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脳が壊れた (新潮新書)

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著者 : 鈴木大介
  • 新潮社 (2016年6月16日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106736

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脳が壊れた (新潮新書)の感想・レビュー・書評

  • 41歳で右脳に脳梗塞、高次脳機能障害の経験とリハビリを当事者として語る。脳機能とリハビリ、小学生脳や感情の暴走。真の原因が性格にあることに気付き、考え方を変えることにする。家族、生きていくうえでの応援団。

    状況認識、表現上手。脳の育ち方に関する洞察。脳の成り立ちや仕組みが見えてくるような。そして、感動の家族ストーリー。

  • ノンフィクションのルポライターさんに降りかかった脳梗塞。
    高次脳機能障害となりながらも、取材もとは自分であるからして、より詳しく状況を伝えているところが興味深い。
    面白可笑しく書かれているのであっという間に読めてしまっった。(妻の存在が大きい。)

    筆者がより深く様々な思いも募らせ、今までの生き方や、社会における弱者に対する視点にも寄り添い示しているところが、「一般的な脳梗塞でこうなりました」という本とは違います。さすが社会派?なのかしら?ルポライターですね。

    脳梗塞の原因
    背負い込み体質.妥協下手.マイルール狂.ワーカホリック.
    善意の押し付け.オンオフがない
    そうなんだよなあ.....と納得。

    「様々な距離感のところに自分の応援団を持とう」という言葉に赤線ひきました。

  • 脳卒中の後遺症について、具体的な症状を初めて知った。後遺症の感覚は実際になってみないと完全には分かり得ないが、ルポライターとしての取材力、表現力でその色々な症状が説明されていて、そのイメージを持つことができた。
    著者の性格や奥さんの話には驚いたが、最後まで明るい気持ちで読めたのも良かった。

  • 図書館で借りたけど買ってまた読みたい

  • 41歳で突然の脳梗塞に倒れたルポライター。
    一命は取りとめ、身体への後遺症は軽かったものの、いくつかの高次脳機能障害が残ってしまう。

    高次脳機能障害とは、記憶障害や注意障害などの神経心理学的障害のことで、身体の麻痺などのように一見してわかるものではないため、「見えづらい障害」とも言われているそうだ。

    高次機能障害を負い、その障害の辛さを知るにつけ、著者の脳裏には、それまで取材対象としてきた、社会的に発言の機会を与えられてこなかった弱者たちの顔が浮かんだという。

    彼らも、多くの場合発達障害や精神疾患を抱え、自分の辛さを言語化することが難しく、他者にその辛さを解ってもらえない状況に追い込まれている。その本当の辛さが身をもってわかったのだという。
    障害と健常のボーダーラインにいる人こそ、支援や周囲の理解が届かない傾向があり、そこにもっと医療の手を差し伸べるべきとも言っている。

    個人的には、病を得たことで、自分の生活を見直し、きちんと向き合えていなかった家族と向き合う著者の姿に素直に感動した。
    深刻なのだけど、どこかユーモラスな著者とその周りの様子に時には笑わせられながらも考えさせられることが多かった。

    もし自分が倒れたら、誰に頼れるだろう?
    もし自分が死んでしまったら、今私を支えてくれている周りの人々に対して悔いが残らないだろうか?
    もしもの時のことも念頭に置きながら、毎日を大切に生きていきたいと思わせられる1冊である。

  • この本は脳の障害に対した克明なレポートであり、夫婦や仲間の絆の話であり、社会へのルポルタージュでもある。

    脳梗塞後の辛いリハビリを経て、感動の復帰みたいなありきたりの内容ではない。
    脳梗塞後の障害を自己分析し、(たぶん)分かりやすく表現した当事者ならではの視点が特徴だろう。
    それに著者らしく、脳の障害やリハビリを現在の社会問題と絡めて来るのもまた良い。

