気づいたら先頭に立っていた日本経済 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106972

作品紹介・あらすじ

悲観するな。成長のタネはこんなにある! 経済が「実需」から遊離し、「遊び」でしか伸ばせなくなった時代、もっとも可能性に満ちている国は日本である――。エコノミストが独自の「遊民経済学」で読み解く。

感想・レビュー・書評

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  • 国の経済成長をGDP(国内総生産)のみで評価する考え方に異を唱え、「おカネで測れないもの」、つまり趣味・娯楽・スポーツなど、人々に喜びを与える「エンターテインメント」が今後の経済発展の主役になるという「遊民経済学」を展開、その時代の先頭を走るのは日本において他は無いと熱く語るのは、日商岩井(現・双日)で主任エコノミストを務めた吉崎氏。 「天才軍師」と呼ばれた戦国武将・黒田官兵衛に心酔し、自身のブログでも「かんべえ」のハンドルネームを名乗っているほどの大ファンで、クールな分析と戦略には定評がある一方で、競馬と麻雀を愛するエコノミストというアンバランス感覚が笑えるが、斬新な切り口で日本経済の繁栄を予見している。

  • タイトルと内容が乖離。ほとんどは著者の普段感じていることをエッセイ的に語っている。読みやすいのは評価できるが、その内容は今一つ。新鮮な情報、考え方が感じられなかった。

  • 日本経済はこの20年停滞しているとよく言われるが、『一人あたりGDPが3万ドルを超えると評価軸としてどうなの?』というのは、同意できる。20年前と比べて生活が向上してないなんて事は全く無いわけで。
    そして、求める豊かさの方向性が分散し、必ずしもGDPだけで評価できなくなってきた先にある物の一つが『遊び』なのでは無いか?そして、『遊び』に関しては日本はむしろ先進国(あるいは、生かし切れてないものも含めて高ポテンシャルでは無いか?)というのが著者の主張であり、おおむね同意できる。
    なにより、資産を抱えている高齢者に、気持ちよくお金を国内で使って貰わないと経済が死にかねないのでこれからこの分野は重要であろう。
    あと、よくあるIR法案への批判の過ちを指摘している。
    個人的には普段チェックしているサイトで読み慣れている文体と言うこともあって、とても読みやすい。

  • エコノミスト吉崎達彦のエッセイをまとめた一冊。

    なので内容は可もなく不可もなく。

  • かんべいさんの溜池通信を読んでいる読者として
    本となれば 読まねばと思って 読ませていただいた。
    経済が GDPだけで 語られるとしたら
    やはり、経済って 面白くないものになってしまう。
    ニンゲンの生活を まるごと受け止める 経済とは
    という視点からの 遊民経済学。
    いいねぇ。この切り口。鮮やかで、さわやかで、
    なんとなく、遊んでいても 
    ニンゲンは 経済活動に参加していると言うことなんだろうね。

    『人はパンのみにて生きるものに非ず』

    という言葉の 重みを どしんと 受け止めちゃいます。

    サーカス、ツーリズム、地方の無限の可能性。
    水木しげると鳥取。
    司馬遼太郎の松山、高知。
    石川啄木と土方歳三の北海道。
    物語としての ストーリーテーラーが存在する。

    おもちゃ。ゲーム。葬式。ギャンブル。ラーメン二郎。台
    湾選挙とアメリカ大統領選。
    このつながりのなさの中に 遊民経済学が貫かれる。
    ニンゲンの興味を持ち、感心があることに 経済学の真髄がある。
    この方のチカラのぬけ具合が なんとも言えず気持ちがいい。

    ギャンブルもゲームもやらない 私が 経済に貢献してない
    と はたと思うけど、別に 好きなことをやればいいのだ。

  • 経済学者って、自説に固まる傾向があるけど、この人もそのひとりということか

  • タイトルはあまり関係なく、遊びをテーマにした経済学。遊びばかり並べた点が面白い。観光業からラーメン二郎まで。

  • 第2の人生こそ本物の人生だ。 50歳で隠居して、そこから測量を学び、73歳まで日本全国を歩いて伊能地図を完成した。第二の人生の達人、伊能忠敬。 それでも私は二郎に通う。 ラーメンはなぜ快楽なのか。 選挙が好き。 
    ディズニーとソニー、思えば、ソニーぐらい遊び」が似合う日本企業は少ない。「自由闊達にして愉快なる理想工場の建設。」 
    自分がいま20代なら、果たしてどんな産業を目指すだろうか。ゲーム産業はどうか。 実は日本のゲーム産業は、売り上げの落ち込みが続き、ジリ貧だ。ゲーム産業はプラットフォーム企業に搾取される小作人となった。
    プラットフォーム化に遅れると、どんなに競争力のあるコンテンツ提供者でも小作人化してしまう。アップルやグーグルが顧客とのインターフェースを独占してしまった。どんな面白いゲームをつくっても、価格決定力がないどころか、顧客情報さえとれなくなってしまう。今のゲーム産業におきているのは、まさに地主に搾取される小作人のような悲劇だ。ゲーム産業の未来は決して明るいとはいえない。
    経済産業省は成長戦略でAIやIOTビッグデータ、フィンテックなどのバズワードを振りまくが、カネのにおいがしない。自動者業界も、Uberにプラットフォームを独占されて、小作人化しかねない。
    今は少子高齢化といっているけれど、40年ぐらい先になると高齢化の次の事態が待っている。たぶん日本国内に膨大な老人ホームが空いた状態になる。医療・介護サービスが大不況を迎える時代がくるかもしれない。

    今や時代は工業から商業へ。モノからサービスへと移りつつある。働くことより、遊ぶことが経済活動の中で重きをなしつづける。 家の中はモノでいパイで、いまさら欲しい新製品も思いつかないのだけれど、思い出だけはいくら増えても困らない。 そういう時代において、まさに観光こそが地域創生のカギを握る

    ツーリズムを一大産業に育てよう。

  • 低迷する日本経済の救世主となりうる産業は何か?筆者は従来の経済書とは全く違う切り口で提案しています。

    従来の製造業主体の産業構造では日本はこれ以上成長できず、これからの日本経済の発展に貢献するのはツーリズムやアミューズメント(ギャンブル)等、「物」でも「体験」でもなく、さらにその先にある「感動」を直接顧客に提供できる産業であるとのこと。

    新ビジネス検討にあたって参考となりそうな情報が満載です。

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著者プロフィール

1960年富山県生まれ。一橋大学社会学部卒業。現職は双日総合研究所・チーフエコノミスト。主な著書に 『アメリカの論理』『1985年』『オバマは世界を救えるか』など。テレビ東京『モーニングサテライト』ほかマスコミ出演も多い。

「2017年 『 トランプは市場に何をもたらすか!? 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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