と同様に「差別されている仲間」として映ったのではないだろうか。だから、自分たちパラオ人が上中下の三層の中間に位置し、日本の民間人とも沖縄の民間人とも、より一層仲間意識が強化され、仲良くできたのだろう。

  • 一次史料・二次史料や、戦前・戦中のパラオを知る人々へのインタビュー記録を基に、当時の様子が描かれている。本新書の形態になるまでに2本の研究として、その成果がアメリカで公表されている。個人的には、貴重な史料の存在を知ることができ、また図書館で手に取ることができた。パラオはリゾートやダイビングで有名だが、それ以外の面では紹介される機会はそう多くはなかった。ただ最近では天皇皇后両陛下が同国をご訪問される等、これまでと異なった形で注目をされている。改めて関心を持つ人が増える中で、本書の役割は大きいと感じる。路面電車やバスが走り、旅館やレストランがたくさんあった当時の様子をこの目で見てみたかった。一つおもしろい知見を挙げるとすれば、「役人」の存在が、パラオ人を含めたそれ以外のグループで結びつけたと指摘している点がある。また、アメリカの「動物園」政策、zoo theory の事実を説明した本書の意義は認められるべきと考える。

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日本を愛した植民地 南洋パラオの真実 (新潮新書)の作品紹介

「学校も病院も日本が作ってくれた」なぜ今なお島民たちは日本統治時代を懐かしむのか。戦後の米国の影響下とはどこが違うのか。数多くの貴重な証言から、植民地支配に新たな視点を提示する一冊。

日本を愛した植民地 南洋パラオの真実 (新潮新書)はこんな本です

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