    まっ、なんといっても最大は奥さんとの関係かな?ここら辺はちと感動ありでしたね。
    何てったって最終的に脳梗塞になって障害も出たのに現在ではそれをプラスな出来事だと夫婦で言い切るのですから❗これには脱帽です。

    「これからこの障害と共に頑張って生きていきます」的なことではなく
    7:3で良かったとか言うんです。

    自分もこの本を読んで7:3で良かったです。

  • 著者は、社会的弱者の中でも、とくに自分から声をあげられない人々に接し、その声を自らの著書の中で届けてきた。

    自分も脳梗塞による障害を持つ中で、さまざまな過信を反省しつつ、最後に支えとなるのは人のつながりであるという事実を改めて発見している。

  • 脳梗塞で脳の一部が壊れた人のセルフレポート。壊れた箇所が運動野ではなく認知や感情を司る高次機能であることが興味深い。先天的な発達障害や、そこから復帰しない痴呆の状態の苦しみは、健常状態と比較して語られることが無かったが、もともと健常で、障害になり、復帰できた振り返りとして解説されている。余計な情報をフィルタリングして肝心なことに集中すること、優先順位をつけること、感情を出すことや抑制することなどにも、対応する脳のハードウェアが有り、それが壊れたらその機能が失われること、リハビリにより代替回路が構成され回復することが素晴らしい。
    リハビリの有効性も再確認したが、現状の医療において、制度、器具の発展、本当に必要な人(リハビリすれば生産性が向上する人)への届け方などの課題も確認できた。

  • 脳梗塞になり、高次脳機能障害になった時、どんなことが起こるのか。本人から見て、どんな状況なのかが紹介されている一冊。

    深刻な状況なのですが、思わずくすっと笑ってしまうようなエピソードも交えて書かれているので、読みやすかったです。

    この症状を知っておくことで、大切な誰かの脳に異変が起こっているとき、あるいは脳梗塞後の様々な困難の場面で、力になれることが見つけられるのではないかと思います。

  • 脳梗塞を起こして、高次脳機能障害が残っている著者が、自分の障害と向き合い、それをなんとか言語化して書いた書籍です。感情失禁という言葉を始めて知ったし、発達障害と言われている人や、精神障害の人たち、またボーダーラインにいる人たちと、自分の回復の様子やできないことを並べ、比べてみているのが、興味深かったです。ちょっとギョーカイっぽい口調のところが気になりましたが、それはそれとして、読むといろんな人への対応の仕方や想像力の働かせ方が変わるのではないかと思いました。誰にいつ起こるか分からない病気ですが、知っておくことはとても良いと思います。

  •  貧困を取り扱うライターが体を壊し脳溢血を起こした。
     そして、高機能脳障害という、目に見えない障害が残った。
     からだの不自由さは目に見える。しかし、脳の障害、こころの障害については目に見えない。

     そして、著者は自身が実際に脳に障害を持ち、今まで対象としていた貧困に陥る彼、彼女らが同じように脳機能に障害を負っているのではないかと思いいたる。
     著者の言う脳が壊れたことによりできないことも多くなる。
     しかし、脳は壊れたままではなく、リハビリテーションによりある程度の機能は回復する。
     問題は脳が壊れていることが目に見えてわからないということ。
     治療のテーブルに乗れない人がたくさん居るということではなかろうか。

  •  貧困問題を扱うライターが40代で突然、脳梗塞で倒れた。彼は高次脳機能障害と向き合うことに。。。

     ただ高次脳機能障害の体験に留まらず、そこから実は今まで関わってきた生きづらい人達はこういうことだったのではないかと思い至るところがすごくいい。
     単にリハビリだけでなく、その経験を経て人や自分自身の人生に対するスタンスの変容まで書かれている。
     病気の体験記と侮るなかれ。この本に書かれてることはこれからの社会を考える上で大事なことだ。
     

