- Amazon.co.jp ・マンガ (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784107716217
感想・レビュー・書評
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バンチの廃刊に伴って途中で終わっててそのまま続きを読み忘れていたんだけど、まー思ってたぐらいの結末だった。
太宰先生に遠慮したのかもしれないけど、古屋先生にしては人間不信度は低めの作品と言えるかもしれない。 -
ヤク中になって次元上昇ラリってる描写が圧巻すぎる。
でも、狂った時点でそこに救いがある。
自己を失ったまま死に至ることができるのだから。
古屋先生が、自らの作品を批判的に評しているように、狂うことの中に救いのようなものを見たような気がした。
太宰治の小説は、あまりにも現実味がありすぎて、また、あらゆる救いを拒絶する。
正常になることもできない、かといってギリギリのところで壊れ死ぬほどの苦痛と罪の一切が霊魂を束縛し支配するのだが、それでも、あらゆる愛からの離反と世界への恐れを抱えながら、人生を放棄することもできない、
霊魂の「生殺し」が生きている限りつきまとい、そこから逃れ解放されることはないのだ。
キルケゴールの言う、
「絶望してなおも自己自身であろうとする絶望」の極致が太宰作品には描かれている。
人間にとって最も苦悩であり、苦しみであることは、
事件や悲劇そのものよりも、
恐れることそのものであり、
いつ、恐れていたことが現実となるのかわからないこと、
そしてその恐れから逃げ惑えば逃げ惑うほどにその恐れは確実にその身に降りかかるのだという経験が、
その人間の人生をさらに不安定なものにしているのだ。
あがけばあがくほど、
右にいっても左にいっても、
戦っても逃げても
その人は不幸に絡め取られていき、袋小路の中に追い詰められる。
では、救いはあるのか。
私は、あらゆる絶望下、一切の希望が考えうるすべて閉ざされたとしても、
ある、
と断言しよう。
むしろ絶望の度合いが増すほど、その力は強くなる。
それは、むしろ絶望さえも利用し、一切の闇に打ち勝つ権能を持つ。
それが何かというのは、それぞれ答えを出してみてほしいのですが。 -
あっというまに堕ちていく様がつらい。
もう一度太宰の人間失格を読んでみようと思った。
2014.3.9読了 -
ゾクゾクが止まらない最終巻。あとがきにもあったようにオチは少し甘さが残ったけれど、それを含めても巧みな展開と演出だった……。
これはいい漫画だわ……!!! -
文章で読むより絵でみた方が壮絶だと思った。でもこれでも原作より救いがある結末なんだよな。これは原作の方もしっかり読み返したい。
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太宰治の希代の問題作「人間失格」を、舞台を現代社会に移し、鬼才古屋兎丸が完全漫画化。
「恥の多い生涯を送ってきました」――ネット上に見つけた大庭葉蔵の独白が赤裸々に綴られたページ。掲示されていた3枚の写真は、葉蔵の転落の人生の軌跡を描いていた。読み進めるほどに堕ち、崩壊していく葉蔵の人生。彼は何を恐れ、逃げていたのか。
大庭葉蔵は、「道化」を演じることで生きてきた。同級生が声を掛けてきた時は変顔で応じ、先生の前で答えを発表する時はツメの部分でわざと間違え、高校までは「面白い奴」というキャラで人気者になり、そんな道化が息苦しくなると美術予備校に逃げ場所を求め、風俗でしか自然な笑顔を見せることが出来ず、周りが求める「普通」の正解に沿って演技をすることで人間関係を成り立たせていた。それは、「普通の人間」が怖い葉蔵にとって、人間に繋がる唯一の手段だった。そんな葉蔵が友人になったのは、美術予備校の同級生堀木正雄。堀木と夜の遊びに夢中になる中で葉蔵は、政治的な集会に身を投じる。別に思想に共鳴したからではなく、人間観察の延長だし、葉蔵は「非合法」「日陰者」を見ているとうっとりするほど優しくなれるから。そんな中で政治的団体のリーダー佐々木に信頼されある企業のビル爆破計画を見せられた葉蔵は、そのビルが自分の父親が経営している会社であることから、葉蔵の生き方の根源の「道化」が父親の自分に対する抑圧的な接し方にあると気付いてしまう。
高校にろくに行っていなかったことが父親にバレてカードやマンションを取り上げられた葉蔵は、バイトしながら高校生活をすることになる。政治的団体のリーダー佐々木の彼女と関係したり、キャバクラのホステスのアゲハと関係したりしながら女の金にすがり生きてきた葉蔵はドン底まで堕ち、鎌倉の海でアゲハと心中未遂をする。
