平和の代償 (中公叢書)

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著者 : 永井陽之助
  • 中央公論社 (1967年1月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (225ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120004056

平和の代償 (中公叢書)の感想・レビュー・書評

  • 2009年4月だったと思うが、読売新聞解説委員の橋本五郎さんが永井氏の逝去を惜しむエッセイにて、この本の一部を紹介されていた。
    しかし、書名が掲載されておらず、ネットで検索してもしても、八箇月、まったくわからない!
    もうどうしようもなくなって、永井氏を尊敬していらっしゃる方をネットで見つけ、失礼ながら……と、その一節を記したメールを送って、「この部分が書かれている本の書名がわかりましたら、教えていただければ幸いです」とお願いし。

    非常に親切な方でした。
    この本とこの本に掲載されている、初心者でしたらこの本から読むと入りやすい等、非常に丁寧に教えていただき、ようやくにたどりつけた本です。


    「平和への道は険しく、忍耐と自制のいる迂路である。少なくとも、それは燃える平和と正義への情熱をかきたてる何ものもない道程であろう。それはただ、「暴力」よりは「術策」が、「愚直」よりは「慎慮」が、「恐喝」よりは「駆引き」が、「悪徳」よりは「偽善」が優越する不正義の秩序であるにすぎない。しかも、その秩序が、「恐怖の管理」の成功にみちびき、人類を恐怖から解放した暁こそ、人類は「神々のたそがれ」の淵に立たされるときかもしれない。これこそ、現代の最後のアイロニーである。」

    この言葉が、どういう文脈において書かれたのかが、知りたかった。

    「正義」と「平和」は同じものではない。
    平和とは、戦争状態の裏の状態であり、争いを回避するために、あらゆる努力をしなければならないものであるということを、事例などから説いている。


    国際関係では、どのような状況がありえるか?
    たとえば「弱者の脅迫」
    アメリカではマクナマラが「オプション」を好み、実際の全面戦争に達してしまう前に、代理戦争や局所的戦争などでことをおさめられるよう、様々な手段をそろえた。
    たとえば「核」は、危険過ぎて「保持していても使えない」武器である。これを牽制するためには「通常武器」によって、核よりも限定的な範囲で攻撃できる武力を保持しなければならない。
    しかし、「核」を使う意気地のない国と舐められてはならない。
    これが駆け引きであるが、駆け引きにおいては、「弱いもの」が有利である。

    引用
    「p51 弱者は強者にくらべて、行動の選択範囲がきわめて限られていて、オプションが少ない、また少ないということを相手方はよく知っている。このとき、脅迫は、真実味をおびる。だから、老人、病人、棄てられた恋人が、「助けてくれなかったら、死ぬ」といえば、その脅かしは、”信ぴょう性”があるのである。失うものは鉄鎖以外にない”持たざる階級”の力の源泉は、ひとつはそこにあるし、中国の脅威の基礎もそこにある。」

    中国の何が怖いかといえば、「核は使うまい」というお互いの暗黙的了解を超えて、使いかねない不気味さを持っているからであり、かの国はその不気味さを効率的に用いる。

    米中のG2幻想論と、最近の中国がつけあがって……というようなことが読売に書かれていたが、ソ連が崩壊しても、中国はこれからも格差を抱えて、脅威であり続けるのだろうな。


    日本は孤立して平和であるとうたっている。自衛の努力を戦後はアメリカの傘下に入って肩代わりしてもらったから、そこへ振り向ける金銭や努力が不要になり、あれほど急激な復興を遂げた。
    それをもって「平和だ」と思っているが、国と国というのはいつでも戦争状態に入りかねないものである。
    アメリカに対する防御を行なっていないが、いつそれが必要になるとも限らない。

    自分の認識が甘いな、と痛感したのはこの一節。
    「p122 日本人の道徳的感覚では、「自殺」や「一家心中」はさして悪とは考えないかもしれないが、西欧人のモラルでは、責任ある人格の自己放棄... 続きを読む

  • 永井は国際問題へのアプローチで、機械工の手法ではなく庭園士の方法を学ばなければならないというジョージケナンの栄光をはねいしている。

    米国の伝統的戦争観と戦略観と、すべての点で、対局をなすのが毛沢東の戦略思想である。

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    [ 参考となる書評 ]

  • 菅総理が衆議院代表質問時の答弁で取り上げた本。

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