  • 軽い脳梗塞であってもこれだけのさまざまな後遺症があり生活を一変させるということや精神疾患との共通性などを著者の歩んできた人生も交えながら訴えていて興味をもって読める。夫婦像も大変興味深い。

  • 高次機能障害、見た目は健常者というのが辛いな…。もちろん、それで救われる事も多いんだろうけど。
    社会の理解が必要なんだろうけどなかなか進まないなぁ…

  • 高次脳機能障害を発症したライターさんの手記。書くことが仕事のひとが、動けなくなり書けなくなり感情失禁におそわれる現実。となりにいてくれるひとの尊さ、当たり前の有難さに気付かされる一冊。

  • 高次脳機能障害の当事者の方、しかもルポライターということで読みました。読みやすく、面白く、得るもののある本でした。

    著者の高次脳機能障害の症状とその対策を知るだけでなく、それをこれまで取材してきた方の問題行動などと結び付けていて、つい白い目で見てしまいがちな行動に対する視点を変えてくれました。脳の問題と思えばこれまでと違う対応もできそうです(そう決めつけてしまうのも問題がありそうですが、そう思うことで心は広く持てるので)。

    また、著者のこれまでの生活と周りの方への思いなどは、普段から悩みがちなことに、これもまた別の視点から見るきっかけにもなりました。

  • 著者は41歳の若さで脳梗塞で倒れたフリーのルポライター。その著者が、リハビリによるその後の機能回復過程も含め、脳の障害を負った当事者がどのように感じるかを記録したのが本書。幸い著者の脳梗塞は軽度のもので済んだようで、タイトルの「壊れた」から想像するほどの分かりやすい障害が残った訳ではないのだが、逆に見た目には分かりにくい脳の微妙な障害(高次脳機能障害)が残ったようで、それがどのような状態なのかを著者は壊れた脳で懸命に言語化を試みている。そして、それはいわゆる発達障害だとかアスペルガー症候群だとか言われるような人々の症状と似ているということを著者は指摘しているし、その当事者の気持ちにはなってみないと理解しにくいようだ。今回、著者はそれを自身で体験して言語化しているわけで大変貴重な体験とその記録となっている。もちろんその記録も貴重であるとは思うが、個人的には「脳が壊れた」こと自身の記録よりも、著者自身がその原因を追求して自分自身のそれまでの人生と生活、家族との関係を振り返って脳梗塞となった理由を考察している後半部分の方をより興味深く感じた。自分自身にも当てはまる、身につまされる部分も多い様に思う。脳梗塞にならんように気を付けよう。

  • 後天的に負った脳障害の症状と先天的に負った脳障害の症状が類似すること。⇒発達障害が脳障害であることの分かりやすい根拠。
    hot-system/cool-systemの実例のような症状。⇒高次脳機能の障害はcool-systemの障害。
    良いタイミングで読めた。

  • 社会の弱者を取材することの多い記者が脳梗塞で高次脳機能障害になった話。
    リハビリをサポートする医療従事者の凄さと薄給を嘆き、脳梗塞による後遺症と訓練による回復が発達障害や鬱の人に見られる挙動の不審さと適切な環境での緩やかな回復に似ていること、リハビリ現場の大半の対象が老年層であることから、もっと若者やシングルマザーなど社会的弱者のサポートにリハビリを応用できるのではないかという提言も書いている。なるほどと思った。

