小林秀雄全作品 18

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106435584

作品紹介・あらすじ

表現とは、いかに生きるべきかの実験だ-。昭和25年48歳、無心に耳を澄ます悦び、音楽体験を通して語る、「表現について」。併せて「雪舟」、「金閣焼亡」ほか…。

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  • ・・・・私は私自身を信じている。という事は、何も私自身が優れた人間だと考えているという意味ではない。自分で自分が信じられないという様な言葉が意味をなさぬという意味であります。本当に自分が信じられなければ、一日も生きていられる筈はないが、やっぱり生きていてそんな事を言いたがる人が多いというのも、何事につけ意志というものを放棄するのはまことにやすい事だからである。生きようとする意志を放棄すれば進んで死ぬ事さえ出来ない。ただ生きている様な気がしている状態に落入る。まことにやすい事です。
     例えば、私は何かを欲する、欲する様な気がしているのではたまらぬ。欲する事が必然的に行為を生む様に、そういう風に欲する。つまり自分自身を信じているから欲する様に欲する。自分自身が先ず信じられるから、私は考え始める。そういう自覚をいつも燃やしていなければならぬ必要を私は感じている。放って置けば火は消えるからだ。私はこの自覚を不断に救い出すという事に努力しているだけである。
    (p27)

  • 2009/
    2009/

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著者プロフィール

小林秀雄
一九〇二(明治三五)年、東京生まれ。文芸評論家。東京帝国大学仏文科卒業。二九(昭和四)年、雑誌『改造』の懸賞評論に「様々なる意匠」が二席入選し、批評活動に入る。第二次大戦中は古典に関する随想を執筆。七七年、大作『本居宣長』(日本文学大賞)を刊行。その他の著書に『無常といふ事』『モオツァルト』『ゴッホの手紙』『近代絵画』(野間文芸賞)など。六七年、文化勲章受章。八三(昭和五八)年、死去。

「2022年 『戦争について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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