アゲハとの心中に失敗し、ひとり、生へと取り残された葉蔵は、送られた留置所の中で、彼女への償いを生きる糧にしていこうと決心する。そして釈放、父親の側近に居候生活。平穏な生活を取り戻したかのように見えたその裏には、葉蔵を再び絶望の闇へと落とし込む事実が隠されていた。自分の罪も金で帳消しされ父親に金で縛られる人生に絶望した葉蔵は、うわべだけの無気力な人生を生きていくしかなかった。つかむ場所のない深い暗闇の波間で、葉蔵がようやく掴んだもの……それは「女」だった。自分が女に寄生する天才としった葉蔵は、出版社に勤める田中静子のアパートに転がり込み、自分の人生を日記スタイルの小説で描いていく中で、得意な絵を生かした漫画で生きていこうとする。だが読者や静子の娘の期待に息苦しさを感じた葉蔵は、原稿料を酒と煙草に費やし、原稿料を飲み尽くすと静子のものを質に入れ酒代にした。田中静子から逃げた葉蔵は、バーのママの2階に居候する。バーのお客やママのお陰で世界に対する恐れが薄れた葉蔵は、煙草屋のバイト朝井佳乃に恋をする。朝井佳乃と結婚した葉蔵は、幸せな結婚生活をするが、隅田川花火大会の夜に会社から解雇された布川が佳乃を犯してしまう。佳乃の清らかさを汚した罪の意識から葉蔵は、酒浸りになり、ついには覚醒剤に手を染めてしまう。佳乃に売春させるまで堕ちた葉蔵は覚醒剤を断ち漫画家として立ち直ろうとするが、葉蔵を破滅させたのは葉蔵の父親だった。
葉蔵が人間関係を成り立たせていた「道化」までいかなくても、学校や家庭やネットでキャラを変えて器用に立ち回る現代の若者の方が、葉蔵の「僕は人間が怖い、だけど理解して愛されたい」という葛藤を共感し易いと思う。
古屋兎丸は今まで負の感情に押し流され破滅する人間を描く作品が多いだけに、葉蔵が抱えた「普通」という価値観や人間が理解出来ず怖いがために「道化」という手段を使い人間関係を成り立たせていた心情や女に寄生する一方で救いを求める弱さが丁寧に描かれ、後半の覚醒剤中毒になった葉蔵の幻覚や撹乱状態の描写、極めつけは古屋兎丸自身が出会う生きながら彼岸に行ってしまった葉蔵はトラウマ級です。
自分の感覚や価値観を葉蔵に押し付け、葉蔵が「道化」という生き方を身につける原因の父親は毒親そのものだし、現代でこそ読まれるべき「人間失格」漫画版です。 -
正直なところ、読んで嫌な気分になった。というのも、葉蔵の人間性にヒトが誠心誠意生きることを踏みにじられたかのような絶望を感じさせられたからである。そういう風に読者に思わせるよう描けている点で古屋氏の表現は成功したと言えるだろう。 原書は昔読んだのであまり記憶に残っていなかったので再読しようと思うが、読むなら斜めから見ることのできる余裕がある時がいいだろう。
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ネットで見つけた日記と言う設定。
舞台は現代
悲劇名詞とかの下りはカット。
薬を買うのは在日外国人からだし。
大胆な翻案だけれど好感。
手があんなふうに死後硬直する? -
20160429追記
2016年4月28日に小説を読み返したのを機に、4月29日にマンガの方も読み返す。 -
現代版の『人間失格』なるほどなぁ
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読み直したいけど、つらい。
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太宰治の現代版。罪と罰といい、こういう流れができつつあるのかな。
原作知っていると、さらに楽しめますね(^_^) -
面白く読んだ。
が。
これはこういう漫画で読んじゃ駄目なんだろな…て凄い思った。
太宰読まねば駄目だな。 -
原作は読んだことないけど引き込まれる。
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怖い。
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原作を結構忠実(?)に漫画化。
ただ時代背景は現代としてあるが、登場人物の名前もほぼ同じくしてある。
ネットで読むきっかけとなった日記。
それを見つけたある漫画家が・・・・
と何か異次元での繋がりを持たせたストーリー展開と期待したところまったくのハズレ。
絡みがないならいらないというかほぼなかった存在だったように思える。
原作がかなりエグイ人間なのに、描写になるともっとエグイ・・・