料理は女の義務ですか (新潮新書)

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著者 : 阿古真理
  • 新潮社 (2017年10月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106107368

料理は女の義務ですか (新潮新書)の感想・レビュー・書評

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  • 書名に心のなかを見透かされたような気がして、ドキっとしながら手に取る。

    本書は、作家であり生活史研究家である著者が、家庭料理を主に女性がどのように担ってきたか、歴史をふまえながら論じた本である。
    史実やインタビュー、文献引用が非常に充実している。
    冷静で淡々とした語り口も良い。
    特定の価値観や主義主張を押しつけるようなことがほとんどないので、落ち着いて読め、一冊を閉じるころには、現代の食卓がいかに複雑な歴史と価値観が混在する結果になっているかが、自然と頭に入るようになっている。

    読みながら、ふと今の私が生きる社会って、料理に対する「こうあるべき」や「こうしたら良い」という情報は溢れる一方で、残業をともなう仕事をもつ人間が現実的にどう料理することが「正解」なのか、実は答えが用意されていないんじゃないか、ということに思いいたる。
    試しに私の中の漠然とした「良い料理」のイメージを、思いつくままに挙げると、

    1.手作りである
    2.手間をかけずに作っている
    3.手間をかけて作っている
    4.加工食品を上手に取り入れる
    5.なるべく素の材料で料理するのが良い
    6.農薬とかも気になる
    7.食費は上手に節約するのが良い
    8.やはり母の作っていた食卓が理想である
    9.とはいえ、専業主婦の時代が長かった母と、仕事についている私とでは生活が違いすぎるから、それ相応になんとかしないと
    etc.

    って、矛盾だらけで、こんなの全て満たす正解なんてあるわけがない!(笑)
    そもそも、長いあいだ実家暮らしをしてきた私の料理の腕が足りないし!

    全く余談だけど、この本を読んでいたお正月休み、二人家族の夫と同時にインフルエンザをわずらい、家庭が閉鎖する目にあった。
    少し体調が回復してきた日、とにかく水炊き鍋だけ作ろうと、白菜をざくざく切って湯気の上がる鍋に入れていたら、体は辛かったが料理できることがしみじみ嬉しかった。

    料理は、女の義務ではなく、大人の権利だと思う。
    そして、働く人誰しも、毎日簡単なご飯をつくって食べられる生活を送れるような社会を設計することが、大人の義務なんじゃないか。
    少しずつでも、そんな社会になればいいのになと思った一冊でした。

  • タイトルと内容がそぐわない気がするが、興味深い内容でした。『逃げ恥』好きなんだろうな。

  • タイトルとネットで見かけた感想だけでなく、きちんと目次を確認してから買えばよかった。
    半分くらい、これこの本で語ること?という内容で、その部分がとても余計というか、冗長というか。
    最後まで読んでも、別に結論的なものが必要な話とも思わないが、なんだかまとまらないまま終わってしまった感。

  • 料理は女の義務ですか。
    料理が好きな男の自分からすると違うと言いたい。
    しかし、家事は女性がするものという意識は依然根強い。
    そこで手に取ったのが本書だ。

    本書では、料理の歴史をたどる(少し冗長なところは否めない)とともに、社会の変化(特に戦後の影響が大きい)を背景に、なにが台所の担い手を苦しめているかが考察し、そこから料理の意味を問い直している。

    料理は労働なのだろうか。
    著者は、家事を経済的価値で測るのは違和感があるという。
    同感だ。
    そもそも料理は貨幣経済以前より存在しているのであり、料理をお金の関係にしていまうとなにか大切なものが失われてしまうのではないかと思う。
    そうしないために、料理=労苦(あるいは苦手)という意識、また料理=女性がするものという意識からの脱却が必要である。そのためには料理と向き合う時間やそれを生み出す社会からのアプローチが欠かせない。

    「日本で性別役割分業による効率化の近代は終わった。家族は再び、それぞれが体を動かし生活を営む共同体になったのである。」(p182)

    本書は、料理への障害となる社会構造、そして料理の意味を考え直す契機を与えてくれる。

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料理は女の義務ですか (新潮新書)の作品紹介

「なぜ私だけ?」と悩む人たちへ――。料理を楽しむため、その歴史や先人の知恵に今こそ学ぼう。「スープの底力」「『一汁一菜』より大切なこと」「料理がつなぐ絆」など、現代の台所事情をレポートする料理論。

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