吉村昭自選作品集 第1巻 少女架刑・星への旅

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (479ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106450013

感想・レビュー・書評

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  • ーーこの短篇小説集におさめた十四篇は、二十四歳から三十九歳までに発表した短篇で、つまり、初期作品集である。ーー稚さはあっても対象にしがみつく若さ故の熱気が感じられる。ーー後記より

    全篇が死への憧憬と冷然たる現実の死に浸りきっている。繰り返し出てくるモチーフは執拗に思え、作者自身の経験とどう繋がるのか非常に気になった。
    肺病で肋骨を失ったこと、骨へのこだわりと愛着。線路の轢死。轢死体の切断、肉片となった上体ときれいな足。つい殺してしまうことと、つい死んでしまうこと。

    普通には理解しがたい心の動き、メカニズムというものを見事に描いている。後年より概してファンタジックであるけれども、冷徹なまでの観察と記録するかのような描写はやはり吉村昭である。
    後年のような息苦しさはなく、若い清らかさが感じられる。
    読んで良かった。

  • 死の匂いが強烈に漂う作品ばかりで驚いた。
    自身の結核に伴う、部分麻酔での肺の一部摘出手術という、
    尋常ではない経験が書かせた作品群なのだろうか。
    最初に読んだ吉村作品が「高熱隧道」だったため、
    意外なギャップに驚き、楽しめた。

  • 「少女架刑」がやはり凄絶。

    第一巻は骨・鉄道・墓・雛がメイン。
    ずっと淡々としてて、一瞬激情が沸き起こって、終わり。


    この本読んでると、ひいおばあちゃん家の臭いがする気がする(笑)

著者プロフィール

一九二七(昭和二)年、東京・日暮里生まれ。学習院大学中退。五八年、短篇集『青い骨』を自費出版。六六年、『星への旅』で太宰治賞を受賞、本格的な作家活動に入る。七三年『戦艦武蔵』『関東大震災』で菊池寛賞、七九年『ふぉん・しいほるとの娘』で吉川英治文学賞、八四年『破獄』で読売文学賞を受賞。二〇〇六(平成一八)年没。そのほかの作品に『高熱隧道』『桜田門外ノ変』『黒船』『私の文学漂流』などがある。

「2021年 『花火 吉村昭後期短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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