格差と序列の日本史 (新潮新書)

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著者 : 山本博文
  • 新潮社 (2016年5月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106705

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格差と序列の日本史 (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 権力者が変わっても格差と序列は不変というところの着眼点が面白い本。大臣とかいう名称も相当息が長い。大蔵省といい日本人は名前を大事にしてきた民族である事が伺える。
    基本的な組織や官僚は変わらないとはいえパラダイムをもたらした色で官位を定めた聖徳太子、京都とは別に政権作った源頼朝、網の目のような身分制度を作り上げた徳川家康はやはり偉人。

  • この本は権力者=官僚組織の変遷を描く。
    学校で習う日本史とは、結局政治制度史だという山本さんの言葉通り、日本史の授業の復習をした感覚になる。
    (学校で習う歴史は、政治制度史と経済史だという話も聞いたことあったなあ。)
    細かい事項を覚えようとせず、流れを掴め、という言葉もあったけれど、やはりそれぞれの制度がどういうものであったかに関心があるし、それぞれをくべつする「名前」を覚えることにも注意が向いてしまう。

    実質的には武士が統治していたけれども、律令制の官職名、位階はずっと後まで残っていくという。
    たしかに、筆者が言う格差がこれまでになくフラットになった太平洋戦争後にも、「大蔵省」「文部省」は残っていたわけだし…。

    それにしても、二年ほど前のあの格差論争はどうなってしまったのだろう?
    ピケティも、あれほど騒がれたのに、その後ぴったりとマスコミでとりあげられなくなったし。

  • 生意気ですが、非常に含蓄のある内容で、「格差」「序列」という切り口で、歴史を学び直すいい機会になりました。
    「歴史をつかむ技法」で、著者の大筋で歴史を掴む考え方に非常に共感をしました。
    私が経営学で興味を持つ、システム論に相通じる考えとして。
    本書を一読し、いままでのNHK大河ドラマで理解できなかったキーワードが腑に落ちました。
    本書で訴求する格差とは、歴史の大きな流れの中においては、非常に狭い範疇における格差のステレオタイプであるということが、よく理解できました。
    今までは、「機会は平等に不平等である」と思っていましたが、満更そんな社会でもないなと思う次第です。
    本書を通読して、かなり前向きな気持ちになりました。
    私にとっては、素晴らしい書でした。

  • 古代から明治までの官位を元にした権力者の序列について。

    テーマとしてはおもしろそうだったが消化不良。各章ぶつ切りな印象。

  •  古代、中世、近世、近代と時代ごとに国家、官僚の制度がどんな形を取り、どんな序列や格差があったのか、を時代性と共に読み明かしていく。官僚の成立・確立、権力構造もこれが密接に関与しているのだ。新たな視点の日本史である。これらの形が現代の正規・非正規雇用の格差固定まで共通した構造の部分があるという分析。律令時代から近現代に至るまで、「位」という考え方が有ったり、「参議」も平安時代からあるということは興味深い。鎌倉・室町・江戸幕府、また織田・豊臣時代を通じて、朝廷の左右大臣・位の重要性があった(信長は左大臣を蹴ったが!)ということも、あまり知られていないが重要なポイントだったのだ。「位に叙せられる」という言葉は、私達の認識の底にも残っているということか。しかし、現代の格差とは建前は格差がなくても、経済的な格差が拡大し、新たな格差社会に向かいつつあるということだが、時元が異なる印象があり、結語は迫力を欠くように感じる。

  • 新書だから仕方ないが、題名と内容が少々異なり、要するに統治機構の歴史解説。大学受験レベルよりもやや専門的で良くも悪くも参考書的。地位や役職の歴史に興味がない人には退屈かも。
    戦後は経済的格差はあるが制度的格差はないと。それが自己責任なのか否かは判断の難しいところかなと思う。福沢諭吉がお好きなようで、学歴社会には基本的に肯定的で、国家公務員の試験区分も自分で選択したんだろ?とバッサリ。ただし、公教育は皆平等に受けられるようにするべきという真っ当な結論。

