二つの祖国〈上・下〉 (山崎豊子全作品 1957-1985)

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著者 : 山崎豊子
  • 新潮社 (1986年4月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106445101

二つの祖国〈上・下〉 (山崎豊子全作品 1957-1985)の感想・レビュー・書評

  • これが実話として実際に起こったことだったのか?

    僕の大好きな山崎豊子さんの本を読み終えることができた。
    山崎さんの本はボリュームが多いのだが、いつも時間を忘れて熱中できる。
    社会性のあるテーマをキーワードとし彼女なりに忠実に実話と
    フィクションを織り交ぜて書かれる本は本当に面白い。

    さて、今回の「二つの祖国」だがほとんどの日本人が、
    特に僕らの世代やそれより若い世代はアメリカに住む日本人が
    第二次世界大戦中、強制収容所に入れられたという
    事実を知っているのだろうか?僕は全く知らなかった。
    まして日系二世がアメリカに忠誠を示すために、
    語学兵として戦地に派遣され自分の親の故郷である日本を相手に戦った
    という事実もあるのだ。はっきり言って、これはとてつもなく恐ろしい。

    日本人は海外に出ない限り、
    アイデンティティという概念を考えることはまず無いと思う。
    少なくとも僕は海外に留学するまで自分が日本人であるということを
    意識することは無かった。でも海外に留学して、
    例えばトライアスロンの大会に出るときにレース前にアメリカ国歌が流れるのだが、
    このときに僕は日本人だという反発心が湧き上がって来るのを経験したことがある。

    そしていつでも海外に行くたびに、日本人としてのアイデンティティを思い出す。
    しかし日本の両親を持ち、海外で育つ日本人は二つの祖国を持つ事になる。
    もし彼らが海外で育って、日本に戻る機会が無ければあるいは、
    その海外のアイデンティティしか持たないかもしれないが、
    天羽賢治はアメリカで生まれたけれども、高校大学と日本で育った。
    彼にとっては日本とアメリカは二つの祖国だ。
    しかし、アメリカに忠誠を尽くすも日系2世だというだけで、
    辛苦を味わいおまけに母なるアメリカから見捨てられたというこの恐ろしさ。
    到底受け入れることができないだろう。

    一方ではこのお話で東京裁判のことがすごく詳しく述べられている。
    思えば学校の社会科で習ったのは、
    日本が負けて東条首相率いる一部の戦犯が死刑にされたという事だ。
    しかし実際はとても公正とは言える裁判ではなく一方的な判決をなされたということは、
    少なからずショックを覚えた。
    諺に「勝てば官軍」とあるが、僕はこの言葉は暴言だとしかいいようがない。
    アメリカは日本に勝ったけれども、日本の当時の置かれた状況や心情を
    全く理解せずに、無実の人たちまで死刑や終身刑にしてしまったのは暴挙だ。
    勝った者が世の中を支配していくわけだが、
    勝ったもの=正義とは100%言い切れない。

    また印象的なのが、
    本に出てくるインド判事のパルさんだ(実在の人物のようだ
    http://www.asahi-net.or.jp/~un3k-mn/0815-pal.htm)。
    日本無罪論を最後まで主張し、他国の判事とは一線を引き、
    自分の主張を最後まで曲げなかった真摯な人だ。
    こういう人がいてくれただけでもこの裁判は後世に残るんだろう。

    日本軍が行った残虐や大量殺戮を僕は肯定するつもりはない。
    中国人に加えた南京大虐殺など、とても人間ができるようなものじゃないと思う。
    これは日本としてすごく反省をしないといけない。
    ただ、太平洋戦争はアメリカが引き起こした戦争じゃないかという疑いは残る。
    そして1945年の6,7月頃にはすでに日本の敗色濃厚なのに、
    原子爆弾を投下したアメリカは戦争の責任や原子爆弾を投下した責任を
    感じているのだろうか?
    まさに人体実験をしたとしか言いようが無いほど、戦争後の対応が極めて悪い。

    この本は少なからず、僕の今後の行き方に影響を与えた。
    悲劇は繰り返してはならないし、
    非核化というメッセ... 続きを読む

  • 誰かが天羽さんのように自分を犠牲にして架け橋になって、日本と世界をリンクさせてきたのだと思うと感動です。

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