三島由紀夫全集 24 決定版 戯曲 4

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  • Amazon.co.jp ・本 (765ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106425646

感想・レビュー・書評

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  • 『サド侯爵夫人』『喜びの琴』のみ読了。
    富山・利賀で観たSCOTの『サド侯爵夫人』の全幕を読みたくて図書館で借りた。さすが三島だ。結末に至る長い道のりはほんの序章に過ぎないのであろうか。劇的な結末は冷厳である。美しい。『喜びの琴わわ』の上演の経緯は「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」を思い起こした。正しくタイムリーである。

  • より『サド侯爵夫人』。

    全体に、
    相変わらず、史実や現実の事件を背景とする点で仮託的ではあるが、小説よりも真実味が増している。

    良かった点として、
    形式的に、3幕劇で筋と場所が単一で古典的。このように形式を守りながら、内容的には三島らしさが随所に表れている。男性である三島は、女性の描き方が幾分男性的であり、そのことがかえって登場人物間の人間性・会話を盛り上げている。ゴドーのようにサド侯爵が現れないのは、実験的でよい。

    あまり評価できない点として、
    形式的に、三島の構築美が戯曲であれば、小説よりも発揮されると思ったが、伝統的な三幕劇の域を出ない点で、逆に小説の方が複雑な構築美を感じる。
    内容的に、たぶん、日本人より、戯曲の伝統があるフランス人に受ける。バタ臭い。

  • 『朱雀家の滅亡』『美濃子』のみ:朱雀家の舞台をみたので.

    "そこの帳を閉めてくれないか。西日がきつい。"
    滅びるのを待っているのか、すでに滅んでいるのか。
    真に信じているのか、狂気なのか。

著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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