ドナルド・キーン著作集 1 日本の文学

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (573ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106471018

作品紹介・あらすじ

誰よりも日本を愛し、誰よりも日本文学を深く究めた著者の、70年に及ぶ執筆活動のエッセンス。人麻呂、正岡子規、紫式部、樋口一葉、そして世阿彌から近松、黙阿彌まで、文学史に輝く人物はもちろん、無名でも面白い作品を残した作家、感動的な歌を詠んだ詩人たちにも光を当てた。処女作「日本の文学」を始め六篇を収録。

感想・レビュー・書評

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  • いま、古事記から現代まで日本文学の通史を学びたいと思えば、ドナルド・キーン先生の「日本文学の歴史全18巻」を読むのが最適でしょう。

    もともと英米向けの英文テキストだったのですが、評判を得て日本語に翻訳されたものです。というより、通史としてこれほど精緻に通じている日本の国文学者がいないということです(日本の学者先生にもがんばっていただきたい)。

    外国人(先生は現在は日本に帰化され日本人です)に日本文学を習うという妙な経験となりますが、思えば西洋化した今日の日本人にこそわかり易い入門書となります。

    さらに言えば付記された英文のほうが読みやすいとさえいえるのです。

    平成11年に編まれた本書「ドナルド・キーン著作集十五巻」のうち第1巻は愉しい話ばかりで読んで飽きることがありません。

    とくに「私の日本文学」の講演集のくだりは放送や録音テープで何度も聴いていますので、先生独特のやわらかな日本語がよみがえってじつに心地よいのです。

    「日本文学散歩」では週刊朝日には場違いな文学者たちを登場させひとりほくそ笑んだそうですだが、編集者も喜んだにちがいないでしょう。宗長、橘曙覧の話などいま読んでもおもしろいのです。

    日本人ドナルド・キーン先生のファンは全国津々浦々おいでしょう。先生のご健康とご長寿を祈念しましょう。

  • 【全集内容】
    P 11~ 日本の文学 
    P141~ 日本文学散歩
    P291~ 古典を楽しむ 私の日本文学
    P411~ 古典の愉しみ
    P501~ 日本文学の国際性

    日本の文学
     内容が高度すぎてついていけないところがある。引用をひこうにも、その文説も語るに十分な内容をどこで切ればよいか迷っている。
     P49以後 劇には4種の形態があり、能楽、人形浄瑠璃、歌舞伎、新劇ががる。
     能楽は比較的最近に使われるようになった呼び名で、元は猿楽を元にしている。書記の猿楽は原始的なもので、これに対し外国の影響を認めるかどうかは難しい。また田楽というものもあり。これは刈り入れなど農業の行事からおこったものになる。田楽は神社と関わりをもっていた。これらはその知識がきわめて不完全のため、一三世紀及びそれ以前に行われた、猿楽と田楽がどういう関係にあったのか区別するのは難しい。能は一四世紀には今日の形態をとり、14世紀最後に最高の表現にまで達した。それに貢献したのは。観阿弥清嗣と世阿弥元清だった。
     他4つは良く理解できなかった。もっと具体的な記述がほしいと思った。
     P63 以降 著作の流れとしては、紫式部/『源氏物語』『平家物語』『時秋物語』『太平記』西鶴/『好色一代男』『日本永代倉』が挙げられていた。19世紀はにほんの小説にとって最低の頃に来た時期であり、それは徳川幕府の政府による検閲が大いに影響していた通される。

    《日本の文学》読了後
     めっちゃ!楽しかった!!読みやすく、キーン氏の表現にニマニマしながら読んだよ!
     日本と世界の作品類似性の考察、日本文学が海外に浸透しない・できない理由、また、ある作家の主題にして物語の背景を示し、独自の解説をつけたりしていた。
     知らない作品も多く紹介されており、全部読んでみたいと思った。
     『日本の文学』の題名で、物難しく感じるかもしれないが、とてもそんな感じはしなかった。
     著者が”外人”のためか、それとも”個”のから生み出されたのか違いは分からないが、その意表を突く解説が小気
    味よくちりばめてあり、読みあきることがなかった
     もう一度読みたい本。

  • とりあえず「日本の文学」のみ読了。あとはそれぞれの単行本で読むことにする。いろいろな示唆に富んだ良書だった。日本文学を俯瞰で考えることができた。これから小説や詩を読むときに、新しい楽しみ方ができそうだ。

  • 素晴らしい日本文学者。外国人の目線から見た日本文学なのかと思いきや、それだけにとどまらない。三島由紀夫の解説も良い。
    細雪の解説を読み、自分が欧米文学を好み、日本文学を物足りないと思う所以がよくわかった。標題作のみ読む予定だったが、全て目を通すことにする。

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著者プロフィール

1922年ニューヨーク生まれ。コロンビア大学名誉教授。日本文学研究者、文芸評論家。2011年3月の東日本大震災後に日本永住・日本国籍取得を決意し、翌年3月に日本国籍を取得。主な著書に『百代の過客』『日本文学の歴史』(全十八巻)『明治天皇』『正岡子規』『ドナルド・キーン著作集』(全十五巻)など。また、古典の『徒然草』や『奥の細道』、近松門左衛門から現代作家の三島由紀夫や安部公房などの著作まで英訳書も多数。

「2014年 『日本の俳句はなぜ世界文学なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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