山本周五郎長篇小説全集 22 虚空遍歴 下

著者 :
  • 新潮社
5.00
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 9
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106440625

作品紹介・あらすじ

俺は、必ず、物にしてみせる――。「脚注」で、さらに深まる物語の味わい。侍の身分を捨て、芸に生きる決心をした中藤冲也。端唄の評判にも浮かれず、新作浄瑠璃を書き上げるが、その成功は金の力だとの陰口。ならば、真に人々の心を打つ芸を究めたいと、江戸での恵まれた暮しを捨て、上方をめざすが、それは挫折と病いに苛まれる苦難の道だった……。己の才に人生を賭けた男の孤独な魂を描く傑作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものだ、死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ、消滅ではなく完成だ』
    というこの小説の本質を、主人公中藤冲也にせりふとして言わしめている山本周五郎、そして、その台詞を証明できるのが、数奇な旅をともにする「けい」さん。
    「山本周五郎と私」で山本周五郎の小説の本質は浪花節だと喝破する宮本輝氏、主人公中藤冲也と「けい」さんの上質な人間と人間とのからみあいから出た冒頭の台詞、読み終わって、とっても爽やかな気持ちだかが余韻として残りました。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

山本周五郎(やまもと しゅうごろう)=1903年山梨県生まれ。1967年没。本名、清水三十六(しみず さとむ)。小学校卒業後、質店の山本周五郎商店に徒弟として住み込む(筆名はこれに由来)。雑誌記者などを経て、1926年「須磨寺付近」で文壇に登場。庶民の立場から武士の苦衷や市井人の哀感を描いた時代小説、歴史小説などを発表。1943年、『日本婦道記』が上半期の直木賞に推されたが受賞を固辞。『樅ノ木は残った』『赤ひげ診療譚』『青べか物語』など、とくに晩年多くの傑作を発表し、高く評価された。 

解説:新船海三郎(しんふね かいさぶろう)=1947年生まれ。日本民主主義文学会会員、日本文芸家協会会員。著書に『歴史の道程と文学』『史観と文学のあいだ』『作家への飛躍』『藤澤周平 志たかく情あつく』『不同調の音色 安岡章太郎私論』『戦争は殺すことから始まった 日本文学と加害の諸相』『日々是好読』、インタビュー集『わが文学の原風景』など。

「2023年 『山本周五郎 ユーモア小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山本周五郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×