人間失格 (1) (BUNCH COMICS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (155ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107714862

感想・レビュー・書評

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  • 現代訳人間失格 古屋兎丸ver.といった感じ。昔の設定だと思っていたので、一瞬そうくるかと身構えたが人間失格の世界観はどの時代でも生きるんだなと思った。

  • 全3巻。
    太宰治の小説を現代風にリライト。ネタに行き詰まった漫画家が、ネットで大葉要蔵という名の人物の手記を見つける。堕し続ける主人公の容貌が衝撃的。

  • 現代版、人間失格。
    原作をうまくアレンジしてあっておもしろい★
    読後感がなんともいえない。。

  • 「恥の多い生涯を送ってきました」――
    ネット上に見つけた大庭葉蔵の独白が赤裸々に綴られたページ。
    掲示されていた3枚の写真は、葉蔵の転落の人生の軌跡を描いていた。読み進めるほどに堕ち、崩壊していく葉蔵の人生。彼は何を恐れ、逃げていたのか。
    大庭葉蔵は、「道化」を演じることで生きてきた。
    同級生が声を掛けてきた時は変顔で応じ、先生の前で答えを発表する時はツメの部分でわざと間違え、高校までは「面白い奴」というキャラで人気者になり、そんな道化が息苦しくなると美術予備校に逃げ場所を求め、風俗でしか自然な笑顔を見せることが出来ず、周りが求める「普通」の正解に沿って演技をすることで人間関係を成り立たせていた。
    それは、「普通の人間」が怖い葉蔵にとって、人間に繋がる唯一の手段だった。
    そんな葉蔵が友人になったのは、美術予備校の同級生堀木正雄。堀木と夜の遊びに夢中になる中で葉蔵は、政治的な集会に身を投じる。
    別に思想に共鳴したからではなく、人間観察の延長だし、葉蔵は「非合法」「日陰者」を見ているとうっとりするほど優しくなれるから。
    そんな中で政治的団体のリーダー佐々木に信頼されある企業のビル爆破計画を見せられた葉蔵は、そのビルが自分の父親が経営している会社であることから、葉蔵の生き方の根源の「道化」が父親の自分に対する抑圧的な接し方にあると気付いてしまう。
    高校にろくに行っていなかったことが父親にバレてカードやマンションを取り上げられた葉蔵は、バイトしながら高校生活をすることになる。
    政治的団体のリーダー佐々木の彼女と関係したり、キャバクラのホステスのアゲハと関係したりしながら女の金にすがり生きてきた葉蔵はドン底まで堕ち、鎌倉の海でアゲハと心中未遂をする。
    アゲハとの心中に失敗し、ひとり、生へと取り残された葉蔵は、送られた留置所の中で、彼女への償いを生きる糧にしていこうと決心する。
    そして釈放、父親の側近に居候生活。平穏な生活を取り戻したかのように見えたその裏には、葉蔵を再び絶望の闇へと落とし込む事実が隠されていた。
    自分の罪も金で帳消しされ父親に金で縛られる人生に絶望した葉蔵は、うわべだけの無気力な人生を生きていくしかなかった。
    つかむ場所のない深い暗闇の波間で、葉蔵がようやく掴んだもの……それは「女」だった。
    自分が女に寄生する天才としった葉蔵は、出版社に勤める田中静子のアパートに転がり込み、自分の人生を日記スタイルの小説で描いていく中で、得意な絵を生かした漫画で生きていこうとする。
    だが読者や静子の娘の期待に息苦しさを感じた葉蔵は、原稿料を酒と煙草に費やし、原稿料を飲み尽くすと静子のものを質に入れ酒代にした。
    田中静子から逃げた葉蔵は、バーのママの2階に居候する。バーのお客やママのお陰で世界に対する恐れが薄れた葉蔵は、煙草屋のバイト朝井佳乃に恋をする。
    朝井佳乃と結婚した葉蔵は、幸せな結婚生活をするが、隅田川花火大会の夜に会社から解雇された布川が佳乃を犯してしまう。
    佳乃の清らかさを汚した罪の意識から葉蔵は、酒浸りになり、ついには覚醒剤に手を染めてしまう。
    佳乃に売春させるまで堕ちた葉蔵は覚醒剤を断ち漫画家として立ち直ろうとするが、葉蔵を破滅させたのは葉蔵の父親だった。
    太宰治の希代の問題作「人間失格」を、舞台を現代社会に移し、鬼才古屋兎丸が完全漫画化。

    葉蔵が人間関係を成り立たせていた「道化」までいかなくても、学校や家庭やネットでキャラを変えて器用に立ち回る現代の若者の方が、葉蔵の「僕は人間が怖い、だけど理解して愛されたい」という葛藤を共感し易いと思う。
    古屋兎丸は今まで負の感情に押し流され破滅する人間を描く作品が多いだけに、葉蔵が抱えた「普通」という価値観や人間が理解出来ず怖いがために「道化」という手段を使い人間関係を成り立たせていた心情や女に寄生する一方で救いを求める弱さが丁寧に描かれ、後半の覚醒剤中毒になった葉蔵の幻覚や撹乱状態の描写、極めつけは古屋兎丸自身が出会う生きながら彼岸に行ってしまった葉蔵はトラウマ級です。
    自分の感覚や価値観を葉蔵に押し付け、葉蔵が「道化」という生き方を身につける原因の父親は毒親そのものだし、現代でこそ読まれるべき「人間失格」漫画版です。

  • 現代の時制によく合わせている。読みやすい。

  • 現代版「人間失格」か。この鬱蒼とした雰囲気に侘びしく苦しい気持ちにさせられてたまらない。
    原作も大好きだがこれも素晴らしい!

  • 小説ではただただ暗い気持ちにさせられた。

    絵がついても、それは変わらなかったw

  • 現代版人間失格。救いようがなく、どんどん堕ちていく様が気になって仕方がない。

  • 全03巻 完結

  • なまら良い

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著者プロフィール

一九六八年東京都生まれ。九四年に『月刊漫画ガロ』より「Palepoli」でデビュー。卓越した画力と多彩な画風で熱狂的な支持を集める。著書に『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』『女子高生に殺されたい』などがある。

「2021年 『谷崎マンガ 変態アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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