宇宙からの帰還

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 104
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120011658

感想・レビュー・書評

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  • ブグロフスタッフオススメになっていたので読んでみました。これは面白かった。
    まずは序章。宇宙から見れば人間は個体というよりも膜につつまれた細胞に近い、人間の生存にとって一番重要なのは大気圧であり気圧がなければ酸素100%の空気をすっても呼吸ができずに死んでしまうというのは驚きだった。地球環境とは何かと考えさせられてしまった。
    本省に入るともっぱら宇宙経験が人間の意識認識に与えた影響について書かれている。NASAはもっぱら技術者集団でNASAスタッフでも宇宙飛行士同士でも、宇宙遊泳による認識変化などの調査は聞き取りはなされていないそうだ。宇宙にでることでの表現のしようがない漆黒の闇の空間とか、宇宙から地球を眺めることなど、言葉にできないものというか経験することでしかわからないことがあるらしい。宇宙飛行士同士でも地球軌道を飛行したもの、月を一周したもの、月面に降り立ったものでは意識の変化の違いは決定的に違うらしい。
    内容は素晴らしい。これほど面白い本はなかなか出会えない。ひとつだけ謎に残るのは、なぜ著者の立花隆氏はこのようなインタビューをNASA宇宙飛行士に試みようと思ったかという執筆の動機。

  • すごい本。宇宙飛行から帰還した宇宙飛行士達のその後を取材した本。とにかく興味深い。

  • 立花隆の本で、一番感銘を受けたのは、本書である。丹念な取材が素晴らしい。そして、地球に戻ってきた宇宙飛行士への心の中まで入り込んだ取材と心がどう変化したかをうまく引きだす。宇宙から地球を見て、世界観がどう変化したのか?と言うことを追求する。科学的な教育を受け、知的水準も高く、強靭な体力を持っている宇宙飛行士。彼らは、何を見たのか?その体験者しか感じられなかった強烈な体験とあるがままの言葉をひきづりだす。
    「地球という存在」「青い地球」「そのうえに生命や人間が存在し、生活している。」「いかにも壊れそうな存在としての地球」「地球以外に生命がいないと言う事実」
    漆黒の宇宙のなかに、漂う生命のボール。対照的に無機物しかない月。音もない世界。
    「神の存在」を信じざるを得ない状況になるほど神秘的な存在としての地球。
    神ー宇宙ー世界ー生物ー進化ー人間ー生と死ー存在ー認識。
    地球上において、人間というものは人間が考えているほど大した存在ではない。
    「存在は存在以前は無であり、存在がどこかで始まっていなければならない。だから始まりとしての想像はあった」
    誰が、このような宇宙を作ったのか。神の存在を考えずにはいられないほどの大きな空間の広がり。
    この本を読みながら、宇宙飛行士の話を聞いて見たいと思った。

  • (1991.12.31読了)(1983.09.29購入)
    商品の説明 amazon
    宇宙とは、地球とは、神とは、人間とは何か。…宇宙飛行士の衝撃に満ちた内的体験を徹底した取材と卓越したインタビューによって鮮やかに描き、知的興奮と劇的感動をよぶ壮大な精神のドラマ。

  • 大学生のころ読んだ心に残る作品。つい先日、新聞記事で「今、宇宙に行くチャンスがあるが行くか、と聞かれたら行かない」との作者のコメントにはがっかりした。私も年齢に伴う体力気力の低下とともにそういう気持ちはわかりつつあるが、それだけに一層そういうコメントはほしくなかった。

著者プロフィール

評論家、ジャーナリスト、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授

「2012年 『「こころ」とのつきあい方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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