- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106106705
作品紹介・あらすじ
歴史の基本構造は、ここからつかめ! 時代の動きとともに国家や社会が姿を変えても、その特質は古代でも中世でも現代でも、いつも人の上下関係や順序にあらわれる。日本史の流れを大きく捉え直す一冊。
感想・レビュー・書評
-
はじめに
序章 時代をあらわす「格差」」と「序列」
第1章 部族社会から官僚制へ―古代
第2章 血筋から実力の世界へ―中世
第3章 武家の論理と政治の安定―近世
終章 格差解消の時代―近代・現代
おわりに詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルを売れるためにこうしたんだと思うけど、どちらかというと官僚機構から見る日本の通史みたいな主題。古代から現代まで、日本の支配層とか官僚機構がどう変遷しつつも繋がっているのかがわかる。武士が名乗る官職が本来どういうものかもわかってきた。
-
日本の社会組織、政治機構における身分や序列の変遷を、卑弥呼の時代から近代まで歴史的に俯瞰した書。
官位や身分の歴史的変遷をお復習するのにはいいが、特に面白い内容じゃなかった。
因みに著者は、「序列の中のどこかにある種の壁が生まれた時、「格差」というものが意識される」と言っている。
「歴史をつかむ技法」という本書の姉妹編もあるとのこと。合わせて読むと「より歴史が立体的につかめるようになるはず」とのことだが、どうしようかな。 -
読みかけとなっていた本です、最後まで読みたいと思っておりますが、現在このような本に部屋が占領されてきており、苦渋の決断ながら処分することに至りました。近い将来、この本を読破できる機会が来ることを願っています。
2017.12.31作成 -
役立つ
テーマで知識を整理してくれてありがたい -
権力者が変わっても格差と序列は不変というところの着眼点が面白い本。大臣とかいう名称も相当息が長い。大蔵省といい日本人は名前を大事にしてきた民族である事が伺える。
基本的な組織や官僚は変わらないとはいえパラダイムをもたらした色で官位を定めた聖徳太子、京都とは別に政権作った源頼朝、網の目のような身分制度を作り上げた徳川家康はやはり偉人。 -
20170728読了
-
この本は権力者=官僚組織の変遷を描く。
学校で習う日本史とは、結局政治制度史だという山本さんの言葉通り、日本史の授業の復習をした感覚になる。
(学校で習う歴史は、政治制度史と経済史だという話も聞いたことあったなあ。)
細かい事項を覚えようとせず、流れを掴め、という言葉もあったけれど、やはりそれぞれの制度がどういうものであったかに関心があるし、それぞれをくべつする「名前」を覚えることにも注意が向いてしまう。
実質的には武士が統治していたけれども、律令制の官職名、位階はずっと後まで残っていくという。
たしかに、筆者が言う格差がこれまでになくフラットになった太平洋戦争後にも、「大蔵省」「文部省」は残っていたわけだし…。
それにしても、二年ほど前のあの格差論争はどうなってしまったのだろう?
ピケティも、あれほど騒がれたのに、その後ぴったりとマスコミでとりあげられなくなったし。 -
生意気ですが、非常に含蓄のある内容で、「格差」「序列」という切り口で、歴史を学び直すいい機会になりました。
「歴史をつかむ技法」で、著者の大筋で歴史を掴む考え方に非常に共感をしました。
私が経営学で興味を持つ、システム論に相通じる考えとして。
本書を一読し、いままでのNHK大河ドラマで理解できなかったキーワードが腑に落ちました。
本書で訴求する格差とは、歴史の大きな流れの中においては、非常に狭い範疇における格差のステレオタイプであるということが、よく理解できました。
今までは、「機会は平等に不平等である」と思っていましたが、満更そんな社会でもないなと思う次第です。
本書を通読して、かなり前向きな気持ちになりました。
私にとっては、素晴らしい書でした。 -
古代、中世、近世、近代と時代ごとに国家、官僚の制度がどんな形を取り、どんな序列や格差があったのか、を時代性と共に読み明かしていく。官僚の成立・確立、権力構造もこれが密接に関与しているのだ。新たな視点の日本史である。これらの形が現代の正規・非正規雇用の格差固定まで共通した構造の部分があるという分析。律令時代から近現代に至るまで、「位」という考え方が有ったり、「参議」も平安時代からあるということは興味深い。鎌倉・室町・江戸幕府、また織田・豊臣時代を通じて、朝廷の左右大臣・位の重要性があった(信長は左大臣を蹴ったが!)ということも、あまり知られていないが重要なポイントだったのだ。「位に叙せられる」という言葉は、私達の認識の底にも残っているということか。しかし、現代の格差とは建前は格差がなくても、経済的な格差が拡大し、新たな格差社会に向かいつつあるということだが、時元が異なる印象があり、結語は迫力を欠くように感じる。