  • 古代から日本には格差と序列があり、それが激しい社会の変革(という戦争)で壊され、また新しい格差と序列が作られる。

  • 東京大学史料編纂所教授の山本博文(1957-)による、日本の官制を中心とした位階・身分制度の概説。

    【構成】
    序章 時代をあらわす「格差」と「序列」
    第1章 部族的社会から官僚制へ-古代
     1 大王家と豪族
     2 「律令国家」とは何か
     3 摂関政治の官僚たち
    第2章 血筋から実力の世へ-中世
     1 院政と私的主従関係
     2 鎌倉武士たちの官僚制
     3 朝廷権威の失墜と室町幕府
    第3章 武家の論理と政治の安定-近世
     1 織田・豊臣の中央集権
     2 江戸幕府の政治組織
     3 旗本、御家人の出世
     4 幕府制度の近代化
    終章 格差解消の時代-近代・現代

    本書が扱うのは、各時代の政務・行政を担う貴族、武士たちがどう格付けされ、それがどのように固定化・流動化していったのかという点である。

    律令国家の官制、摂関政治下での成功、売位売官などは高校レベルでもそれなりに時間を割いて授業を受けることもあるが、五位以上の貴族=殿上人の中での合議制や六位以下の専門官僚の形成などは、大学レベルに踏み込まないと聞かない話だろう。
    『源氏物語』『枕草子』などメジャーな作品に登場する場面などを引き合いにだしているところは、読者の理解を助ける著者の工夫だろう。

    本書は、比較的制度がよく知られている前半よりも,後半の方が価値が高い。室町幕府における取次となる有力守護大名と遠隔地の大名との関係、管領の位置づけなども面白い記述。
    そして、やはり著者の専門である江戸時代は、武士の中でも細かく序列が規定され、格差が固定化した時期ということもあり、記述の濃度がぐっと増す。江戸期の研究では常識なのかもしれないが、有力大名が目指す老中へのコース、旗本が目指す目付から遠国奉行を目指すコースなど出世街道の典型が示されているのは面白い。特に老中、若年寄の目につきやすい目付での働きがその後の出世を左右するという記述などは、幕府機構の行政官(サラリーマン)としての旗本の立ち位置がよくわかる。
    御家人と旗本の格差は、時代劇でもお馴染みのものであるが、御家人の中でも御目見得を獲得する可能性のある家柄もあったというのは、本書で初めて知った。

    総じて、政治が安定した時代には格差序列が細分化・固定化されていき、乱れた時代はそこが流動的になるという当たり前と言えば当たり前の。だが、それが具体的にどのような秩序を形成していたのかということは、日本史を勉強する際に基礎知識として必要だろう。

    本書は、受験で日本史を選択する予定の高校生、大学1・2年の教養課程の学生が読むと、これから獲得する知識がより有機的につながっていくのではないだろうか。

  • 最近は“格差社会”という表現を耳にする機会が増えている中、「日本の歴史を顧みて、現在が“格差社会”と呼ばれなければならないような状況なのだろうか?」という想いを抱くようになった、日本史の研究者として知られる筆者が、“格差”というようなモノが登場した状況、その変遷を鳥瞰する本書を纏めて世に問うた…
    本書だが、結果として「日本史全般を概観する格好の入門書」という具合になっている!実に好い!!愉しく読了したところである。
    「“格差”が是正されて行った」という経過を経ていて、尚も“格差社会”という問題意識?これはどういうことなのか?考えてみる材料は本書の中に在る。広くお薦めしたい一冊だ!!

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=7767

  • <目次>
    はじめに
    第1章  部族的社会から官僚制へ~古代
    第2章  血筋から実力の世へ~中世
    第3章  武家の論理と政治の安定~近世
    終章   格差解消の時代~近代・現代

    <内容>
    官僚制を中心に世の中の仕組みを解説した日本史の本。タイトルの感じよりも、古代の官僚制や中、近世の政治の仕組み(官僚制や統治機構)がわかりやすく書かれていて、中・高の社会科(日本史)教員が読むといいと思う。

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格差と序列の日本史 (新潮新書)の作品紹介

歴史の基本構造は、ここからつかめ! 時代の動きとともに国家や社会が姿を変えても、その特質は古代でも中世でも現代でも、いつも人の上下関係や順序にあらわれる。日本史の流れを大きく捉え直す一冊。

格差と序列の日本史 (新潮新書)はこんな本です

格差と序列の日本史 (新潮新書)のKindle版

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