家裁調査官は見た ―家族のしがらみ― (新潮新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106767

感想・レビュー・書評

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  •  あえてカテゴリーを「コンサルティングのノウハウ」としました。

     家裁調査官、というお仕事があります。離婚や少年犯罪が起きた場合、いろいろな対処が考えられます。

     少年犯罪の場合だと、有罪、無罪にあたる判断のほか、「現状のまま様子を見る」「親や不良仲間と引き離して様子を見る」などいろいろな対応が選択しに上がるそうです。

     実情の調査を基に真実を解きほぐす、家裁調査官。それに必要なのは高度なカウンセリング能力と聞き取り力。経営コンサルタントと全く同じです。

     どうして感情はもつれるのか。どうやったら人は変われるのか(本書では、犯罪や薬物からどうやって脱却するかとして描かれます)。

     コンサルティングのヒント満載です。

     例えば…

     「オレがこうなったのもお前(親)のせいだ!」と家庭内で暴れる息子。調査官のアドバイスは、「そのセリフを言いたくなったら『どうしていいかわからない』と言い換えて」というものでした。それで親子ともストレスが激減したそうです。

     また、昔と違って子育ての参考にできる「お隣さん」がいない状況だと、「子供が生まれて初めて赤ん坊に接する」(近所に接することのできる赤ん坊がいれば事前にこんな感じ、というように理解する機会もあるが現実は少ない)「1対1で向き合うしかない」(誰かに預かってもらう、などのオプションが少ない)。その結果、親からみた子供、子供から見た親との関係は深く濃密になっていく。そして…親離れ、子離れがスムースにいかずトラブルになりがち、と。

     良書です。

著者プロフィール

1956年生まれ。横浜国立大学大学院教育学研究科修士課程修了。家庭裁判所調査官として非行や離婚など多くの家庭問題にかかわった後、現在、立正大学社会福祉学部教授。認定NPO法人「神奈川被害者支援センター」理事長。元日本司法福祉学会会長。専門領域は臨床心理学、家族心理学、司法福祉。臨床心理士・公認心理師としても活動。主な著書は、『家裁調査官は見た――家族のしがらみ』(新潮新書、2016)、『非行臨床の理論と実践――被害者意識のパラドックス』(金子書房、2012)、『新版 Q&A 少年非行を知るための基礎知識』(明石書店、2020)など多数。

「2022年 『Q&A離婚・再婚家族と子どもを知るための基礎知識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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