  • 無理は禁物。睡眠第一。

  • 熱い。著者は圧倒的な熱量に満ちている。もともと熱い気質の持ち主なのだろうけれど、その熱量は高次脳機能障害になった後も冷めることはない。いやむしろ更にその熱量は高まったのかもしれない。それは高次脳機能障害になったことは著者にとって僥倖だから。と自身は語っているけれど、自分が逆の立場だったら果たして障害を抱えてしまった無様な様を本にしようなんて思っただろうか。それは著者がもともとライターだったからだろうか。いやそれだけではない。世にどうしても伝えたいメッセージが著者にはあったからなのだ。そのことが読んでいくうちにズンズン伝わってきた。
    書きたいことの元ネタが自分自身のカラダ。取材先は自分自身のカラダにある。そんな状況下にある圧倒的熱量のあるライターが書くノンフィクションが面白くないわけがない。ライターさんに向かって「うまい」なんて、恐れ多いのだけれど、絶妙な空気感なのだ。高次脳機能障害なんて、どう考えても暗い内容しかイメージできないけど、なんというか、クスッと笑ってしまう、人間味のある文体なので親しみやすいし、どんどん読み進めたくなる。
    この渾身の力作、とにかくいろんな人に読んでほしいと思います。どんな人にも必ず気づきがある一冊だと思います。

  • 脳梗塞、脳内出血、アルツハイマー、脳に関する病気について、病名は聞くけど、その病気がどんな症状を発するのか、どんな治療が必要なのか、そもそも回復するのか、あまり知ることはない。症状を言いたがらない患者も多い。そんな疑問に答えるため、41歳で脳梗塞を患ったフリーライターが自身のこと、家族のこと、リハビリのことをまとめたのが本書。

    著者の場合、視界が極端に狭くなる、発しているつもりの言葉がノイズになる、注意力が信じられないくらい低下する、感情がオーバーになる、といった症状。とはいえ、それは個人差がかなりあり、脳梗塞が一概に同じ症状になるとは限らない。

    が、本書の読みどころは著者の症状についてではない。著者は病に対して不運だと嘆かず、自らの不摂生を反省し、家族や友人を頼り、感謝の感情を大げさに表すことで社会復帰に努める。

    そうして、新たな人生を手に入れた著者だからこそ、今となって「脳が壊れた」とふざける余裕を得ることができた。感情がオーバーになることも時には悪くない。そんな、人生に前向きになれる闘病記。

  •  モーニングで連載している『ギャングース』を読んでいて、作者はもっと強面の人かと思っていたので、至って真面目そうな印象で驚いた。真面目で真摯な文筆家でいらした。そんな作者が若くして脳梗塞をわずらい、そのリハビリを詳細に実感あふれる文章でレポートしている。体が麻痺して動けない車椅子の身障者がよく目線を空中にただよわせているのは、脳の部位の損壊によるものであったのか、子供が呼んでいるのに廊下に落ちているものに気をとられて夢中になってしまうのは脳が未発達だからなのかと、いろいろと脳の問題として捉えることができた。怒りっぽい人は自分に自身がないからすぐ感情がむき出しになるのかと思っていたのだが、決してそうではなく脳になんらかの問題が生じている可能性もある。簡単に判断するのは大間違いであると痛感した。

     内容が深刻なのに、文章がとてもリズミカルで読んでいて楽しい。また作者に本来備わっている明るさやユーモア精神もにじみ出ているのだろう。

  • ノンフィクション作家である著者が、脳梗塞で倒れ、自らを取材対象とした一冊。
    薄い新書ではあるが、色々な視点で読める、①脳梗塞の後遺症やリハビリ。機能面でだけではなく、メンタルに影響があるとは驚いた。②著者が取材対象にしている人への理解の変化、③家族、人とのつながり。
    深刻な話でありながらユーモアを交えて語ることができるのは、難しい厳しい境遇な人々の話を一般人に読ませようと努力してきた著者ならではなのだろう。
    この本を書き上げるに、病前と比べどれだけの時間と労力を要したのかはわからない。著者の回復を祝すとともに、これからも著者ならではの、弱者に光を当てた報道を願いたい。

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脳が壊れた (新潮新書)の作品紹介

養老孟司さん絶賛! 深刻なのに笑える、感動の闘病記。握った手を開こうとしただけで、おしっこが漏れそうになるのは何故!? 41歳の脳梗塞とその後の「高次脳機能障害」。当事者による驚きのリアルドキュメント!

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