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- Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106440625
作品紹介・あらすじ
俺は、必ず、物にしてみせる――。「脚注」で、さらに深まる物語の味わい。侍の身分を捨て、芸に生きる決心をした中藤冲也。端唄の評判にも浮かれず、新作浄瑠璃を書き上げるが、その成功は金の力だとの陰口。ならば、真に人々の心を打つ芸を究めたいと、江戸での恵まれた暮しを捨て、上方をめざすが、それは挫折と病いに苛まれる苦難の道だった……。己の才に人生を賭けた男の孤独な魂を描く傑作。
感想・レビュー・書評
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『死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものだ、死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ、消滅ではなく完成だ』
というこの小説の本質を、主人公中藤冲也にせりふとして言わしめている山本周五郎、そして、その台詞を証明できるのが、数奇な旅をともにする「けい」さん。
「山本周五郎と私」で山本周五郎の小説の本質は浪花節だと喝破する宮本輝氏、主人公中藤冲也と「けい」さんの上質な人間と人間とのからみあいから出た冒頭の台詞、読み終わって、とっても爽やかな気持ちだかが余韻として残りました。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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