- Amazon.co.jp ・本 (765ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106425646
感想・レビュー・書評
-
『サド侯爵夫人』『喜びの琴』のみ読了。
富山・利賀で観たSCOTの『サド侯爵夫人』の全幕を読みたくて図書館で借りた。さすが三島だ。結末に至る長い道のりはほんの序章に過ぎないのであろうか。劇的な結末は冷厳である。美しい。『喜びの琴わわ』の上演の経緯は「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」を思い起こした。正しくタイムリーである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
より『サド侯爵夫人』。
全体に、
相変わらず、史実や現実の事件を背景とする点で仮託的ではあるが、小説よりも真実味が増している。
良かった点として、
形式的に、3幕劇で筋と場所が単一で古典的。このように形式を守りながら、内容的には三島らしさが随所に表れている。男性である三島は、女性の描き方が幾分男性的であり、そのことがかえって登場人物間の人間性・会話を盛り上げている。ゴドーのようにサド侯爵が現れないのは、実験的でよい。
あまり評価できない点として、
形式的に、三島の構築美が戯曲であれば、小説よりも発揮されると思ったが、伝統的な三幕劇の域を出ない点で、逆に小説の方が複雑な構築美を感じる。
内容的に、たぶん、日本人より、戯曲の伝統があるフランス人に受ける。バタ臭い。 -
『朱雀家の滅亡』『美濃子』のみ:朱雀家の舞台をみたので.
"そこの帳を閉めてくれないか。西日がきつい。"
滅びるのを待っているのか、すでに滅んでいるのか。
真に信じているのか、狂気なのか。