大地の子〈1〉 (山崎豊子全集)

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著者 : 山崎豊子
  • 新潮社 (2005年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (637ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106445293

大地の子〈1〉 (山崎豊子全集)の感想・レビュー・書評

  • 図書館で借りました。
    以前この方の「白い巨塔」を読んでその作品の徹底したリアリズムと書かれた年代にびっくりした思いがあります。今、現在の話と言われても全然違和感がないな、と思ったことを覚えてます。

    「大地の子」は文藝春秋で連載されてたことはなんとなく覚えてます。ただその当初は中国残留孤児か~難しそうな話だな~と思っただけでした。読んでみよう、と言う意識を持ったのは近頃読んだ「大地の咆哮」の一文に亡くなられた胡耀邦総書記が大変な親日家であり、彼の存在がなかったら山崎豊子氏も「大地の子」を書くことはできなかったであろう、とあったからです。そうか、それだったら今ではそういう題材では作品は創れないのかもしれない、だったら是非読んでみようか!と思いたったのです。

    前置きが長くなりましたが読み終えてのとりあえずの感想は壮絶なお話だ、と。
    勿論小説ですから全てが一人の人間に降りかかった災難ではないとは思います。が、実際にその一つ一つの災難を体験した人が居ること、言葉に表せないほど悲惨な体験をしてきた人達が存在することは事実です。
    自分が生まれる前の事なので文化大革命はそんなことがあったんだな、ぐらいの知識しかなく、怖いな~くらいの感想しか抱いていなかったのですがその壮絶さには目がくらみます。この不幸な歴史的事態で大切な歴史や文化、知識が失われてしまったのかと思うと、そして迫害を受けた人たちの苦労なんていう言葉では多分表せない過去を考えるとなんと言う喪失だろう、痛みだろうと思うのです。
    国の政策で大陸に渡ったのに、国に裏切られ国に捨てられる一般人、折角苦労して耕した土地を日本人に奪われた中国の人、そして不幸にも大陸に残されてしまう孤児達。
    戦争も革命も集団ヒステリーのようなもので渦中に居るときには批判も表立った反対行動も難しいのでしょうけれどもそれにしてもあまりに失われたものは多い。戦争は本当に犠牲者のみを出すだけだと。
    巻末の著者のエッセイの中に『戦争はまだ終わっていない』とありました。私は戦争を知らない世代ですが今の風潮は戦前に似ているのではないかと言う報道を聞くたびに恐ろしく思います。日本が第二次世界大戦に中国・朝鮮・南はインドネシアまで侵略戦争を仕掛けたこと、そして敗戦したこと。終戦なんて口当たりの良い言葉を使わずはっきりと戦に負けたと。無益で無謀な戦争を行ったのだと言うことを戦争を知らない世代こそがきちんと知っていなくてはいけないのではないか。そんなことを強く思いました。

    お話は次第に近代中国の工業のお話と日本企業との摩擦の話になります。ここでも文化と考え方の違いが出ていてどうしても日本企業側を贔屓目に見てしまう自分に苦笑しました。今ではかなり中国との付き合いも変わったこととは思います。ただ自分の感想としては中国の人は商売上手だよな~とつくづく感心しております。

    壮絶な話でした。是非お薦めしたい作品です。

  • 悲しさと優しさが共存しているような話の展開は、涙なしには読み進めることができません。日中戦争、文化大革命、日中国交正常化といった歴史の流れに翻弄される人々…、まさに「壮大な叙事詩」という形容がぴったりです。NHKのドラマも良かった〜。養父・陸徳志の名前の通りの慈悲深さに、僕はかなり感銘を受けたものです。

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大地の子〈1〉 (山崎豊子全集)の作品紹介

幼い妹と引き裂かれ、日本人ゆえの迫害に耐えた戦争孤児の慟哭の道。

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