人間失格 2 (BUNCH COMICS)

  • 新潮社
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感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107715425

感想・レビュー・書評

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  • 大庭ってダメな男なのに、いい人なのか…他人にも自分にも優しい、そして弱い…てことかな。
    自分に利も危険もない相手にも愛想笑いをしちゃうところが悲しかった…やっぱり人間が怖いのか。
    後半は、バーに居候して、結婚して、恐らく人生唯一の幸福なときを過ごしてる大庭に切ない気持ちになった。
    何か、男は醜く女は情が深い、みたいな作者の認識を感じる気がする。堀木は、大庭が羨ましいから八つ当たりしたいけど、いいやつだから仲良くもしたい…のかな。男友達のいいやつって、時々わからないんだけど…

  • 一話ごとに原作小説からの抜粋があるのだが
    単純な抜粋ではなくデザイン的にも印象的。

    心中を乗り越え、
    折角幸せを掴んで順調にいけるかと思いきや
    再び転がり落ちてく。

    小説を読んでいるから大方話は分かっているのに
    悲しくなる。

  • その後の展開が気になって連続で3巻へ。 太宰の原書を初めて読んだときは、道化の葉蔵の部分にリンクするものがあったが、この漫画では何一つ葉蔵と相容れたくない気持ちでいっぱいだ。

  • 心中未遂の青年が漫画家になる。タバコ屋の少女に恋をする。とことんダメ人間なのに彼を庇護しようとする女は途切れない。失格してるけど、うまくやってるとも取れるな。

  • 恋が人生のピーク。
    古屋先生、幸福を描くのが上手い。

    ああ、三巻読みたくない。

  • 立ち読みにて。

    各章の後ろに「人間失格」の本文抜粋があり、
    これがまたきりっと心臓を踏みつぶすような絶妙な撰文。
    古屋氏の絵はリアルで妙におどろおどろしい雰囲気があるので、
    刻々と堕落に近づいていく(というかおちている過程なのか、)葉蔵の生活がほんとうに恐怖と狂気にみちているようにこちらにも感じられる。

    完結して無くて、じだんだ。
    原作のあの名高いラストシーンを、氏はどう表現するのか、
    それが楽しみ。

  • 心中後の話
    原作に忠実で良くできています
    わかっていても先が気になってしまう
    いきなり現れる原文のも深みを出している

  • 現代版のアレンジなのに原作に忠実。絵もテンポも魅力的なので何回も読んでしまう。最近の兎丸作品の中で一番好きかも。

  • 太宰治の希代の問題作「人間失格」を、舞台を現代社会に移し、鬼才古屋兎丸が完全漫画化。
    「恥の多い生涯を送ってきました」――ネット上に見つけた大庭葉蔵の独白が赤裸々に綴られたページ。掲示されていた3枚の写真は、葉蔵の転落の人生の軌跡を描いていた。読み進めるほどに堕ち、崩壊していく葉蔵の人生。彼は何を恐れ、逃げていたのか。
    大庭葉蔵は、「道化」を演じることで生きてきた。同級生が声を掛けてきた時は変顔で応じ、先生の前で答えを発表する時はツメの部分でわざと間違え、高校までは「面白い奴」というキャラで人気者になり、そんな道化が息苦しくなると美術予備校に逃げ場所を求め、風俗でしか自然な笑顔を見せることが出来ず、周りが求める「普通」の正解に沿って演技をすることで人間関係を成り立たせていた。それは、「普通の人間」が怖い葉蔵にとって、人間に繋がる唯一の手段だった。そんな葉蔵が友人になったのは、美術予備校の同級生堀木正雄。堀木と夜の遊びに夢中になる中で葉蔵は、政治的な集会に身を投じる。別に思想に共鳴したからではなく、人間観察の延長だし、葉蔵は「非合法」「日陰者」を見ているとうっとりするほど優しくなれるから。そんな中で政治的団体のリーダー佐々木に信頼されある企業のビル爆破計画を見せられた葉蔵は、そのビルが自分の父親が経営している会社であることから、葉蔵の生き方の根源の「道化」が父親の自分に対する抑圧的な接し方にあると気付いてしまう。
    高校にろくに行っていなかったことが父親にバレてカードやマンションを取り上げられた葉蔵は、バイトしながら高校生活をすることになる。政治的団体のリーダー佐々木の彼女と関係したり、キャバクラのホステスのアゲハと関係したりしながら女の金にすがり生きてきた葉蔵はドン底まで堕ち、鎌倉の海でアゲハと心中未遂をする。
    アゲハとの心中に失敗し、ひとり、生へと取り残された葉蔵は、送られた留置所の中で、彼女への償いを生きる糧にしていこうと決心する。そして釈放、父親の側近に居候生活。平穏な生活を取り戻したかのように見えたその裏には、葉蔵を再び絶望の闇へと落とし込む事実が隠されていた。自分の罪も金で帳消しされ父親に金で縛られる人生に絶望した葉蔵は、うわべだけの無気力な人生を生きていくしかなかった。つかむ場所のない深い暗闇の波間で、葉蔵がようやく掴んだもの……それは「女」だった。自分が女に寄生する天才としった葉蔵は、出版社に勤める田中静子のアパートに転がり込み、自分の人生を日記スタイルの小説で描いていく中で、得意な絵を生かした漫画で生きていこうとする。だが読者や静子の娘の期待に息苦しさを感じた葉蔵は、原稿料を酒と煙草に費やし、原稿料を飲み尽くすと静子のものを質に入れ酒代にした。田中静子から逃げた葉蔵は、バーのママの2階に居候する。バーのお客やママのお陰で世界に対する恐れが薄れた葉蔵は、煙草屋のバイト朝井佳乃に恋をする。朝井佳乃と結婚した葉蔵は、幸せな結婚生活をするが、隅田川花火大会の夜に会社から解雇された布川が佳乃を犯してしまう。佳乃の清らかさを汚した罪の意識から葉蔵は、酒浸りになり、ついには覚醒剤に手を染めてしまう。佳乃に売春させるまで堕ちた葉蔵は覚醒剤を断ち漫画家として立ち直ろうとするが、葉蔵を破滅させたのは葉蔵の父親だった。
    葉蔵が人間関係を成り立たせていた「道化」までいかなくても、学校や家庭やネットでキャラを変えて器用に立ち回る現代の若者の方が、葉蔵の「僕は人間が怖い、だけど理解して愛されたい」という葛藤を共感し易いと思う。
    古屋兎丸は今まで負の感情に押し流され破滅する人間を描く作品が多いだけに、葉蔵が抱えた「普通」という価値観や人間が理解出来ず怖いがために「道化」という手段を使い人間関係を成り立たせていた心情や女に寄生する一方で救いを求める弱さが丁寧に描かれ、後半の覚醒剤中毒になった葉蔵の幻覚や撹乱状態の描写、極めつけは古屋兎丸自身が出会う生きながら彼岸に行ってしまった葉蔵はトラウマ級です。
    自分の感覚や価値観を葉蔵に押し付け、葉蔵が「道化」という生き方を身につける原因の父親は毒親そのものだし、現代でこそ読まれるべき「人間失格」漫画版です。

  • 20160429記載
    2016年4月28日に小説を読み返したのを機に、同日マンガの方も読み返す。

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著者プロフィール

一九六八年東京都生まれ。九四年に『月刊漫画ガロ』より「Palepoli」でデビュー。卓越した画力と多彩な画風で熱狂的な支持を集める。著書に『ライチ☆光クラブ』『帝一の國』『女子高生に殺されたい』などがある。

「2021年 『谷崎マンガ 変態アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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