プリニウス 2巻 (バンチコミックス)

  • 新潮社
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784107717993

作品紹介・あらすじ

舞台は帝都ローマへ。一触即発の緊張関係が続く皇帝ネロとプリニウス、謎の美少女娼婦と書記官エウクレス……魔都の闇に交錯する人間模様を色濃く描く。

感想・レビュー・書評

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  • うぉぅ!ますます面白い!高度に発達した都市ローマの描写がまず面白い。インスラ(アパート)の三階より上に住みたく無い!とか。パニス(パン)の種類とか。

    そしてネロ!ネロに対するプリニウスの評価が、物言わぬ周囲の人間たちの思いを表している。混迷する政治。繊細なネロはその空気を感じてますます捻れていく。助けて!ネロは心中でプリニウスに訴えていたのではないか。

    水道管の技師の出てくるくだりも面白い。本作では珍しいアクションシーンと、ローマの下水道技術の話。のみならず文明論にも発展。フェリクスの嫁も10年前は技師の孫娘みたいに可愛いかったのかなあ…。

    それにしても、ここまで画面の描き込みが濃厚なマンガは昨今珍しいのでは。先日読んだ「ガイコツ書店員の本田さん」もなかなかの描き込みで感心したが、古代ローマの社会や生活を忠実に描くって並みの仕事じゃ無いよね。ホンマ尊敬する。
    プリニウスの書斎に踏み込んだシーンには震えた。NHKの博物学や美術系ネタの番組の、メインのブツを出す瞬間の演出で脳内再生された。無音でドーンと写して、一拍おいてからナレーション。あの呼吸。あと壁の絵や彫刻がすごく気になる。隅々まで手を抜かない、大変な作業をむしろ面白がっている様が凄い漫画だ。

    ツボなセリフもたくさんあった。ヤマザキ氏お得意の庶民の言葉、空気を読まない事実を突きつける言葉の数々。「ユピテルに尻の穴狙われてんのか?ボウズ!」「胸やけがしてるんだ。血を見たから…」(これは発言者を知ると面白い)「メスというのは基本的に夏に欲情するそうだが、ローマは間もなく冬だ…今貴様がいなくなっで彼女は大して困らないはずだ!」「まぁ〜あんた童貞でしょ!初々し〜、見てよこの汚れのない白目!」などなどまだまだたくさん。面白い…

  • やっぱり面白いローマの歴史。
    ネロは怖い人の印象が覆され、活字だけのネロの歴史も読んでみたくなるような。これを参考書としてローマの歴史を読めばかなりマニアな知識を得られそうだ。

    こういう歴史をとことん知っている二人の作者に目を瞠るばかり。 ただ、人物や背景に書き込み線が濃くて皆、同じ顔に見えてしまうのは私だけでしょうか。少女マンガに慣れていると濃いぃ線に圧迫感と男のマンガ(?)を感じます。
    博物誌、わたしも読めるでしょうか?読めるとは思わないんですけどー。

  • これはもしかして私の願いのすべてをかなえてくれる連載になるかも。

    ローマの日常を生きた人々の話が、歴史的偉人の人生とリンクし、そして現代や地域を超えた類推と対比をもたらし、
    最後には大きな悲劇で収斂する。

    1ッ間で皇帝ネロと将軍ヴぇスパシアヌスにヴェスヴィオス火山が出てきたからには大河になるんだろう、とは思っていたが、コルブロのパルティア戦役も出てきた。これはユダヤ戦役も当然出てくるし、あとはどこかでオトとガルバも出てくることになる。
     塩野本を除いて、この時代を日本語の物語にしようと思った人がかつていただろうか?なんか、すごく貴重なものを見せられている気がする。

  • ローマ世界を堪能できる貴重なマンガ。
    もう少し人物の描き分けをはっきりしてくれると読みやすいと思う。あれ?この人はアノ人では??と時々まぎらわしい。

  • 気の弱そうなネロ。
    彼がお忍びで通う聾啞の娼婦プラウティナ。
    彼女に懸想したのは、プリニウスの書記エウクレス。
    だんだん面白くなってきたぞー!

  • ギャグを期待してしまうんだが...

  • ローマの描写が楽しくなってきた

  • 舞台は帝都ローマへと移り、緻密な描き込みに拍車がかかる。漫画としては少々読みにくく感じるほどだが、繰り返し見て味わうには適している。
    皇帝から娼婦まで多彩な人物が続々と登場し、ストーリーも込み入ってきた。気楽に読み流せる作品ではない。

  • 皇帝の真情せまる訴え、部下の大活劇、次のコマに登場するなり全く別の事を考えてるプリニウス、すごい外し芸で笑った。大友克洋や上條淳士らを思い出させる背景画描写の徹底も、設定や物語の一部になり特にプリニウス邸なんか実に魅力的。

  • 舞台が大都市ローマに移り、文物に目が奪われる!背表紙の無い巻物の本棚整理方に、入り口から隔離の始まる書斎の造り(明かりや換気の部分ももっと見たい)。街を歩けば公共水道の水場から道路と排水の仕組み。一方でネロ皇帝の才人っぷりに庶民的な感性も魅力的。美人もいっぱい出て来たが、平たい顔っぽいのはどうなんだろう?古代ケルト人の顔立ちのイメージが自分の中に無いので謎。

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著者プロフィール

1967年東京生まれ。漫画家。14歳でドイツとフランスに一人旅へ。17歳でフィレンツェの美術学校入学。1994年、一人息子デルスを出産。1996年、漫画家デビュー。帰国し、北海道大学などイタリア語の講師を務めつつ、北海道の放送局でイタリア料理の紹介や旅行のレポーター、ラジオパーソナリティなどを務める。2002年、14歳下のイタリア人ベッピと結婚。エジプト、シリアと日本を往復しながらの生活が続くが、2004年に日本での仕事を整理し、リスボンに家族三人で住むことになる。主な著書に『テルマエ・ロマエ』『モーレツ! イタリア家族』『世界の果てでも漫画描き』『地球恋愛』『ルミとマヤとその周辺』など多数。現在シカゴ在住。

「2012年 『ヤマザキマリのリスボン日記──テルマエは一日にして成らず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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